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アカヒレイシモチの味/愛媛県愛南町での釣果

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アカヒレイシモチ in  愛媛・愛南町 図鑑によれば生息域が鹿児島以南となっていることから、アカヒレイシモチの名前に自信がありません。もし誤っていたら、ご指摘願います。 メバルに近いのかと思い調べていて、違う。はがれやすい鱗と体形がネンブツダイに似ているので、そちらを探って、この名前に行きつきました。 夜釣りのブッコミ仕掛けの底付近で釣れたものです。13cmと小型なために、餌の定期チェックで揚げるまで、針掛かりに気づきませんでした。 何でも、少なくとも1度は食べてみる主義なので、食べます。活〆して冷塩水内で一晩置いた殿様待遇の魚ですから、鮮度低下はありません。 酒蒸し   (釣獲翌日) アカヒレイシモチ_蒸し煮 初めての調理法ですが、皿に料理酒を張り、両面塩をふった魚を載せ、ビニール袋で包んで、200wの電子レンジで蒸しました。理想だとは思えませんが、環境による間に合わせです。でも、意図通りできました。 加熱中にも匂いはありません。白身ですから淡白を覚悟で口に運びました。えっ? うっ、旨い!! この旨味とテクスチャーのどちらもがトロケルような美味、という魚はそう多くはありません。 しいて似たものを思い起こすなら、アカメバルでしょうか。身の柔らかさはこちらの方が上です。天下一品。 なんと言うか、「図ったなお主 !! 」。名も知られぬ地味な風体、普通ならポイされそうな小魚が。これだから、知らないからと言って捨ててはいけないのですよ、釣り人は。 その気持ちを、なお強くしてくれた逸品でした。 オイルソテー   (釣獲翌日) アカヒレイシモチ_オイルソテー ここで褒めたせいか、翌日は3尾釣れたので、しっかりキープしました。 旨い魚であることは、上の蒸し煮で分かったのですが、何しろ小さいので調理法に迷いました。脂の無い魚で旨いと来れば、油で調理するのも良いのですが、せっかくの上品な旨味を殺しかねないので、塩焼きを目指しました。 が、設備が限られる環境だったので、フライパンで、味に影響しない程度のごく少量のオリーブ油をパン表面との間に挟んで焼くことにしました。 魚に軽く塩して置き、焼く前に水気を拭い取り、フライパンに並べて、中火から弱火に落として焼き目を付けたら表裏を返して、蓋をして蒸し焼きにして火を通します。 出来上がりには、何もかけずにそのままで。表面がパリッと焼けた...

コウイカの味/愛媛県の魚

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イカ類は、その種類が多いだけでなく、呼び名が地域で変わるので厄介です。"真イカ"と称されるイカが本邦にどれくらいあるのか。数えきれないでしょう。その地方で多くとれる普通のイカ=真イカ、のようです。この宇和海では、きっとこのコウイカがたくさん獲れて普通のイカなんでしょうね。 私はイカ釣りが苦手で、アオリイカしか釣ったことが無く、このコウイカに触るのも初めてです。でも、この値段なら買えるので、迷わずカゴに入れました。 未だ子イカですが、初めてなので贅沢は言いません。さて、どうやって食べるか。丸ごと煮てもいいサイズですが、スミイカと呼ぶ地方もあるくらい墨が多いようなので、墨煮は避けます。 刺身だけの歩留まりは3割程度しかないはずなので、可能な限り食べ尽くします。胴は刺身、頭足(腕)は茹でて、エンペラや皮は味噌汁に入れてみます。 刺身 こういか_刺身 in 愛媛・愛南町 硬いと残念なので、細めの糸造りにしました。食べてみたら、型が小さかったせいか全然硬くなかったです。ねっとりに旨味と甘みが加わって、絶品ですね。 昔々、嫌というほど獲れたスルメイカで育ったのでイカを好きになれなかったのですが、今になってイカ類の魅力にハマりそうです。 塩ゆで こういか_塩ゆで in 愛媛・愛南町 頭部を釜揚げ風に薄めの塩加減で茹でて、わさび醤油でいただきます。軟骨があるのでコリコリの食感も楽しめ、これ旨いですねー。 噛めば噛むほど、じんわりと湧いてくる優しい旨味は、暴力的な味のファストフードには実現不能の美味です。安易な生き方を問い直される、なんて大げさなことを言うと笑われるのでしょうが、そんな厳粛な気持ちになってしまいました。なぜなら、この一口も私の体を作ることになるのですから。 酢の物 こういか_酢の物 in 愛媛・愛南町 ゲソを茹でて、塩もみしたキュウリのスライスとともに甘酢で和えます。イカは幼くて柔らかく、キュウリはひねて硬く、バランスが悪かったですが、それなりに舌を悦ばせてくれました。 味噌汁 こういか_味噌汁 in 愛媛・愛南町 このイカの茹で汁を流用して、エンペラや皮などの雑品をなんでも入れてしまいました。生では嚙み切れない皮も、加熱すれば美味しく食べられます。モッタイナイ精神の後始末のような料理でしたが。 大根と一緒に煮ましたが、スルメイカのような独特の匂い...

