アイゴの味/福田漁港他での釣果
何が釣れるのかなー、と行ってみたら、これしか居なかったので、釣ってきた物です。釣獲後すぐに足で踏んづけて、頭の後ろをハサミでパッチンと切って即殺。海水バケツに放り込んで血抜きし、1時間後に背びれと腹びれをハサミでじょきじょきと切り落とし、ヘッドレスにしました。ペットボトル氷のクーラーに入れて持ち帰り、そのままほったらかしで、翌日の夕刻に内外の掃除をして整形して揚げました。およそ24時間後に食べたことになります。
片栗粉をまぶし付けて揚げる前に、酒と塩コショウで下味を付けておいたので、なにも味を付けずに口に入れました。
魚の味が脂にマスクされ、そして香ばしい風味とともに口中に広がり美味です。わずかに感じる磯の香のような匂いも、揚げ物特有の香ばしさと一緒になって、ほど良い感じです。肝心の身質と味は、ホロリと柔らかな白身に旨味があって、こんな小さくても一人前の旨さがあるのに、ちょっとビックリでした。
これはSサイズですが、過去にはMもLも食べたことがあります。他の料理もそれなりの調理でそこそこ美味しく食べられるので、捨てるのはもったいないです。食わず嫌いで選り好みするのは無知蒙昧の表れですから、食べる釣り人としては如何なものでしょうか。
もっとも西の人は食べるのが当然のようですから、上の言葉は東の人に向けたものです。なお、怪我のないように、背鰭と腹鰭は切り落としてから調理することだけはお忘れなきよう。いきなり触って痛い思いをされませんように。
ちょっとググッテみたら、アイゴの腹ワタだけの料理が紹介されていて驚きました。アイゴの腹ワタですから、臭いはかなり強烈でしょう。たしかに腹腔内脂肪が多いので、これも食べ慣れれば美味になるのですねー。んー、勇気が要るなー、考えておきます。
今回のような小形の魚は当日食べる方が美味しい場合もありますが、きちんと適切な処理・管理がされていれば、翌日くらいがベストだと、私は思います。もちろん、シラスのような仔魚レベルの物は獲れたてが旨いですが。
小魚の定番料理のカラ揚げは、どんな魚でも美味しく食べられる料理ですが、高めの温度で短めの揚げ時間が、カラッと美味しく作るコツです。この逆をやってしまうと、ベッチョリと油っぽくなります。
追記 2019.10.05
2019.10.02 撮影 |
刺身 (釣獲1.5日後)
切り方と盛り方はまるで素人ですが、薄目の平造りなので身質の透明感が感じられて、旨そうに見えますから、愛でて(目で)食べられます。
まずは醤油も無しのストリップで口に含んで味わいます。じんわりと湧いてくるかすかな甘味と旨みに匂いはありません。
醤油を付けて食べると、今度は魚の旨みが増してきます。旨みの相乗効果は本当に凄いものです。しょうゆの旨みの上に魚の旨みが乗っかっている感じです。
ただ、過去にもっと旨いアイゴを食べた覚えがあるので、期待したほどではありませんでした。季節や個体差やあらゆる条件で魚の味は変わりますから、魚は面白いです。
身は軟化していましたが、未だ食べるには早かったのかとも思います。この類の白身魚は、ある程度置いて熟成させないと味が出てこないように思います。これは赤身の青魚と大きく異なるところです。
ちょっと早まって食べて、魚に悪いことをしてしまったのかもしれません。ただ、臭い魚なんて評価は、魚の初歩的な扱いを知らない者の言うこと、としか私には思えないのです。
粕漬け (釣獲4日後)
漬け床に3日間ほど漬けてから焼きました。薄目の味付けにしたのですが、それは魚の味を殺さないためです。残った漬け粕は、味噌汁に入れて、味噌粕汁にして食べました。
焦がさないように水洗いして焼きましたが、香ばしい香りが部屋に漂って、それだけでも旨そうな期待が高まります。
口に含むと、もちろんのこと粕漬け特有の香りが満ちます。大人にはこたえられない味覚です。
そも、粕漬け自体の味が旨いので、魚の味は大人しく後ろに控えている、という感じです。それでも相乗効果か、刺身で食べるよりは魚の旨みも感じられます。
