釣った魚の調理の基本-小魚編

陸からの釣りで連れる魚も種類は多いのですが、小型の物が中心になります。この小魚を美味しく無駄なく食べるための調理の基本を、1枚のプロセス写真を元に解説します。

 調理以前の鮮度保持については別の記事がありますので、そちらをご覧ください。
 → 釣った魚の鮮度保持方法・・ヘッドレスを低温下に

ここでの説明は、捌き方ではなく処理形態です。たまたまタカベを釣ったので、これで説明します。写真のタカベの魚体は平均17cm=50gです。

海で生きている魚を釣り上げたら、まずは活け〆するのがセオリーです。これにはいくつかの方法がありますが、小魚の場合には数釣れて忙しいこともあるので、いきなり水氷に浸けて〆るのが適当です。しばらく置いて死後硬直後の硬くなった物が、調理し易いです。




1. ラウンド・・丸


専門の ウロコ取り があれば使いやすいですが、小出刃包丁 の峰でもできます。乾くと剥がれにくくなるので要注意。

丸干しや唐揚げでは鱗の有無は別にしても、このラウンドの物を食べることもありますが、釣魚の場合には釣った際のエサを食べることになるので、あまりお勧めはできません。

2. エラワタ抜き・・GG(Gilled and Gutted)


エラや内臓といった腐敗しやすい部位を取り除き、同時に血抜きも行います。上の写真では頭左の裏側の胸鰭を三角に切り取っていますが、取らなくても可能です。エラと内蔵は一緒に取り出せますが、背骨の下に密着している腎臓(血わた)は歯ブラシ等でかき取ります。塩焼きや煮付けなど調理の前処理として行います。

3. ヘッドレス・・無頭


業界内ではドレスで通り、尾まで切り落としたものを言う場合が多いようです。切断面の汚染を防ぐにはカマ上で切りますが、写真のようにカマ下で切ることもあります。ここまで処理するとコンパクトで運搬が楽です。唐揚げにする定番スタイルです。

4. 背開き・・骨なし


3.の尾付きのヘッドレスの背側から包丁を入れて中骨のほぼすべてを外します。骨の硬さにもよりますが、硬い場合には腹骨や鰭の付根の小骨も除去します。前工程で、ひらき後の形を考えて断頭します。てんぷらやフライにする際のお決まりの形です。腹側からひらく腹開きもあり、そちらの方が容易です。

5. フィレ・・三枚おろし


3.の尾付きのヘッドレスから上身と下身の2枚を取ります。腹骨をすき取るか、小骨を抜くかは必要に応じて行います。フィレの皮をひくと、スキンレスフィレになります。ここまで処理するとどんな加熱調理にも使えます。和食は皮付き、洋食は皮なしが基本です。

6. サク・・刺身


スキンレスフィレの骨無しの物です。本来は大型魚から切り出した短冊状の物を言う言葉です。小魚の場合には、片身のサクが1カン分の寿司種に使われることもあります。サクという形以前に、鮮度と衛生状態を考えて生食に供します。

7. ミンチ


3.のヘッドレスから尾を切り取って挽き材としています。粗いプレートで下挽きした後、3mm目のプレートで2度挽きしているので、このミンチは骨はほぼ当たらなくなっています。


これに食塩他の調味料や副材料を加えて魚肉の団子を作ると、いろいろな派生料理ができます。手間は掛かりますが、小魚が美味しく食べ易くなります。いわゆるすり身はミンチとは別物ですから製法が異なりますので、家庭では作れません。

ミンサー(チョッパー)はパワーが無いと骨ごと挽けず、用途が限られてしまいます。蓄肉でも、筋を挽けるか否かの違いが出ます。手廻しはとても疲れるので、少量の処理に限られますし、それなら包丁で叩いた方が早いです。

私は このミンサー で4台経験していますが、能力とコスパではこれが一番です。ただし3mm目が付属しないのが難点で、他機種のプレートを充てて使用しています。


コメント