キビナゴの味/愛媛県の魚

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キビナゴの産額が大きいのは九州のようですが、四国でも頻繁に鮮魚を見かけます。スーパーで獲れたての鮮魚を見て、迷わず買いました。税別で1パックが198円均一で並んでいましたが、よく見ると量目の表示がありません。昔なつかしい魚屋さんの一盛いくら方式です。帰ってから計ったら約280gでしたので、100gあたり税別で71円でした。高くはないものの、特別安いとも思いませんが、鮮度的価値でOKです。 さて食べ方をどうするか。当日中に食べるのが良いことは当然なので。考えた結果、刺身と塩煮にして、余分は釣りの餌にするために冷凍しました。干物も美味なので作りたかったのですが、またの機会に譲ります。 刺身 きびなご_刺身 in 愛媛・愛南町 作り方は凡そ知っていましたが、実際に作るのは初めて。やってみると、あー、カタクチイワシと同じ要領の手開きね。ちょっと鮮度が良すぎて骨離れが悪かったですが、なんとかできました。 調理中に1尾分つまみ食いしたので、まずはその感想から。ちょっとビックリのあっさり味です。イワシのような青魚特有の個性が感じられないのです。クセが無いとも言えますが、旨味が弱いようにも感じました。 サイズや漁獲時期の違いで、脂がのる冬でなく、産卵期の子持ちでもなく、とまぁあまり良い時期ではなかったのかもしれません。 きびなごは出自をたどると、カタクチイワシと同じくニシン目ですが科が違いますから、当然いろいろと相違点があるのでしょう。同じ煮干しに加工してもキビナゴの方が「クセが少なく、やさしい旨味が特徴」と言われるようです。 初めてなので不細工な出来ですが、それでもはっきりくっきりのストライプ模様が鮮やかできれいです。ショウガが合いそうですが、無いのでわさび醤油でいただきます。 初めは醤油だけで。おっ、良いですね。何もつけずに食べた時とは大違いです。鮮度が良いのでコリコリ感もあって、上等です。 次いでわさび醤油で。。言葉不要の美味。やはり刺身には、たとえモドキでもわさびの辛みも必要なんですね。納得の美味でした。 塩煮 きびなご_塩煮 in 愛媛・愛南町 どうせ食べるなら鮮度の良い内にということで、刺身に続いて食べました。 調理までの間は、ラウンドのきびなごを、2%くらいの冷塩水に浸けて半日冷蔵しておきました。調理はあらためて3%くらいの塩水を煮立てて、かろうじて火が通ったくらいに...

