マイワシの味/直江津港での釣果
釣り上げた直後の物を岸壁で処理 |
海の米とも呼ばれる真鰯。マ イワシ ですからイワシの仲間の中心的存在ということです。
飽きが来ずとても美味なのですが、鮮度落ちが早いために美味しく食べるのがなかなか難しい魚です。安価な多獲性赤身魚の宿命で、流通する物に血抜きされているものはありません。
今回の魚は前日18時頃に釣り上げた物を、直ちに首を折りエラを切って海水バケツに入れ、およそ10分位後にヘッドレス処理(頭と腹ワタを取り除いた状態にする)して、ビニール袋に入れて真水氷に浸けて冷やしたものです。翌朝には0℃前後の冷蔵庫に移して運搬し、およそ24時間後に持ち帰りました。その後は家庭用冷蔵庫で+3度位で保存しました。
イワシの刺身
釣り上げてからちょうど1日経って食べたことになります。
魚臭さは皆無で、目をつぶって食べたらイワシだと分かるのかな、というアッサリした味でした。まかり間違うと、白身の魚かと思うほどの淡白さでした。
実はマイワシを釣ったのは初めてで、過去に食べた物は全て流通を経た野締めの物です。ですから全身に血のまわった物の味しか知らなかったのです。それらとの比較で言うと、血の味も味の内だったのか、という感じです。暴れて死ぬがゆえの乳酸の酸味も無く、率直に悪く言えば物足りない味でした。テクスチャーはモッチリ感があって鮮度の良さは十分に感じられるものでした。
味への影響で言うなら、ちょうど抱卵後期だったことで、身質の脂はごく薄く、旨みも欠けたのかと思われます。旨み形成の確認のため48時間後にも刺身で食べてみましたが、こちらは24時間の物と比べて旨みが少し増していたように感じました。その代わりに弾力は失われていました。たんぱく質の分解の結果なのでしょう。
現場で当日食べた刺身 |
それ以前に釣り場でも、同様の処理をして氷の中で硬直した物を、その日の内に刺身で食べました。上記の物との差異を言葉にするのは難しいですが、こちらの方が旨かったように記憶しています。特に残ったものをヅケにして翌日食べたのは旨かったです。これは醤油とみりんとの相乗効果でしょうが。
イワシのフライ
釣獲24時間後に手開きにして冷蔵庫に置き、計48時間後に衣を付けて揚げて食べました。淡白な味をフライの衣が包んで、とても上品な味で美味しく食べられました。イワシフライは過去何度も食べていますが、上品という言葉が浮かんだのは始めてのことです。やはり活け締めと血ヌキの結果ですね。
イワシの佃煮
佃煮と言って良いのかどうか、とにかく醤油とみりんで煮た物です。釣り場で捌いて煮た後に、中骨を取り除いて再度煮ました。冷蔵保存で1週間後に食べてみての感想は、小骨はしっかり残っていて触りますが、なかなか良い味です。魚の旨みが素直に出ていて美味です。釣り場で魚を煮ている光景はあまり目にしませんが、私のような旅釣りで小魚を釣ると、こうでもしないと持ち帰れません。強塩にするか固干の干物にでもすれば日持ちはするでしょうが、今時は喜んで食べる人は居ないでしょうからね。
本来おいしい魚でも、鮮度低下の早さゆえに、その美味を知っているのは漁師さんか釣り人。そんな魚はたくさんあり、小魚はほとんどがそうです。
味を知り、食べる喜びを感じ、栄養を摂り、健康的に遊ぶ。
買ったほうが安いのは家庭菜園の野菜も同じことです。
それでも健康的に遊び、生きることは、人としての当然のこと。
コメント
コメントを投稿