タカベの味/西伊豆・戸田湾での釣果



西伊豆の戸田で足掛け3日間(3/13.14.15)に釣った魚は、1、2日目の物は、釣り場で活け〆でヘッドレスにして水氷を経て車内冷蔵庫へ。3日目の物は、生きたラウンドのまま水氷に浸けて(〆て)持ち帰りました。

3日間に釣った魚の事後比較としては、ヘッドレスにした物の方が傷みが無く良好でした。ラウンドで持ち帰った物も、即日処理すれば遜色なかったと思われますが、疲れに負けて翌日処理しました。氷が効いていたにも関わらず、24時間程の経過で、ハラモ部分は弱くなっていました。やはり小魚、特にコマセを食べた魚は ヘッドレスやGG にまで現場で処理するのが鉄則です。反省。

というわけで鮮度がバラついてしまったので、選別時の現物主義で加工と調理の向け先を決めました。

 良品・・サク、フィレ、GG
 並品・・背開き
 ほか・・ヘッドレス、ミンチ

実際に調理して食したのは3/16以降ですから、釣獲後1~4日になりました。ラウンドで持ち帰った物を除けば、外見上の鮮度低下は軽微でしたが、小型ゆえに食味の低下はあったでしょう。

釣り場で包丁を入れた際に分かっていたことですが、今回の魚には脂はゼロでした。そもそも美味なる魚ではあっても、夏場が旬と言われている魚の、春の脂ゼロがどう影響するのか・・。


タカベ料理十選



姿作り



全長20cmのタカベ2尾+で造りました。身が柔らかくて角が立てられず(腕が悪く)、見栄えがしませんね。醤油をちょっと付けて一口含んで、ふむ。

クセのない淡い旨みが感じられます。白身と赤身の中間タイプのマアジのようですが、どちらかというとこれは白身に近いタイプでしょうか。強い印象は残りませんが、それなりの美味です。

今度釣ったら、即日で食べてみようと思います。



塩焼き



GG(エラワタ抜き)にした、平均よりちょっと大き目の18cmを焼いてみました。焼いても締まらない身の柔らかさは良いです。かと言って水っぽさもなく、テクスチャーは。噛みしめると優しい旨味が口中に広がります。難は、小骨が硬くて危ないと感じたこと。



煮付け




ヘッドレスのタカベを短時間で煮あげたせいか、ホニャッと柔らかい身です。薄目の味付けとマッチして上品でクセのない味はなかなか良いです。丁寧に骨を取ったら、離乳食に向きますね。



南蛮漬け



タカベのヘッドレスに塩コショウで下味をつけ、片栗粉をまぶしつけて、キャノーラ油で揚げました。その上に生の玉ねぎスライス(+鷹の爪の輪切り)を甘酢に漬けた物をのせて冷蔵庫へ。3日目に食べました。

この料理で食べられない小魚はまずありません。普通に美味しいです。でも、魚の味が沈んでしまうのは仕方ないですね。元々骨が硬いので、このサイズに(50g)になると、骨は食べられません。



フライ



背びらきにしたタカベを一旦は凍結保存し、後日、解凍後にバッター使用でごくふつうにフライにしました。保存期間が短かったので、ドリップの流失もほとんど無し。揚げたての熱々に塩を振ってレモン汁をかけ、パクッ。

んー、旨いですね。わずかにイワシフライに似た風味を感じるのは、何でしょう。もしかしたら皮目の味でしょうか。フックラ&アッサリが、素直に美味しい。

フライにして喰えない魚は無い、という私の慣用句は、ここでは封印しておきます。



てんぷら



三枚おろしのタカベを普通に揚げました。

揚げたてならではのホクホク感がたまらないです。旨みを逃さずに油でマスクする、この調理法は強力です。だから美味と言うと、タカベに悪いかな。でもホント、旨いです。




香味揚げ




タカベのミンチに炒り胡麻や調味料を練り混ぜて、骨無しの背開きの身で包みこみ、板海苔でくるんで天婦羅にしました。1尾を2つに切ってあります。ちょっと手を掛けたのは、魚自体の味のインパクトが弱いと感じたからです。

海苔の香りに胡麻の風味が重なり、なかなか良いです。素材の旨さもかえって生きてきたようにも思いました。油調理ですから、その加点もあります。まぁ、遊びの世界ですね。



つくね椀



タカベのミンチに1%の食塩と生姜の搾り汁を混ぜ、丸めて団子にした物をボイルしてツクネを作り、昆布で引いただし汁を張っていただきました。汁物はしっとり食べられて結構です。かなりの美味。



くねのネギマ風



前出のツクネのアレンジです。酒を入れたフライパンでぶつ切りのネギを蒸し焼きにし、ツクネを加えて温め、味醂、砂糖、醤油の順に加えて絡めながら煮詰めました。

骨も皮も込みで挽いたミンチは、特有の匂いが出ます。これをタレがマスキングするので、とても自然に美味しくなりました。脂がなくても、ぱさつき感が無いのがミンチの利点で、これも良いです。



ひらき干し



骨まで取った背開きを、冷蔵庫内で薄い塩水で一晩漬けてから、天日干ししました。生干し程度です。焼きも浅くして、フンワリ感が残るように仕上ました。

んー、これは旨い。さすがに旨味が凝縮されて、なんとも。今回のタカベ料理のグランプリかな。今時は喜ばれない調理法なのかもしれませんが、旨みの凝縮と天日の恵みですか。


タカベの味 まとめ


今回の平均17cmサイズと比べて、もっとずっと小さな物を過去に何度も食べましたが、夏頃だったのかもしれません。それはそれは旨かったです。

ほど良く脂が乗って、丸干しを焼いたら脂が滴り落ちた、そんな記憶が頭にこびりついていたので、正直のところ今回の魚は期待はずれでした。

脂の乗りは、単にそれだけではなく、筋肉組織のたんぱく質とアミノ酸の組成の違いもあって、旬(季節変動)という言葉で表わされる食味の違いになっているのではないかと、私は想像しています。

今回のタカベも、油調理のフライやてんぷらは旨かったし、開き干しは旨味が凝縮されて美味でした。そもそも不味い魚ではないのですから、やはり旬を外れた魚こそ、調理技術が問われるようです。

本音を言えば、技術無用の、脂の乗ったタカベが食べたーーーい、です。いつかどこかで巡り会えると良いなぁー、生きてるうちに。

それにしても、釣りは料理まですると面白いですねー。おかっぱりでは立派な魚にはあまりお目にかかれませんが、少なくとも鮮度抜群ですから、いろいろな食べ方ができます。こんな小魚と馬鹿にするのは自由ですが、実はかなり贅沢だったりするのです。


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