アカササノハベラの味/愛媛県愛南町での釣果

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アカササノハベラ in 愛南町・赤水 ベラ類を狙って釣るのは関西以西で、関東では執着しないと言われたものですが、最近はどうなんでしょうか。釣れる魚が減っているのですから、変わっているのかもしれません。そもそも旨い魚なのですから。弱点は、小さいので食べにくいことです。 活き餌用の小魚を釣っていたら比較的大きめが釣れたので、調理しました。 酒蒸し   (釣獲2日後) アカササノハベラの酒蒸し 塩を振り、なべ底にわずかの料理酒を張った中に置いて、蒸し煮にしました。 暖かい内に一口。やっぱりベラです。安心感のある美味。とんがった特徴的な旨さではなく、バランスの良い教科書的なおいしさ、とでも言いましょうか。 最後まで、醤油系の旨味を足さずに、酒塩だけで満足できましたから、十分の美味です。多少は繊維感があるものの、塩焼きなら焼き過ぎにご用心、という程度です。 これで切り身になるような大きさなら、立派に高級魚の番付に名を連ねるのでしょう。 ベラもこのサイズになると、延べ竿で釣る際には糸を鳴らして竿を曲げ、俊敏な動きで楽しませてくれます。都市近郊の釣り場では釣り尽くされて、このサイズにはめったにお目に掛かれないのかもしれません。 釣って楽しく、食べておいしいベラ類は、大好きです。

アヤメエビスの味/高知県土佐清水市での釣果

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アヤメエビス in 足摺港 遠くに旅して釣りをすると、初対面の魚に会えるのも楽しみの一つです。この魚も、釣り上げた瞬間、なんだこりゃ、の驚きがありました。紅白幕のような派手な紅と白の縦縞が鮮やかで、熱帯に近づいたことを思いました。 硬い鱗を剥がす際に、2尾でそれぞれ一度、棘の刺さる不幸に見舞われました。事前に調べて知っていたのに、です。なかなか手強い奴です。傷が痛みそうだったので、麻酔剤入りの キシロA軟膏 で処置しておきました。 釣獲後に即締め脱血、ヘッドレスにして冷蔵、と基本の処理した魚です。食べる時点では紅白の縦縞模様の色合いは、少し落ち着きを見せていました。 アヤメエビスの腹腔内脂肪塊 大小2尾のサイズの違いが、腹腔内に表れていました。小サイズには無かった腹腔内脂肪が、大サイズにはしっかり詰まっていました。 これで味に期待していいのかというと、それは魚種次第なのです。腹腔内に脂肪塊の多い魚でも身肉には薄いことも少なくないのです。そうなると、せっかく貯えた脂肪は、刺身では口に入りません。 とりあえず、そのことは脇に置いて。 刺身   (釣獲5日後) アヤメエビスの刺身 身が硬そうだったので、薄めの平造りにしました。手元にアジ出刃しか無く、身を崩してしまったので意図が狂いました。 食感は、未だコリコリ感が残る程度で、熟成もある程度進んでいたはずですが、、。 白身の刺身で、生まれて初めてほのかな「酸味」を感じました。うーーん、としか言えません。もちろん食べられないような酸っぱさではないのですが。体調のせいか? 青背(赤身)の魚では、鮮度の良い時に感じるのが普通ですが、白身魚にも同様の乳酸の生成があるのでしょうか? 身には脂もあるのですが、旨さを感じる脂ではないようです。脂肪酸組成の違いなんでしょう。 ほのかにクセもあり、特段の美味とは言えないというのが私の感想でした。もちろん、しいて言えばという程度のケチ付けです。 鱗も骨も硬い魚なので、無理に刺身にまでしなくても良いのかな、という印象です。 酒蒸し   (釣獲5日後) アヤメエビスの酒蒸し 小さい方は、塩を振ってしばらく置き、鍋に料理酒を注いだ中で、蒸し煮にしました。 火が通ったかな、の寸前で止め。余熱で、優しく火を通します。硬い皮も破れずに仕上がったのは偶然の幸いでしょうか、新鮮過ぎたら破れていたかもしれませ...

