タカベが釣れた早春の西伊豆・戸田湾

3月中旬になり冬ごもりを終えた私が、今年初の車中泊釣りで釣ったのは、美麗で美味なる魚=タカベでした。


家を出た3/11には折悪しく冬型の天候となり、翌日には伊豆半島では10m/secを超える西風が吹いていました。おかげで、起床時の車内温度の低温新記録=3.2℃を体験しました。まったくの真冬です。

伊東市から海岸沿いを南下して時計回りにぐるりと一周しましたが、下田市から先ではどこも強い西風で釣りにならない、どころか、車が海水シャワーを浴びてしまいました。3日目に戸田湾まで来てようやく風が落ちました。


2019.03.14

午後の3時頃に戸田に着くと、戸田漁協前の岸壁に釣り人が居ました。釣り人が居ても釣れていないのが、よくあることと期待もせずに近付くと、何やら釣れています。えっ、タカベですか、こんな時期に。それも小魚というには大きいのです、こりゃ一大事。


さっそく釣り座を構え、常備餌(通年車内保存)であるアミコマセの塩辛と米粒大のイカの塩辛を取り出して、釣り開始です。ハリスは1号(以下は持っていなかった)ですが、大丈夫でしょうか。

おっ、掛かった。グイグイとなかなか良い引きをします。久しぶりの魚の手ごたえ、ったって、渓流竿だからのしなりと糸鳴りですが、それでも良いものは良いのですよ。1尾目をゲットして、はいチーズ。


久しぶりにご対面のタカベです。相変わらず、美しいお姿に見ほれてしまいます。コバルトブルーに黄色の縦一線。この秀逸なデザインは、そこいら辺のデザイナーさんには描けないでしょうね。しかも食べて旨いとくれば、文句の付けようがありません。

本当は、今回の伊豆釣行では、どこかでブッコミ釣りでマエソか何かを釣ることになるのか、と思ってきたのです。私は贅沢は言いません。食べられるものなら、何でも釣れれば良し、ですから。

ポツポツ日暮れまで釣って、ツ抜けは成らずの9尾止まりでしたが、予期せぬ出来事だったので十分でした。わずかなタカベのヘッドレス処理を終った頃には、周りはヤリイカ釣りの電気浮きが点々と浮かびました。

タカベ釣りの終わり頃に釣れてしまって取り置いたネンブツダイが活かしてあったので、私も参戦することにしました。本当は予定の行動だったりして。

同時に集魚灯にも点灯したのですが、隣からクレームが付いたので灯りは撤収。好奇心や探究心、向上心の無い人に講釈をするほどの親切人間ではないので、私の都合で平和を維持したまでの事です。

20時まで、自作のイカ・タチ仕掛けでトライしたのですが、ノーフィッシュで終わりました。(翌日聞いたところでは、この夜は結局26時までの間に、誰もヤリイカは釣らなかったそうです。)

まぁ、ヤリイカは真冬の釣り物と言われるような物ですから、既に終っているのかもしれません。別物ですが、当夜ここでアオリイカの0.8kgクラスが1杯揚がったと聞きました。盛期が5、6月というのですから、随分早いですね。

そう、下田の犬走り堤防でも先週、同型のアオリイカが揚がったと聞きました。こういう稀な釣果に賭けるような博打打でない私は、おとなしく温泉に入って、明日のタカベ大漁を夢に見ながら、道の駅で静かな眠りに就きました。


2019.03.15


くるら戸田駐車場での爽快な目覚めが6時過ぎ頃。今日だけは風弱しの予報ですからイソイソと洗面トイレを済ませて戸田漁協前岸壁に向かい、コマセを投入開始したのが7時頃でしたが、少し早かったようで魚が寄りません。釣り人も誰も居ませんでした。


微風の岸壁で朝食の味噌雑炊を調理しながら、寄りを待ちます。未だ寒い朝は熱々の雑炊はご馳走です。私がゴチソウサマをしてしばらくした8時頃になって、タカベが寄りはじめました。魚の姿を見たので、すぐさま近くの釣具店に行ってアミコマセを買って来ました。小角が350円也。

自然解凍を始めて気付いたのは、乾燥と粒の細かさでした。袋の口を閉じていなかったので当然乾きますよね。これは表面だけだから目をつぶるとしても、粒の細かさはどうにもなりません。これじゃ通し刺しが無理に近い困難ですが、どうしようもありません。

1/1000位で混じる大き目を選び出して針に刺します。いゃー、ストレス溜まりそう。でも大漁旗を揚げるにはやるしかないのです。

それにしてもタカベ達の活性が低いのです。腹を減らしているのなら、コマセのアミに向かって猛然とダッシュして来て、我先に奪い合うはずなのに。既に朝食をどこかで済ませてきたのか、コマセを入れても鷹揚に構えています。こりゃー釣りにくい。

やる気の無いタカベがちょっと沖目に移動すると、隙を狙ってスズメダイが岸壁下から出てきて掛かります。避けようとして急に上げると餌が外れるので、つい避けきれずに。


スズメダイは岸壁の嫌われ者ですが、あらためて見ると綺麗な魚ですね。目なんて宝石のようですよ。ネット上で「焼いて食べるのが一般的。非常に脂が強く、濃厚な旨味を持っている。」という情報を見つけたので、次回は釣ってみましょう。

それはさておき、時折タカベの活性が上がり、数が増えていきます。釣ったタカベは活かしバケツと水汲みバケツに入れて、あがる(死ぬ)前にはヘッドレスにして、ビニール袋に入れてクーラーの水氷に浸けていきます。

