ワラサ(ブリ)の味/遠州浜での釣果



今回のワラサは、2019.11.21 に遠州浜(湖西市)で釣ったものです。暴れられると危険でもあるので、釣り場で即〆して血を抜き、常温で持ち帰りました。解体して冷蔵庫に収めるまでは、釣り揚げてから2時間ほど掛かりましたが、死後硬直が始まっていなかったのは、魚体の大きさですね。

スリムな姿を見れば歴然ですが、残念ながら脂は皆無だったのです。ここまで脂の無いワラサを過去に食べたことが無かったので、今回は興味深かったです。

冬の天然ブリのような脂が無い弱点はあるものの、釣り人の特権である即〆と血抜きを施した物は、身に血の残った流通物では味わえない、雑味の無いピュアな旨味が楽しめます。


刺身(平造り) (釣獲3日後)



ヘッドレスで冷蔵庫で寝かせておいた物から造りました。まだカチカチのように感じて、早まったかなとも思ったのですが、身おろし中にはちょうど良いタイミングと思えました。

白身ならともかく、透明感があるのを見ると複雑な心境です。脂が無いことの証明ですから。

先入観と予断を排して一口。うーん、爽やか。臭みや癖なんてものは一切無く、あっさりの旨味が、さりげなく口中に拡がります。ほー、こういうワラサの味もあるんですね。

物足りないといえば、そりゃぁそうですが、それを欠点と見るか、個性と見るか、ですね。白身のような繊細な青魚、とでも申しましょうか。これはこれで、はい。

つい贅沢に、厚く切りつけてしまいましたが・・。まだ、硬めだったので、もう1日置いた方が良かったかもしれません。微妙なところでした。



ムニエル照り焼き (釣獲3日後)



雌節の皮を引いて、洋風にスキンレスの切身にしました。普通は多少は脂があるものですが、本当にゼロ。でも腹身ですから雄節とは身質が違って柔らかなはずです。

小麦粉をまぶし付け、フライパンに少量の油をしいてソテーしました。余った油を捨て、そこに調味液を入れて絡めて出来上がりです。

熱いうちにいただきます。ほー、これは良いですね。やはり調味料の旨みとの相乗効果でしょう。身も思ったとおり柔らかです。これはいただけます。美味。



カマの塩焼き (釣獲4日後)



裏側から多めの塩をして、2時間ほど置いてから焼きました。切り方のせいで身の量も少なめでしたから、ごく控えめな一品です。

食べてみると、それでもブリの妹ですから、その旨みはあります。市場経由の物と違って、生臭みも焼け臭もないフレッシュ感だけでも、今時は贅沢と思わなくてはいけません。はい、美味しいです。



アラ汁 (釣獲3日後)



中骨を入れるとかさ張るので、出汁だけとって、これと兜煮に使いました。魚の骨は獣肉のように何時間も煮る必要がなく、30分も煮出せばいいので楽です。昆布も使用。

大根に火を通しておき、霜降りしたアラを加え、出し汁で作った味噌汁を注いで出来上がり。

なかなか良い出汁が出ていて、美味です。全く脂の浮かないアラ汁というのも珍しく、あっさり味の上品さが高級感を醸し、新鮮でもありました。



兜煮 (釣獲4日後)



頭の中でも眼や脳の周辺にはDHAが多いので、それらを骨とともにそっくり食べられるように、圧力鍋で煮ました。筋肉中の脂質がゼロだった今回の魚では、唯一の脂質摂取源、なんて理屈をいうまでもなく、眼球周りと脳味噌は旨いんです。皮も軟骨も旨いですしね。

一口食べてからは、箸を置くまでノンストップでした。やぁー旨かった。今回のワラサ1尾の中で、これが1番だったかな、兜煮。B級美味礼賛。参考のため、梨割りの画像を末尾に掲載しました。



2020.12.31 追記

 竜田揚げ (釣獲30日後)



釣獲3日後に、雄節を1cmほどの厚さにカットして調味液に漬け、味が回った翌日から凍結保存し、約1ヵ月後に解凍して、片栗粉をまぶして短時間で揚げました。

口に運ぶと、香ばしさが鼻をくすぐり、噛みしめると、魚の旨みと調味料の旨味が渾然一体となって訴えかけてきます。にんにく、しょうがの威力は絶大です。旨いです、これは。

そもそも魚の脂が皆無なので、あまり期待せずに食べましたが、意外なほどに柔らかく美味でした。1回凍結だったのと、元の鮮度が良かったので、ドリップの流出が少なく済んだのでしょう。

やはり、脂の無いものは油を使って調理するのが無難です。

サバやカツオでも旨い竜田揚げですが、それらより上品で、万人向きのように思いました。




ワラサの頭の梨割り


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