クロガシラカレイの味/北海道・根室市での釣果

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根室港での投げ釣りで釣ったクロガシラカレイ 2025.07.03 カレイは日本人の食卓には珍しい物ではないと思い込んでいるのですが、実際はどうなのでしょうか。煮付けることが多いカレイなので、若い人には馴染まない魚なのかもしれません。 珍しくないと言いながら、私はカレイを釣ることがほとんどありません。地元の浜名湖には少しは居るようですが、冬の魚であることと数釣れる魚ではないので、本気で挑む気になれません。餌とする虫餌(ぜん虫類)が苦手(アレルギー)というのも一因です。 地元のスーパーに並ぶカレイは、ほとんどが輸入物の冷凍臭が気になる切身(コガネカレイ)です。味的にも魅力が薄いので、買うこともありません。なので、我家の食卓にカレイが載ることも、最近はほとんど無かったのです。 国内では東北や日本海ではまとまった漁獲もあるようですが、何といってもカレイ類が豊富なのは北海道です。 釧路のスーパーで見かけたカレイの鮮魚が1枚95円也。浅羽かれい、砂かれい、宗八かれい、みんな同じ値段というのが、へぇーーでした。 釣る気が失せる価格で、そっくり買い占めて持ちかえりたくなります。 私は静岡県・遠州住まいのカレイの素人ですから、種ごとの味や調理法も知らないのと、持ちかえる 冷凍容量 が限られるのでできませんでした。 カレイの雑談は終わりにして、釣果の料理です。直近の 北海道への旅釣り で釣ったカレイは、冒頭の写真のクロガシラガレイ(黒頭鰈)です。子持ちの時期は4~5月なので産卵後でしたが、身の厚さに驚きました。 釣り上げた魚を活〆してヘッドレスにしたものを、ビニール袋の中で脱気したうえで料理酒に浸してひと晩冷蔵で寝かし、翌日冷凍して持ち帰りました。 煮付け 丸ごと煮付けにするには大きかった(ヘッドレスで200g↑/尾)ので、1尾を二つ切りにしてごく普通に煮ました。 生では硬かった皮も柔らかくなり、身と一緒に食べるのに支障はなくなりました。 一口含んでみると、んーーカレイだ、という当然の感想。飛び切りの感動は無く、自然でつつましやかな美味、です。カレイ特有の旨味も、しっかりではなく控えめに口に拡がります。 特別なご馳走ではなく、上質の惣菜ですね。こんな魚が、日常的に当たり前に食べられたら、文句はありません。 新鮮な魚 の優位を再認識する味でした。〇。 残した一切れを冷蔵して翌日再加熱...

時鮭の味/北海道の魚

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シロサケの季節外れの沖獲りの物をトキサケ、トキシラズ、などと称します。漁獲量が秋に接岸するアキアジとは比較にならないほど少ないので、美味ですが高価です。 秋に定置網に入る産卵直前のシロサケは、卵や精巣に栄養が取られて、身肉の味は落ちますから、本来うまい物ではありません。脂が無いので脂焼けしないことから塩干に適していて、新巻として利用されるのです。塩を効かせると、どんな魚でも旨味が強調されて美味に感じますから、これはこれで旨いです。 でも、生殖に栄養が取られていない春から夏のトキシラズが、シロサケ本来の味とも言えます。身色も紅味が強く、他の鮭鱒類に負けない美しさです。 アスタキサンチン の含量も多いので、栄養的にも良いはずです。 旅の途中の釧路のスーパーで、トキサケの切り身に半額ラベルが貼られている現場に遭遇しました。貼り終わるのを待って近づくと、これが紛れていました。 間違いなく、こちらが買いです。旨いだけでなく、EPA、DHA、コラーゲン等々、栄養の宝庫ですから。 それにしても、アラが正価=500円ですか。さすがトキサケ様です。一瞬逡巡したのは、調理できるか?です。 自作の キャンピングカー にはシンク(流し)が無いので、調理に手間が掛かるのです。週末で釣りはお休みするので、買いました。 冷蔵庫 に持参した調理済み食品も底をつきつつあったり、皮膚科の医者からも、EPAを摂るように言われていたこともあって、です。 アラですから、調理方法は一択の汁ものです。煮付けても同じですが。味を塩にするか味噌にするかの選択のみです。 旅に出てから、毎日の味噌汁習慣が途絶えているので、ここは味噌で。スーパーで同時に買ったネギとシイタケをお供にします。 煮あがったものを盛り付けて、いただきまーす。 一口目、かぶりついた頭のどこだったか。皮と身肉と軟骨とが口の中で合同演奏会を開演です。 ひゃー--、うまい  !! 過ぎるほどにウマイ !! 味の出ない菌床シイタケは無視して、半生ネギもウマイ。 米飯の解凍が面倒と言い訳しながら、安い日本酒を継ぎ足して味のコラボを楽しみます。 肴がアラ汁と解凍枝豆だけすが、朝から 公園の駐車場 で一人宴会です。 中落をしゃぶり尽くして、とりあえず御終い。 アラ汁は半分しか食べていないので、鍋の残りは明日、雑炊にして食べます。蓋をしたまま沸騰さ...

