エゾメバルの味/北海道各地での釣果

エゾメバル (ガヤ)
北海道の岸壁で釣りをすると、顔を出さないことが無いほどポピュラーな魚で、ガヤガヤうるさいほど居るということで、北海道内ではガヤと呼ばれます。小物釣りではありますが、20㎝オーバーになるとそれなりの引きも味わえるので、内地人から見れば、立派な釣り物です。大き目だけを選抜して釣り場で即〆し、2時間後にはヘッドレスにして、冷蔵で自宅まで持ち帰ったチルド品です。

2022.09.23

唐揚げ (釣獲4日後)


酒と塩だけの味付けで、魚の味がストレートに出るように調理しました。

釣りあげてから4日目にもかかわらず未だ死後硬直中で、この魚の保ちの良さが分かります。ただし、。小型魚ゆえに、旨味の消失が懸念されます。

さてどうでしょう。加熱しても締まることのないこの魚の身は柔らかです。うん、旨いです。強い旨味ではないし、身に脂がある訳でもないのですが、白身の優しい美味しさです。

揚げ油の加勢を得たとはいうものの、立派に惣菜の役は果たせます。

南蛮漬け (釣獲4日後)


調理後、味をなじませるために、天地返ししながら3日間冷蔵しました。この調理は油で揚げて甘酢漬けですから、どんな材料でも美味しくなります。

とはいえ当然ながら、素材の魚が不味ければ、やはり美味しく食べることはできません。クセの無い淡白なガヤにはベストマッチの調理法のように思いましたが、結果は・・

冷蔵で冷え、そして酢で締まっているので、唐揚げ時点の柔らさはありません。が、美味しいですねー。骨を外しながら、次々に手が伸びます。これは旨い!

2022.09.27

高圧煮付け (釣獲当日冷蔵1日後冷凍)


ガヤは小型の魚ですからフィレにするには手間がかかり歩留まりも悪いので、圧力鍋で固い骨まで食べられるように調理するものです。理論上はラウンド(全形)でもできますが、ここでは、凍結前にヘッドレスにした物を使います。

 魚=100g 醤油=5g 酒=5g 味醂=2.5g 砂糖=1.5g (お好みの加減で)

① 魚に切れ目を入れて、みりん以外の調味料と一緒にビニール袋に入れて脱気し、冷蔵庫内で1日なじませます。
② ①を圧力鍋に移し、魚にかぶる程度に水を加えて加熱します。加圧時間=45分。
③ 熱が下がって圧力が抜けたら、蓋を取り外し、味醂を加えて煮切ります。

見た目は美しくないですが、味がよく染みて、骨まで食べられ、早煮とは違うテクスチャーも楽しめます。これは食べ易く便利で、作り置きの常備菜にもなります。

他の魚にも応用が利くので、この調理は覚えておいて損はないです。小魚の場合には全形でもウロコ付でも可能です。オススメ !!

普通の煮付けは以下に、

ガヤを釣って味わい尽くす(羅臼町知円別漁港)


2022.07.30

第一ラウンド

食材に恵まれた北海道民は、食べることに関しては「贅沢をしている」のかもしれません。

水産資源が乏しくなった今でこそ内地でも売られるようになったエゾメバル(ガヤ)ですが、道産子にはあまりありがたがられる魚では無いようです。

現に道内の釣り人が、釣れてしまったガヤを持ち帰るのを目にしたことがありません。多少の見栄があるのかもしれませんが。

そんなリッチな道産子ではない、プアな内地人の私は、もったいなくて投げる(捨てるの意味/北海道方言)ことはできません。

で、外道のガヤしか釣れなかった悲しさはともかく、釣り場で魚をヘッドレスにしてハラワタ付きの頭を海に投げたら、瞬時に降下してきたカモメの口に収まりました。

自然界の循環のショートカットが許されるのかどうかの理論を持ち合わせませんが、まぁ目くじらを立てる程の事も無いように思います。たった3尾のアラですから、カモメが1尾増えることもできないでしょう。 これが犯罪 !?

