西伊豆・戸田湾内ショアで青物(イナダ・カンパチ)を狙う

豊富な魚種と実績で名を馳せてきた戸田湾内の釣りでは、過去には秋にイナダやカンパチの大釣りの記録があります。私はここでは大層な実績はありませんが、数年振りでこれら青物を狙って訪れました。

前日の夕方に釣り場の確認に入ったところ、アオリイカの墨跡が少なかったので、通りかかった地元の少年に尋ねたところ、今年はアオリイカは少ない、とのこと。

アオリイカの活きエサ釣りが盛んなここでは、現地調達が難しい小鯵ではなく、ネンブツダイ(クロホシイシモチを含む)を使って実績を上げてきました。これが釣れれば、この日に夜釣りでアオリイカを狙うことも想定していたのですが、肝心のネンブツダイが見えず、釣れずで、イカ狙いはサッサとあきらめて、翌日に賭けることにしました。



さて当日、場所は新堤と呼ばれる、湾岸東北寄りのガソリンスタンド近くの岸壁です。時間はおよそ6~18時の12時間。いつ回ってくるか分からない青物相手なので、目いっぱい頑張るしかありません。

釣法は泳がせ(のませ)のエレベーター。活きエサはネンブツダイ(クロホシイシモチを含む)。4号5.4mの遠投磯竿、6号ナイロン道糸、5号ナイロンハリス。オモリ20号を足元の捨石の向こうに投げ込み、このラインにハリス元のスナップサルカンを通して、活きエサを送り込みます。

足元で垂らした方が格段に楽なのですが、ここは捨て石があるために水深が不足で、垂らしは夜釣りのアオリイカでは可能ですが、昼間は無理です。昼間の足元はエサの調達場所です。

まず初めの苦労は、その活きエサでした。コマセの有無に関係なく、小針にイカの米粒大を付けて落とすと、真っ先に寄るのがカワハギのミニサイズでした。これが小さなエサを憎らしいほど、ではなく、殺したくなるほど上手に針を避けて、あっという間にイカだけを齧り取るのでした。

やっとの思いで釣ったネンブツを針に掛けて本線上を送り込むと、いきなりヒット。なにやらネンブツダイを咥えて水面下をクネクネと走ります。あーっ、ダツ。嫌な奴が居ます。私は雑食なので、ダツだって食べないことはないのですが、ちょっと小さいようでなかなか飲み込めずに針掛りしません。

引っ張って回収すると、活きエサのネンブツダイは外見上はさほどのキズが無いのに、息もたえだえの瀕死の重態で、再使用は無理。きっと鋭い針が体内に達しているのでしょう。青物のように丸呑みしてくれるなら痛くなく成仏できるのに、可哀そう。そう思うなら使うな、って言われそうですね。

結局一日中、このダツの隙を見つけることに終始しました。幸いダツに見つからずに活きエサを送り込めても、いつまでたっても何も起こらず、活きエサは安泰でした。何かが頭を残してほとんどをかじったこともありましたが、これはまれ。

本日の至福の時はただ一度。
岸壁横付けの車で、レトルトご飯を温め、味噌汁を作って食べた野外ランチ。仕上にコーヒーを落として喫しました。あー、お伴のチョコレートを忘れてきた。車内ベッドで昼寝しながら竿の監視、という極楽釣りも可能だったのですが、眠くならずに実行しませんでした。

後半はルアーも投げましたが、釣果はゼロ。トラブルレスの場所のせいで、良い練習にはなりました。少しずつ経験値(知)が上がっていくのは嬉しいものです。

これだけが本日の収穫となり、釣果なく敗退と相成りました。
戸田くんだりまで来てこれは無いでしょう、と言いたい私ですが、遠投カゴ釣りで10時間以上やって、2度のバシーンという高切れを起こしながらも挑戦し続けた地元人から見れば、よほどダメージは少ないので、文句は慎みましょう。

私が12時間頑張ったこの場所には、釣れても釣れなくても毎日登場する地元の常連さんが数名在ります。この人達から聞いたところによれば、「今年はあまり青物が回って来ない。イナダやカンパチはおろか、マルソウダすら少ない。マダイなんてほとんど見かけない。(アカ)カマスも少しだった。とうに来ている時期のタチウオもまったく居ない。そもそもベイトを見掛けない。年々魚が少なくなっている。」とのことでした。

事実、これら常連氏3、4名は、私が釣り場に入る前から居て、私が去った後も居ましたから、夜のことは不明ですが、少なくとも私の知る12時間のなかでは遠投カゴ釣りではゼロ、ルアー釣りで30cmほどのカンパチ1尾、エギングのアオリイカがゼロという、目を覆うばかりの貧果でした。

魚の減った原因は、大は環境や漁獲圧力の問題から、小?は釣り場のゴミ問題までいろいろあるのでしょうが、現実はとても厳しいことを思い知らされました。この戸田湾が豊かな海に戻ることが、この先あるのでしょうか。


コメント