キジハタの味/富山県・射水市での釣果

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2025.05.29 02:51 撮影 釣りたて直後の写真では、目視では見える点々の水玉模様ではなく、横縞模様が顕著です。岸壁から狙って釣ったアコウの33㎝は、まずまずの型です。釣り場で活〆にしたラウンドを冷蔵で持ち帰り翌日ヘッドレスにして寝かせ(低温熟成し)ました。 刺身   (釣獲4日後)   身おろしの際の手の感覚では、未だ硬さが残るようでしたが、4日後なので平造りにしました。口にすると、まだコリコリ感の残る鮮度良好の反面、旨味は弱かったです。ただ、そもそも白身の繊細な旨味なので、期待し過ぎに応えてくれなかっただけとも言えます。クセや臭みなどという言葉には無縁で、噛み続けても湧き出る旨味が衰えず、嚥下するまで愉しませてくれました。んー、京料理の板前さんなら、どう扱ってどう出すのか。もっと持ち味を引き出すのだろうなー。 今度釣ったら、皮目の旨味をプラスする焼き霜造りにしてみよう。 アラ汁   (釣獲4日後)   昆布が無かったので、味の素で代用し、安酒を加えました。脂のごく薄い純粋無垢の白身からどんな味が出るのか。汁を口に含むと、弱めながらも芳醇で清冽な旨味が感じられました。美味いです、やはり。頭をしゃぶり尽くし、カマやハラスの身肉を味わい、汁を飲み干すと、残ったものは、、満足。 酒蒸し   (釣獲5日後)   やっと熟したようで、前日までより旨味が増しました。ほっこり柔らかく、奥ゆかしい旨味が堪りません。んー、いつか西京漬けか粕漬けで食べてみたい。 キジハタの味/福井県・敦賀市での釣果 オリーブオイル焼き   (釣獲5日後)   敦賀新港の釣り揚げで即締め・放血して冷蔵し、翌日ヘッドレス処理して、また冷蔵庫で寝かせました。 鍋にニンニク漬けのオリーブオイルを30gほど敷き、そこに塩コショウした魚を置いて、蒸し焼きにしました。 ソースを付けて一口運んで口中に拡がった瞬間、これは大正解の調理だったことを得心しました。 アコウの優しい旨さをオイルで包んで高みに昇華させる、とでも形容しましょうか。 多少ギシギシ感はあるものの、短期熟成で旨味の上がった白身は、皮目の味とのコラボで、文句無し。 焦がしたニンニクが旨味の上にアーモンドのような香ばしさを載せて秀逸でした。 日本人なら、ここに数滴の醤油を垂らしたくなるところですが、グッと我慢。たまにはイタリア人の食味を体験する...

スズキの味/富山県・射水市での釣果

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フッコ in 富山新港 スズキは出世魚で、成長にしたがって名前が変わります。地方によっては異なりますが、標準的には30cm以下をセイゴ、30~60cmまでをフッコ、60cm以上をスズキと呼びます。 今回の魚は港湾産ですが、ルアーマンが釣る大都市近辺のシーバスとは違い、地元富山の釣り人が「臭く無い」と太鼓判を押してくれた富山新港産なので期待しました。 細長い魚なので、釣り場で ヘッドレス にして 車内の冷蔵庫へ 。スズキには届かないフッコですが、自分で釣ったのは初めてなので、食べる適期を手探りで3日目からとしました。身おろしした感覚では適度に柔らかく当たりを感じました。腹腔内脂肪もあり、身質の色にも少し濁りが見えたので、身にも脂があるようでした。 刺身   (釣獲3日後)   平造りでも硬さを感じない、好ましい食感で、美味。旨味は強烈な自己主張する赤身の魚とは違う、繊細でいてしっかり存在を感じさせるものでした。寿司だねにしたら、上々でしょう。 以前に、静岡県の伊東で魚を扱っていた時の味とはかなり違うようで、明らかにコチラが旨い。ふーーん、スズキって美味しい魚なんだ。というわけで、魚は獲れた場所、季節、個体による差が大きく、それが奥深さと興趣につながることを再認識しました。 アラ汁   (釣獲3日後)   残念ながら、頭なしの潮汁です。昆布も手元になかったので、味の素で代用しました。なので大きな期待はしなかったのですが。 ところが、です。アラの出汁の力強さでしょう。汁の旨さは上等の上。んーー、侮れない美味しさです。腹身やカマの身肉もしゃぶりつくし、汁を飲み干して満足。 刺身と一緒に食べたので、満足の相乗効果です。これだからめったに釣れない釣りが止められません。 酒蒸し   (釣獲4日後)   どうせ酒蒸しにするならと、料理酒に一昼夜浸けた物を蒸しました。前日までに、魚の旨さは既知だったのですが、心新たに食してみると。蒸しゆえの柔らかさで、とろけるような は言い過ぎですが、繊維をほとんど感じないままに、嫌味の無い旨味が湧きだしてきました。美味し。 塩焼き   (釣獲4日後)   酒蒸し同様に、料理酒に一昼夜浸けた物をIHのロースターで焼きました。焼き加減が良かったのか、塩焼きとしては超ジューシーで旨味がほとばしり、繊維感はあるものの惣菜にはモッタイナイ美味でした。これだけ...