ヘッドレスにして冷蔵庫で一日休んでいたのが味にどう反映されるか、食べてみることにしました。酒蒸しにすればシビアな食味判断ができたのですが、つい醤油で煮付けてしまいました。


酒、味醂、醤油を適量煮立て、魚にやっと火が通る程度の短時間煮たら魚を取り出し、煮汁を煮切ります。


魚を盛り、そこに煮汁を回しかけて出来上がりです。これが煮魚の基本です。長時間煮たら、魚は締まって不味くなります。


一人で小さいながらも3尾をペロリと平らげました。ちょっと煮汁が濃すぎましたが、それにも負けない魚の旨味が出ていましたから、立派なものです。

魚から直接はほのかにしか感じないものの、煮汁には脂が浮いていたので、時期も外れてはいなかったようです。

以前に食べた時より、味は上等だったように思います。死後硬直からちょうど1日ほど経っていて、旨味がほぼピークだっのかもしれません。

第二ラウンド

食べ終わったら、少し煮汁が残ってしまいました。おいしい煮汁を捨てるなんてことをすると、モッタイナイので、2次利用を考えました。

たまたま、その日に買ったチンゲンサイが有ることを思い出し、魚の煮汁で炊くことにしました。


煮魚の調理プロセスでは、ごく短時間しか煮熟していないので、水を加えて骨を煮出しました、魚(小型)なので弱火で30分も煮出せばOKです。

冷えると煮凝りになりそうなので、熱いうちに骨を取り出して冷まして取り置きます。

 ここからは翌日

チンゲンサイは茹でてから煮るのが正当かもしれませんが、電子レンジで火を通しておいて煮絡める方法にしました。

このあたりのプロセスは臨機応変で結構。こだわり過ぎると、車内での調理が嫌になってしまいますから。

要は、安直な既成のドレッシングなどではない、個性ある調理とモッタイナイが主眼です。

さて、モッタイナイ調理のお味は如何に。


ウーン、これ良いですね。チンゲンサイのクセが醤油と魚の旨味相乗効果でマスキングされてとても食べやすく、肉にはない魚の優しい旨味で、満足の一品になりました。

はじめから一緒に煮ると魚に野菜の味が付くので、私は好みませんが、これならOKです。別の料理で、2品できますしね。

旅先で野菜の煮物を食べる機会を与えてくれたガヤ君、ありがとう。道産子に馬鹿にされても、僕が名を上げてあげるから、これからも上を向いて、僕の投入した針付き餌を迷わずに食べるんだよ!!

2023年 礼文島 編

2023年に再訪した北海道、この時は礼文島でした。この島で 穴釣り で釣ったガヤの味の数々を以下に紹介します。2023年は、車に 冷凍ストッカー を増設したので、大量の持ち帰りが可能になったのですが、唯一の現地での味から。

2022.08.31

刺身 (釣獲当日ヘッドレス冷蔵・翌日調理)

左=皮霜造り  右=薄造り
早すぎて味が無いかとは思ったのですが、旅暮らしでお菜に窮して食べました。結果は、コリコリのテクスチャーを楽しむだけでなく、硬直中ゆえの甘みも感じられて、意外な美味。予想外の旨さで、得をした気分になれました。食べやすい薄造りに対して、噛めば噛むほど味の湧いて出る皮霜造り。甲乙付け難しでした。

2023年 礼文島から持ち帰り 編

2023.11.08

揚げハンバーグ (解凍後ミンチ化)


冷凍して持ち帰ったガヤを骨ごと ミンチにして 調理したものの一品です。食塩を加えて練るのに換えて、味噌を使いました。材料は、魚ひき肉、たまねぎ、味噌、みりん、片栗粉、鰹節粉、アオサ粉、ベーキングパウダー、味の素、です。

骨ごと挽いたので、その食感は残るものの、焦げ気味の香ばしい味噌の風味が良かったです。粗みじん切りで入れた生タマネギは、もう少し細かく切るべきでした。

2023.11.09

ミートローフ (解凍後ミンチ化)


冷凍して持ち帰ったガヤを骨ごと ミンチにして 調理したものの一品です。まとめた種をアルミホイルで包み、オーブンで焼きました。材料は、
魚ひき肉、片栗粉、プロセスチーズ、みりん、塩、コショウ、香辛料、です。

種の中で溶けたチーズが旨味をプラスして、美味でした。

2023.12.21

塩焼き (凍結保存90日)


解凍したセミドレスのガヤを塩焼きにしました
。少し強めの塩をして長めに置いたせいか、塩がほのかな旨味を上手く引き出して、旨かったですね。意外にも、というとガヤに失礼ですが。

2024.01.02

煮凝り (凍結保存100日)


解凍したヘッドレスのガヤを煮付け、骨と皮をのぞいてほぐし、寒天
を加えた煮汁とともにアルミカップに入れて、室温で固めたものです。

薄味の煮汁が上品で、白身で淡白なガヤとマッチして、いただける一品になりました。

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