好みもあるでしょうが、ホンニ粕漬けは美味なる調理ですなぁ。
追記 2024.10.19
焼き浸し
焼いてから酢に浸けるこの調理法は、ママカリ、アジ、サバ等で行われる調理法ですが、ここでは小型のアイゴで作りました。腹ワタを付けたままでは臭いが身に移るので、釣り場 (福井県・越前漁港)で死んですぐのアイゴを ヘッドレス にして、冷蔵で持ち帰りました。調理は翌日に塩コショウで下味を付けてから素焼きにして、調味液(土佐酢+砂糖)に浸けて7日間。
さて、狙い通りに骨が柔らかくなってくれたのか。前歯でガブッといくと、、、唐揚げでは固くて食べられない中骨が、そこそこ軟化していました。ほぼ問題なく食べられる?と言えます。あっ、もちろん美味しいですよ。魚の旨味に乗った調味との相乗効果ですね。ただ、ややクセが強調されるような気もしました。
この調理法は、揚げ浸しと比べて、調味が浸透しやすい特徴がある点で優れています。油で揚げた方が美味しい場合もありますが、手間はどちらもそれなりにかかるので、好みと向きで選べばいいですね。素焼きを電子レンジで代替は無理です。
薄い酢とはいえ、調味だけでなく延命(制菌)効果もあるので、冷蔵庫で1週間以上は大丈夫です。が、美味しいピークを過ぎると味が落ちてくるので、まぁ一週間位が食べ頃です。
追記 2024.10.27
アイゴの丸煮
磯の香があるので好き嫌いが地方によって別れる、まさに食文化の面白さが出る魚の一つがこのアイゴです。東日本の釣り人の間での一般常識では「もし食べるなら、釣り場で内臓等を捨てて・・」なのですから、丸ごと食べるというのは驚天動地ものです。
今回の福井県・越前漁港への釣行では、この料理のために、釣った小アイゴを2日間海中で活け越ししました。腸管を空にしたものを活〆して、、体内からの腐敗、劣化を最小にしました。
鰭の棘が毒を持つので、釣り上げ時から気を遣ったうえに、ここまでするのは食の求道者か、という思い上がりは捨てて、謙虚に賞味しました。
少し濃い目の味付けにしたのは、万一に備えた保険のようなものですが、煮ている間も、出来上がりにも臭いはほぼゼロでした。醤油にマスクされてしまったのでしょうか。
写真では煮汁をかけ忘れましたが、苦玉(胆嚢)も外さずに煮たのでそこから煮汁に苦みが出たのだと思います。手前に添えたのは、干物用に開いた魚から取り出して一緒に煮た、ゼンマイとも呼ばれる内蔵だけの塊です。
ほろ苦い味の煮汁を付けて、先ず身から口に運びます。んー、もっちり感のある白身から旨味がにじみ出ます。幼魚なので未完成の身質でしょうが、旨いです。
続いてゼンマイを口に。おーーっ、身肉より断然旨いです。臭いなんてゼロ、かな。渦巻き状の腸管の間を埋める脂肪が溶けだして、滋味たっぷりな内臓に味の上乗せです。
いやー、驚きでした。本当に旨いんですねー。こりゃー、アイゴへの認識が逆立ちです。
そうですね、鳥やフグが魚を食べる位置の順番は、目、腹ワタ、身肉、なので。素直に学んで従いましょう、栄養的にはですが。
追記 2024.10.31
アイゴの開き干し
上の煮付け用にゼンマイを外した後の物を開いてたて塩漬けにした後、秋の優しい陽に当てて干しました。表裏同時に焼けるロースターで焼いて完成です。
そもそもが小型だったので、ろくに食べるところが無いなー。そう思いながら食べてみると、なんと美味。クセは全く無く、白身の旨味が塩で引き立てられた上に凝縮され、はっきりと旨いです。
焼き加減も良かったので香ばしく、骨離れも良かったので、絶品に近いものでした。硬い骨はそのまま食べられないので、残った物を電子レンジで再加熱して、きつね色に焦がして食べました。油で揚げるよりパリパリになって、この骨せんべいがまた旨いのです。
小アイゴとは思えない楽しみを知っていると、次回もまた・・・、と意気込んで行くと釣れないのが、釣りの世界ですが。
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