自作車中泊車両の装備-使用感想と評価

車中泊一人旅の装備


自作で軽キャンピングカーを作り、初めての長期使用をした結果の感想と評価を記します。DIYゆえの細かな不具合や嗜好にかかわる部分などは割愛し、一般人の平均的な使用の観点での評価を基本とします。装備品の詳細はこのサイトの「車両装備品」と「車中泊車両製作」のカテゴリーで確認できます。

この評価は、完成とほぼ同時に旅立ち、連続31泊した経験にもとづくものです。使用環境は気温8~33℃の北海道で、道内走行距離はダートを含む約3000kmです。


1. ベース車両  スズキエブリィーバン (HBD-DA17V)


車内の装備と積載物の関係で、「急」の付く運転操作が向かない、できないので、車としての性能の限界を経験できていません。よって、どこまで車を理解できているかは疑問ですが、感想として記します。

長所は、荷室が他車と比較して広いこと、音が静かなこと、そしてパワーに不自由がないこと、でしょうか。あくまで660ccの軽貨物自動車であることを踏まえての評価ですが。

欠点は、今時の軽自動車としては褒められない燃費(カタログ値)、でしょう。これとて、車両価格を抑えることと車体の大きさを考えれば、仕方ないのかとも思います。


2. バックカメラ  カメラワイヤレスキットモニター


後方の窓をミラーで目視できない塞ぎ方をしたために取り付けたものです。夜間や雨中では、バックカメラが無いと「~だろう」運転で危険ですから、必須だったと言えます。モニターのチラツキの不具合があったので、DIY装着時に中間スイッチでモニター電源のOnOffを可能にして使いました。


3. 発電・蓄電装置

 ソーラーパネル  オータムテクノロジーAT-MA150SG (単結晶 SUNPOWER製モジュール)


カタログ値の能力は150wです。自宅(浜名湖そば)で110w/h程度がMax.ですが北海道北部ではMax.80w/h程度に落ちました。緯度の違いが大きな差になることに驚きました。おかげで、思ったほどの余裕は無かったです。なお、パネル設置が車載屋根の平面置きですので、パネル自体の本来的能力はもう少し高いと思います。


ポータブル電源   suaoki ポータブル電源 120Ah / 400Wh


安価な物ですが、ソーラー充電のコントローラー機能を備えているので、これとパネルを直結するだけで電源システムが完成するという便利な優れものです。

出力は AC100V  DC5V  DC12V の3種を使えるので、車内ではオールマイティーで便利に使えました。カタログ値の400whに対して実数値を知ることはできていませんが、それに近いくらいの容量が有るように感じました。電気音痴の私にはたいへん都合が良かったです。長寿命を願うばかりです。

一人で、朝は熱いコーヒーを飲み、昼にはラーメンを煮て、日中は冷蔵庫を動かし、、夜はノートパソコンを使う、という使い方が晴れの日にはできていました。さすがに雨模様が4日間続いたときは電気が不足し、困りました。

天気が続くと、日中は電気が余って入力がストップすることもありました。冷蔵庫の設定温度を下げたり、アチコチに充電したりして、なるべく捨てないようにしましたが、捨てたことも度々ありました。


4. 電気器具

  冷蔵庫  エンゲル冷凍冷蔵庫 MT45F   (DC12V・AC100V)


安くない物ですが、十分に働いてくれました。何より、冷蔵保存による食の合理化は旅の余裕を生みます。いつどこででも突然でも泊まって飲食できるのは、車中泊の質を上げます。いわゆる生鮮食品を摂れない食生活では、長期になると健康に支障が出ます。12V仕様の製品は選択肢が少なくてコスパも悪いですから、インバーターを介して100V仕様の物を使う方が安上がりです。けれども私は、静置前提の冷蔵庫を揺れる車内で運転して冷凍機が正常に動作するのか不安があったのと、冷気の逃げない上開きフタにすべきと考えて、車載用のエンゲルを選びました。良く冷え、冷気も逃げず、運転音も小さいとは言えずとも不快な音ではなかったので、正解だったと思います。それにしても、高価なのがネック。


 電気調理器(AC100V)  ヤザワ トラベルマルチクッカー TVR21BK


袋ラーメンを煮ることができる物ですが、具材の加熱ができるので、カップ麺と比べて格段に栄養バランスが良くなり、長期の健康維持が可能になります。米飯も調理可能ですが、電源の電気容量が大きくないと難しいので、今回は一度も炊飯はしませんでした。雑煮や味噌汁などは度々作りました。


