一条工務店の家(アイ・スマート)の利点と欠点
こんな色使いの一条の家 i-smart |
一条の家に実際に住んでみた感想は、けっして悪くはありません。でも完璧とも言えませんから、その利点と欠点を、ハウスメーカー選択を検討中の方の参考に記します。
家は出来上がって住んで、ある程度時間が経たないと、その良し悪しが分からないものです。人によっても判断が分かれますから、悩ましい選択になります。特に初めての1次取得の場合には。
私は、仕事の必要に迫られてですが、今住んでいる一条工務店の家が通算4軒目になります。その内3棟は注文建築で、いろいろな家の多様な経験をしてきました。
職業としての宅建業の経験も10年ありますから、ある程度の知識はあります。ただしリタイアして5年余り経ちますから、多少は古くなった知識が混じるかもしれない点はご容赦願います。
なお、ここに記すことは、あくまで個人レベルの概念的感想ですから、参考にされる場合には、ご自分で詳細を確認してください。ちなみに、私の家は2015年4月竣工の i-smart です。
売却を視野に入れた4LDKの利用が可能な間取り |
屋根の発電量最大を企図した外形 |
一条工務店が建築する家の長所とメリット
1. 品質について
「家は性能」がうたい文句の一条ですから、基本的に他のハウスメーカーに品質で劣ることはありません。常に競争しているので、一時的に一部分で劣ることがあるかもしれませんが、トータルでは負けないでしょう。性能重視のために意匠に制約が生じますが、これを甘受するか否かは建て主の考え方です。快適性は全館床暖房で天国です。
2. 省エネについて
断熱、気密性能の高さによりエネルギー使用が抑えられている家ですから、旧来の家とは格段にランニングコストが違います。37坪で平屋の我が家(2人暮らしで常在)の例ですが、年間平均の電気料金は月額1万円をわずかに超える程度です。室内温度設定は夏が27℃、冬は26℃です。
3. ライフサイクルコスト(LCC)について
建築してから解体撤去までの建物に関する生涯費用は、建物の造りで大きく違いますが、一条の家はそれが少ないと言えます。長く使えるからLCCが低いのは当然ですが、タイル貼りの我が家では、外壁塗装が無用のため、それだけでも1年あたりに換算すると10万円ほどのコストダウンになります。
4. 営業姿勢について
設計を元に算出された価格に値引きはありませんから、明朗です。ゆえに分かりやすいです。営業マンとの駆け引きも無く、心穏やかに判断できます。折々にキャンペーンはありますから、上手に利用することで、コスパは上がります。
5. アフターサービスについて
営業マンを通じてだけでなく、会社としてのサービス窓口もきちんと機能しているので安心感があります。我が家は5年余り住んでいて、メンテナンスの必要でサービスを依頼したことは1度だけです。ただしそれは、やむを得ず採用した社外品の不具合だったので、すべて一条製品だったら、依頼はゼロだったでしょう。
一条工務店が建築する家の短所とデメリット
1. メーカー保証の承継
メーカーによる家の保証(構造躯体=30年間)が、譲渡による所有権移転で引き継げません。建てた家を売買することが少ないのは事実ですが、他の大手ハウスメーカーが保証を承継できる場合があるのと比べると、弱点とも言えます。
2. 価格
他のハウスメーカーと比べて、特に高価ではありませんが、パワービルダーの安価な家とはかなりの差がつきます。我が家では、ほぼ同サイズの家を一条工務店の半値以下で建てた経験もありますが、そのハウスメーカーは今も生き残っています。
3. シックハウス
一条の家は内装に自然素材を使わない家なので、暖か味に欠けます。シックハウスは無いことになっていますが、強制換気の量が少ない(基準は満たしているはず)せいか、過敏気味の私には完璧ではないように感じることがあります。家人は何も訴えませんから、普通人には感じられないレベルなのでしょう。
4. 工期
設計完了から着工までに時間がかかります。その時間は主として、国外でのパネル製作と輸送に費やされます。ただし建築地での着工から引き渡しまでは短いです。トータルでは特別に工期が長いとは言えませんが、気分的には待つ時間を長く感じてしまいます。
5. 社会的影響
材料や半製品(パネルを中心に)の製作が外国依存で、内需に貢献していません。一条工務店の利益には好都合であっても、国内経済的にはマイナスです。
私の住宅建築履歴と感想
29歳で
太平住宅が建てたペンション(今は無き太平住宅)
下請け会社の能力不足(ミス)で、基礎を打ち継ぎしたり、営業中に浴室の床が抜けたりというお粗末な建物でした。設計・監理の会社がバックマージンを取っていたようですが、良い勉強になりました。
37歳で
地場工務店が建てた作業所併用住宅(自分で書いた間取り図を元に)
予算ありきの低価格で国産グリーン材を使ったために、引き渡し直後から狂いが出て、泣かされました。断熱性能が低く、冬の朝は室温5℃という、現在の一条の家と比べると地獄の我が家でした。冬のガス料金は月に3万円かかりました。
59歳で
中堅ハウスメーカーが建てた専用住宅(チラシ価格に飛びついて)
38坪ほどの2階建て軸組みの長期優良の家が、登記費用まで入れて1200万円位で建ちました。企画品で間取り変更無しの、建売同様の家でしたが、普通に使えました。営業マン無しなので、施主に負担が掛かりました。
64歳で
一条が建てた専用住宅(屋根の太陽光発電は一時期は事業扱い)
初めての性能重視の家です。それまでの3軒の建築で色々な経験をしていましたから、「家は性能」で決まりでした。石膏ボードにビニールクロスは、味気ないと言えば言えますが、メンテナンスフリーも大事なことです。我が家では屋根に24kw分のパネルを載せていますが、平屋だからできたことです。ただしデザイン的には、私の目から見ても"品の良い公民館"です。家は何よりもまずはシェルターなので、見た目の変化を付ける凸凹で、性能を落とすのはもったいないと思います。
30歳だった私の息子の一人も一条の家を建てましたが、私が勧めたわけではありません。勤務先のトヨタの子会社でも、一条の地元ということもあるのでしょうが、エンジニア集団なので「家は性能」の一条を選ぶ比率が高いそうです。
最後に、大事なことを一つ付記します。
一条の家を建てるのであれば、紹介制度は利用すべきです。交渉による値引きが一切無い一条工務店の家を建てる場合の、唯一のお得な制度です。
他メーカーの交渉値引きに比べると大きくはないですが、みすみす逃すべきではありません。お知り合いに心当たりの紹介者がいらっしゃらないのであれば、このサイトを見ていただいたご縁で、私が紹介者になることも可能です。ご遠慮なくお申し越しください。
ただし紹介制度利用には条件があります。展示場訪問や資料請求などで、施主となる貴方の住所、氏名、電話番号などの個人情報を伝えていないこと、です。すでに一条工務店の見込み客リストに載ってしまっていると、紹介制度は使えません。悪しからず。
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