逆流性食道炎をなおす // PPI薬の卒薬に成功


いわゆる逆食、胃食道逆流症(GERD)の中でも比較的軽症と言える非びらん性胃食道逆流症(NERD)と診断されて、およそ3年間にわたり服用してきたPPI薬が不要となった経験を元に、その一例を記します。

そもそも胃から食道への逆流が起きる原因は、加齢により噴門(胃の入口)の筋肉がゆるむことにあるというのが通説ですから、NERDは病気ではなく生理だと私は勝手に思っています。それでも逆流による不快な症状を改善するために、パリエット(ラベプラゾール)、タケプロン(オメプラゾール)、ネキシウム(エソメプラゾール)等のPPI薬とガスター(ファモチジン)を時に応じて服用してきました。

私が服用していたPPI薬は比較的安全と言われていますが、薬である以上、飲まないに越したことはない、というのも当然です。長期連用の副作用も指摘されていて服用期間の制限もある訳ですから、なるべく早くに卒薬できる方が良いと思っていました。

この逆食への対策は食事の質や姿勢、ストレス対策など色々言われていますが、医師も言うし、本を読んでも、ネットの情報でも、肥満の人の場合には肥満解消に尽きます。腹圧が低ければ逆流することができないのですから。

若い人にも逆食が増えていると聞きますが、若いうちは噴門の筋肉もゆるんでいないので、たとえ肥満気味でも逆流は起こりにくいでしょうが、高齢で肥満なら発症してもなんら不思議ではありません。

私の例ですが、

  服薬(発症)中   身長=1.64m 体重=64.0kg BMI=23.80 (普通体重)
  ダイエット後  身長=1.64m 体重=58.0kg BMI=21.56 (普通体重)

私の身長ではBMI指数が22の時に最も病気になり難いと言われていて、それが59kgなので、現在はほぼ理想の体重になっています。

体重を減らしてみて感じるのは、明らかに腹腔内脂肪が減ってお腹がペチャンコになったことです。これなら腹圧が下がったはずです。だからほとんど逆流が起きなくなりました。今でも食べ過ぎた時や、脂肪の多い食事の後には逆流が起きることがありますが、せいぜい胃散かガスターをその時だけ使う程度です。

減量、ダイエットしようと思ったきっかけは、1冊の本でした。先頃亡くなられた日野原重明Dr.が以前にお書きになったもので、私が読み取った要旨は「食べすぎは万病の元で、食べ足りないくらいが良い」というものでした。

もう一つのきっかけは、前年に患った肺炎の原因が、どうも逆食と関係ありそうだと自ら考えたからです。消化器と呼吸器にまたがる領域であり、それぞれの医師からはそのような指摘を受けたことはなかったのですが、自分なりの経験と調査から、この辺りのことを疑いつつありました。

一念発起してダイエットに取り組んだ結果、4ヶ月で-6kgの減量になりました。蛋白質不足におちいらないように注意しつつ炭水化物の摂取を減らしたのですが、目標を決めることなく、余計に食べないことを継続しただけです。

減量後に見かけた本で、逆食を原因とする誤嚥で肺炎になる、という某医師の知見を知りました。実に明快に知りたかった事実を知ると共に、減量の効果も現れて逆食の症状がほぼ消失したために、念願のPPI薬の卒薬に成功したわけです。

食欲は人間の原初的な欲求の一つですから、たしかに抑制は容易ではありません。けれどもそれができないとなると、ヒト以外の動物と大差ないことになってしまうので、やはり克服すべきかと思います。

卒薬できれば、嫌な症状から開放されるだけでなく、医療のお世話になるための余計な時間もお金も掛からなくなるのですから、こんな良いことはありません。食べる楽しみは「満腹」ではなく「美味」に求めることにしたいものです。


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