釣りに"溶ける紙"を使う



釣りになぜ、"溶ける紙"を使うのでしょうか。ネット上には、針付けした餌が投入時に途中で落ちないためにカバーする、という使用法の記事が唯一ありましたが、他には見当たりません。

釣りという趣味は他の趣味と同様に、深みにはまると底がありません。私も長靴では危ない程度に、はまりかけているのかもしれません。

私は車中泊で釣りをするので、車中に悪臭の素は持ち込めません。釣りのコマセの定番で最も効果が高いといわれるアミコマセですが、これは自己消化がとても早くて腐りやすい物です。

ですから私は、少量を塩辛にして車に常備する以上には使い(え)ません。そのために開発中の、釣りコマセ用ドライペレット を使用するコマセカゴも同時に製作中です。


このコマセカゴは、開口部からペレットを入れて口を閉め、投入、着水、降下、停止 の後に、下部に設けた放出孔から、ポロポロとドライペレットが放出される、というコンセプトです。

自然に放出されるためには、ペレット径<放出孔径 でないと、ペレット同士の干渉があってスムースに出て行きません。

その大き目の下部の放出孔をフリーにしておくと、陸上でペレットを詰めると同時にボロボロ出てしまいます。

それを防ぐ弁が必要になります。陸上では孔の蓋をしていて、海中降下停止後は孔を塞がないように。いろいろ作ってみました。


差し渡し十数mmの細かな部品なので、それなりに苦労して作り、ある程度の完成度にはなっています。が、いまひとつしっくりしないので、代替案を考えて無い知恵を絞りました。


思いついたのが、紙の蓋です。トイレットペーパーやティッシュペーパーで内側に一時的に蓋をしておき、海水にぬれて破れて開口する、というのはどうか。簡単に溶けてくれるかな。

んー、もっとダイレクトに使える物は無いかなー、溶ける紙。ググッテみたら有りました、溶ける紙 。110円ショップにも在るという情報を見て、勇んで買いに行ったら、「ウチには置いていません」。

隣のホームセンターでも「それってどんな物ですか」。仕方なく通販で" 溶ける紙 "を注文しました。このパターンが多いので、実店舗へ行くのが馬鹿らしくなってしまうんですね。


溶ける紙の溶解実験


届いた"溶ける紙"をテストしてみました。B5版1枚で20円強なので安くはありませんから、それなりに期待しました。

ついでに、流せるティッシュペーパーとトイレットペーパーも溶解実験に参加させます。安い物で間に合うなら、そちらを使いますから。

溶ける紙・トイレットペーパ・水に流せるティッシュペーパー

2㎝角に切った3種の紙を針金に串刺しにして、一杯に水を満たしたグラスの上に置きました。な、な、なんと3秒で針金から下の部分が落ちてしまいました。


"溶ける紙"は、グラスの中を下降中にもバラケました。底では分散してしまって形がありません。本当に溶けるんですね。びっくり。他の2種は変化無しですから。

この"溶ける紙"は使えそうです。ということで、続いて開発中のコマセカゴの中にセットして溶解実験をしました。


カゴの底の放出孔の上に紙をセットして、カゴを水に沈めていくと、初めは浮いて、カゴの中を上がって行きましたが、上がり切った途端に、バラケて、孔の下に降下していきました。あっという間の出来事で、写真に残すのも無理でした。

これなら文句無しです、溶け方は。あとは水濡れ現場でのハンドリングが、可能になるかどうかです。コマセカゴへの挿入時に塗れてバラケてしまっては実用不可です。

これは要検討ですが、不可能では無いように思います。もう一点大事なコストですが、B5版1枚から140ヶ取れるので、1ヶ当りは0.16円となり、問題無しです。

溶ける紙は、製法的には繊維間の結合を弱く作ってあるらしいので、環境への負荷も無視できる範囲と考えて良いでしょう。

おー、これで開発中の" ドライペレットこませ "を使う釣りのメソッドが、大きく前進しそうです。


3日前に押出成形したドライペレットは、この2日間の乾燥した晴れの天気の下、順調に乾きつつありますから、遠からずテスト釣行できるでしょう。釣果はともかく、楽しみなことです。

このひもの干し網で生重量約4kgのペレットを乾燥させています。天日と風だけでは絶乾にはなりませんが、結果として 長期保存 ができています。もしかしたら発酵材料の添加が効いているのかもしれません。

写真の  ひもの干し網 はPE製なので、大事に使えば長期の使用に耐えられます。長持ちさせるポイントは、被覆鉄線(針金)の端末から水が入らないように、新品時にシーリング材(接着剤)を被せておくことです。


紙について、後で調べて分かりました。トイレットペーパーは100秒以内に溶解するというJIS規格品でないと、簡単には溶けないのだそうです。本当に100秒以内で繊維が分散してくれるなら、JISトレペも魅力的ですが・・。

また、溶ける紙(繊維が分散し易い)は最近できた物ではなく、かなりの歴史があるそうです。森羅万象、まだまだ知らないことだらけです。

知るは楽しみ也、ですが、釣果も欲しい也。


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