シロギスの味/富山県・射水市での釣果

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釣り場で活〆にはしたもののそれ以上の手間が無く、ラウンドを冷蔵で持ち帰りました。少々鮮度に不安はありましたが、市場経由の物なら「鮮度上々」の日数なので、考えすぎとも言えます。 腹を開けてワタを抜き、塩を振って1時間。IHのロースターで焼きました。水気をぬぐう手間を惜しんだせいか、焼き目が付かなかったのが、ちょっと残念。 塩焼き   (釣獲2日後)   ほとんど市販されない魚なので、食べるのはいつ以来か。モッチリの皮目とホクホクの身を一緒に口に運ぶと、芳香とともに旨味が拡がります。 おーっ、旨い  !!。  皮と身のコラボの美味に感激。どうりでシロギスを専門に釣る人が居るわけだ。姿形だけでなく、 アカカマス に似た上等の味でした。否、カマスより上かも。 今回の1尾は、外道で釣れたのですが、いつか専門に狙ってみるのも悪くないかな。 関連記事 ホタルイカ餌のブッコミ釣り釣果 in 富山湾

カサゴの味/富山県射水市での釣果

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釣り場の準備から始まって雨が来て逃げ出すまで、およそ5時間位かかってこの1尾の釣果は残念では済まないですが、陸からの釣りの常態「釣れることもある」の典型です。でも20cmのカサゴは、今やそう易々とは釣れないほど、資源量は少なくなっていますから貴重とは言えます。 酒蒸し   (釣獲1日後)   これは失敗でした。血抜きだけして冷蔵で持ち帰った魚を、釣獲24時間後に食べたのですが、明らかに早すぎました。小さいからと侮ったのが、痛恨の間違い。 少しでも柔らかく食べようと酒蒸しにしたのですが、白身のきれいな身の旨味はゼロに近く、ゴムのような硬さを感じるのみでした。 やはり、釣った魚は数日寝かせて熟成しないと旨くないことを再確認しました。(魚種によりますが、白身の根魚は特に、です。) 関連記事 ホタルイカ餌のブッコミ釣り釣果 in 富山湾