いつの間に来たのか、気が付くと南隣にこの釣り場の主のような雰囲気をまとった4人の爺がやってきて釣りはじめました。横目で見るとトリック仕掛けでハイペースでタカベを揚げていきます。

当人のガラケーの会話で聞こえてきたのは、ハリス0.3号の市販のトリック仕掛けを使用しているとのことでした。エダス0.3号の仕掛け一組ではとても1日は持ちこたえられないでしょうから、何組も買ってきたんですね。

細いハリスで面倒だから作らない、そうのたまっていましたが、私なら作ります。ただしトリックをやるには道具が嵩張るので、軽バン車中泊の私には無理です。なので私は、道糸・ヨリモドシ・ハリス・針というシンプルな仕掛けの見釣りになります。

餌の付いた針が口中に入る瞬間に、ピッと合わせますが、これがなかなかどうして100発100中とはいきません。そもそも、投入したコマセに寄っ来ても、アミ1匹の数センチ手前で、タカベ君は一旦停止して安全確認をするのです。そこで、針付き餌は見るだけで避けてスルーと相成ります。

コマセに同調して針付き餌を送り込んでも、結果として針付き餌だけが最後まで残されます。よほど腹ペコか経験値が足りないような個体が、たまに確認後に口に入れますが、違和感があるとプッと吐き出してしまいます。そのプッの前に合わせなければならないので、コンマ何秒の気が抜けない真剣勝負になるのです。

タカベの群れの中には大きな物も居ますが、まずもって針には掛かりません。ようやく掛けてみたら20cmありました。平均的な17cmと並べてみると違いがよく分かります。


時折休みながらも、8時頃から18時頃までの釣りで65尾を得ました。他に5尾ほどはヘッドレス処理中に、車止めに置いたまな板の上から海に帰って行きました。善行をすると気持ちが良いものです。否、本心は、あっあっあー、モッタイナイ。

ヘトヘトになりながらも満足のいく一日が終わる頃には、周りはまたぞろヤリイカ狙いの電気浮きが浮かび始めました。一緒にお話しながらタカベ釣りをしていた鮎釣りの職漁師さんがヤリイカを始めたので、隣で見物しながらだべってクールダウン。

明日は午前中から雨との予報を見て、起きたらさっさと帰ることを決意。
20時になってネグラに引き上げ、温泉入湯後にビールを飲んでオヤスミナサイ。


2019.03.16

道の駅"くるら戸田"で目覚めたら、駐車場のアスファルトがわずかに濡れていたので、洗面とトイレを済ませて帰路へ向けて出発。10分も走った所で、ん?空が明るいなー。

天気予報を見たら変わっていました。本日は雨無し。直ちにUターンして戸田漁協前岸壁に向かいました。出発前に確認しなかった自分が情けない。


戸田漁協前岸壁に着いたら、案に相違して人が少ないのです、土曜日というのに。遠投カゴ釣りをしていた先行者にあいさつして、南隣で私が竿を用意したのは7時半頃でした。

前日の夕方にタカベを見て出てきた旅人も竿を出していましたが、未だスズメダイのお時間で、タカベの顔を見ずに旅館の朝食に帰って行きました。残念でしたね。やはり旅館泊まりは、釣りでは車中泊には敵いません。

前日と同じ8時頃からタカベが出勤してきて釣り開始。この日もあまり喰いは良くなかったのですが、ポツポツと拾い釣りを続けて11時半の納竿までに38尾を得ました。この日はこれから帰途に就くので、手抜きしてタカベは未処理のまま、すべて直にクーラーの水氷に逆立ち状態で浸けて、持ち帰ることにしました。

片付けを済ませ、釣り場を洗い流し、走行湯沸しをセットして足掛け3日の戸田湾に別れを告げました。まったネー。

ちょうどお湯が沸いた頃に通りかかった静浦漁港に初めて立ち寄り、カップラーメンを食べながら、遠投カゴ釣りの実演を見学しましたが、釣り人も少なく、何も揚がっていないように見えました。

そこから我が家までジャスト3時間の道程をノンストップで帰り、今回の釣行は無事に終わりました。グーグルのナビの予想時間から1分の延着でしたので、かなりの優れものなんですね、グーグルナビは。

今回の釣行は、なーんにも釣れないことも想定していたのですが、私の好きな小物釣りができて良かったです。大物釣りへのレベルアップも目指したいとは思いますが、、、これはこれで良いんじゃないですかね。


戸田湾でタカベ釣りの総括


・アミコマセは必用(もしかしてパン粉が使えるか?)
・刺し餌はコマセと同じアミがベスト
・釣り方は有利な順に トリック > 見釣り > 浮き釣り
・サビキではまず無理だろう
・釣り場でエラと腹ワタを出さないと鮮度低下が著しい

今回のタカベの魚体は16~20cmで平均的には17cm=50gだったので、最大サイズが25cmとされているタカベとしては小さくはなかった。ゆえに小魚と侮ってかかるとまず釣れないだろう。

今回のタカベの一つの群れはさほど大きくはないものの、コマセが効いている限り日中は居続けた。しかし周囲の人のコマセの使い方が多いと、すぐに満腹(胃の内容物で確認)になって喰いが落ちてしまう。いわゆる喰い渋り状態で口を使わなくなるので、餌も仕掛けもいいかげんではほとんど釣れない。

小針(3or4号)に細ハリス(0.4or0.6号)で、アミ1尾の通し刺し、これなら拾い釣りで数が伸ばせる。意外にむずかしい釣りだが、それゆえに面白くもあり、楽しめる釣りだった。


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