 電気ポット(DC12V)  あったカーケトル CK-673


ポータブル電源でも使いましたが、シガーソケットに接続して、走行時にお湯を沸かして、停まってから利用することも多かったです。


 車内灯  【ノーブランド品】 DC 12V 36LED


十分に明るくて便利でしたが、慣れるまでは、ディフューザーが欲しくなりました。安っぽくてキツイ白い灯りです。物も安いのですから仕方ないですね。


 読書灯   LEDクリップライト (DC5V・リチウム電池内蔵充電式)


たいへん便利に使えました。充電ライトとして2時間程度は使え、読書に利用しましたが、クリップ付きですから何処にでも固定できます。灯りも優しく、タッチ式のスイッチ(3段階調光)も付いて、首の曲がりも自由自在。懐中電灯の代用も可能。今回使用した装備品の中では、便利度とコスパでNo.1かもしれません。もっとも作りは、価格相応にチープです。


 扇風機  クリップ型ミニ扇風機


高温時には直接浴びる風で助われましたので、役立ったと言えます。スポット的に使うなら、こんな物でも効果があるのですね。


 排気ファン  SODIAL(R) DC12V 0.10A  2線式ブラシレス冷却ファン


0.1A×3個のファンを設置して使用しました。能力的には不足気味でしたが、これ無しでは危なくて夜間の換気ができなかったので、一定の役に立ったものと思います。昼間の高温時では、使用していても45度位まで室温が上がっていました。


5. 寝装品

   ベッド台枠  自作


軽量化のためにホワイトウッドの1×4材やスノコ板を使用した自作品ですが、変形や破損することなく役目は果たしてくれました。付属の4脚独立昇降装置は毎日は使いませんでしたが、3度ほどは必要を感じて使いました。やはり一定以上の傾斜があると、寝る際に明らかな違和感、不快感がでてきます。


   マットレス  ショートセミシングルサイズ 三つ折りポケットコイルマットレス


当初の厚い物(16cm)から薄い(8.5cm)これに変更して、底つき感を心配しましたが、横臥するには問題無く、座ると底に当りました。


  シュラフ  SAMCAMEL 寝袋 冬用 封筒型 ダウン寝袋【最低温度-20度】


冬用を標榜していますが、それほどの耐寒性能はありません。寒がりの私ではありますが、+8℃の車内ではフリースのアウターを着てもぐっていました。上側は内容物が少なく、保温性に難ありと感じました。購入時にバキューム状態で送られてきたために癖が付いていて、初めはファースナーがスムースに動かずイラツキましたが、使っているうちに、ある程度は改善しました。


6. 家具  自作


自作の木製収納家具(棚など)ですが、心配した破損は皆無でした。柔らかな杉板にコーススレッド止めでしたが、往復までカウントしたダートも含む4000kmほどの走行では異常無しでした。


7. カーテン  自作

レール  フレキシブルカーテンレール

すべりが悪いタイプですが、逆にカチャカチャという音は出ないので良いです。

生地   カーテン生地 1級遮光 コレット

1級遮光なだけに、外が明るくなっても、気付かずに眠れます。

後から前を見る

自作で取り付けましたが、機能的には十分で安眠できました。外からは内部が完全に見えないので、セキュリティー的にも万全です。カーテンの後端部等の隙間から空気は出入りできますので息苦しさは感じませんが、換気装置との関係で、暑い時の使用には一考を要します。

車中泊一人旅の車と装備品・・私的評価&まとめ


車中泊車両に求められる基本的な要素である、走る・泊まる、という2点では特には問題無かったと言えます。

軽自動車ベースのキャンピングカーはとにかく車内が狭いです。およそ畳1.5枚分の面積空間の利用と装備は、自分の旅の目的に合わせて選択、製作しないと使いにくいと思います。

巷間よく問題になる結露については、車内温度が15度くらいから下ではガラス面に限り発現しましたが、それ以上ではほとんど無かったです。床、家具を全て杉などの無垢材で作ったのも奏功しているように思います。

経済面から見ると、初期費用総額140万円(新車軽バン+DIY装備)くらいで10年も使うと、かなり安上がりの旅になる、ということです。この車は日常使用の足としても使いますから、車中泊使用としての追加装備分33万円だけを考えれば、驚くほど安い宿泊設備になります。

単にコスパだけでなく、思い立ったらいつでも出発+どこでも宿泊、これは旅の自由度を最大に上げてくれます。今回の旅でも、温泉の前で泊まって朝の一番風呂に入ったり、釣り場に泊まって朝まづめの釣りをしたりと、車中泊ならではの自由度と利便性が大いに生きました。

車がもう少し大きければ色々と楽になることは十分に考えられましたが、これについては一長一短で、大きな車は、狭い道に入り込むには向きません。未だに地方では狭い道も多いので、行ける所の制約は大きく、観光名所めぐりが限界になります。

旅の目的次第ということになりますが、私の場合の一人で釣りと温泉が目的なら、軽自動車ベースのキャンピングカーがふさわしいと感じました。


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