イボダイの味/和歌山県の魚

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鮮魚より、開き干しでメジャーな魚でしょう。標準和名のイボダイと呼ばれることも多いのですが、通称の"シズ"で知る人も多いと思います。水分が多い魚は干物で食べることが多いですが、これもその一つです。 なので、産地以外では鮮魚が手に入ることも少ない魚です。普段は深い海の砂泥底に生息する魚なので、イボダイは岸からの釣りではほとんど釣れません。 季節によっては定置網に入ることもありますが、多くは底曳き網で獲られます。今回の魚の漁法は不明でしたが、産地は和歌山県だったように記憶しています。 たまたま釣り旅の帰りに立ち寄ったスーパーで見かけて安かったので、多めに買いました。パックから出して袋に移し、車内の冷蔵庫に入れて持ちかえりました。 塩焼き GG (エラワタ抜き)に塩を振って、2時間ほど置いてから焼きました。一般的には塩を振ってから短時間で焼くことを勧められることが多いのですが、私は自己流で長めにしています。理由は簡単で、塩が浸透する方が美味しいから、です。 浅めに焼いたのは、脂がほとんど無いので締まるのを避けるためでした。箸で身を取ると、ジュースがしみ出しました。柔らかな白身を口に運ぶと、ほのかに匂うイボダイ独特の香りと香ばしさ。臭いと言えば臭いのですが、これがエボの香りです。 優しい旨味が口に広がり、久しぶりの対面の喜びと幸せを感じます。いゃー、やっぱりイボダイは旨い。頭と中骨以外は完食。3尾パックで231円(税別)ですから、1尾100円以下なので安いです。相場物の鮮魚ゆえに、たまたま"安さ"と"旨さ"が両立することがあるから、魚は目利き次第で面白いです。 開き干し   (塩 ) オーソドックスな塩干しです。魚と水の総量に対して1.25%の塩分のたて塩漬けでひと晩浸けました。折よく寒気が来たので、好条件で干せました。 干しあげた翌日に焼いて賞味しました。適度に水分が抜けて濃縮された旨味を、塩がなお引き上げて、、旨いですねーー。塩焼きの物より一回り小さいので、中骨1本だけ残して頭から尾までそっくり食べられました。この骨の柔らかさも、イボダイの好ましさをいや増しています。 右上と左下が塩干し  左上と右下が醤油味醂干し 開き干し   (醤油味醂 ) 浸けダレ(以下の比率)に一晩浸けて、翌日干しました。 塩干しで旨いの...

クロダイの味/静岡県・湖西市での釣果

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2024.09.18 釣果第1号のクロダイ 浜名湖では漁業者(のり、あさり等)から害魚扱いされているクロダイ(チヌ)です。これを 退治 すべく黒鯛釣りを始めました。もちろん  自産自消 、食べるのも目的なので、ここでは白身ゆえの多彩な調理で、食味をじっくり紹介していきます。 アラ汁 2024.09.18 中骨で出汁を引き、味噌、味醂、砂糖で濃い目の鯉こく風の汁を作り、そこで梨割のアタマ、カマ、ハラスをサッと煮て完成です。本当は30分以上煮て、皮も柔らかくなるくらいが美味しいのですが、崩れて写真うつりが悪いので、今回はサット煮にとどめました。 先ず一口汁をすすると、んー美味。甘さ(味噌+味醂+砂糖)と少量のグルソーにも助けられてはいるものの、中骨から良い出汁が出ています。身の方は軽く火を通しただけなので、旨味がそのまま残っていてこれも美味。皮が硬いのは煮たりないので仕方ありません。 この料理の栄養的な最大の利点は、目や脳の周りにあるDHAを食べられることです。 また、釣魚を食べる価値は、この  アラ汁  と 魚醤 を作れることにあると、私は思っています。まさに自産自消の釣り人の特権です。最後に残った骨は、家庭菜園で肥料になります。 ムニエル 2024.09.19 皮目に切り込みを入れて塩コショウし、小麦粉を薄くまぶしてオイルでソテーします。身の方から焼いて薄っすら焦げ色が付いたら、返して火を通します。仕上げにバターを加えて味と香りを足し、食べる際にレモン汁を垂らして、いただきます。 んー、美味。身が締まることも無く、柔らかな白身の淡白で繊細な旨味を元気づける小麦粉とバターが、この魚にピッタリの調理法です。 (トラッドなフレンチの基本では魚の皮を下にして盛り付けます) 酒蒸し 2024.09.20 定番の食味調べの料理です。皮目に切り込みを入れて、酒塩に半日浸けておいてから蒸しました。 口元まで運ぶと、かろうじて分かるかどうかの磯の香が、鼻腔をくすぐります。究極の身質の柔らかさと酒で補強された旨味が、好ましい一品になります。ポン酢をかけたら、また一段と旨くなりました。 ブレサージュ トマトソース添え 2024.09.24 フィレにしたクロダイのアラでフュメドポワソンを作り、トマト缶、ニンニク、タマネギに白ワインを加えてトマトソースを作りま...