アオリイカの味/福井県・越前町での釣果
烏賊類は種類が多く、また味もそれぞれに差異が大きく、個人の好みが分かれます。そんな中で、このアオリイカは、イカ好きなら誰もが認める美味なイカとされています。スルメイカのようなクセが無く、あっさりとした蛸に似た旨味が特徴のイカです。
今回のアオリイカは、福井県の越前漁港内で釣り揚げ、野締めをラウンドのまま冷蔵で持ち帰ったものです。
2023.06.15 (釣獲2日後)
アラ煮 (釣獲当日冷蔵1.5日後解体冷蔵保存)
解体時に出た可食部分のアラ(軟骨込)を薄味に煮付けました。コリコリした軟骨の食感が常にない刺激となって新鮮でした。旨味・甘味を強く感じることはなかったですが、アオリイカ特有の上品で繊細な美味しさは、こんなアラでも楽しめました。
2023.06.16 (釣獲3日後)
刺身 (釣獲当日冷蔵1.5日後解体冷蔵保存)
アオリイカは色のついた表皮の下に硬く白い皮があります。この皮を引いてから切りつけたものが上、包丁目を入れて皮ごと切りつけたものが下です。好みによりますが、私は下の方が旨味が多く、美味に感じます。厚い身のねっとりした食感はアオリ独特の物で、噛むほどに旨味が湧いてきます。釣りの苦労と楽しさが、ここで昇華。
釜揚げ (釣獲当日冷蔵1.5日後解体冷蔵保存)
下足といっても元の方は太いので、硬いと噛み切れません。これが、火加減一つで柔らかく食べられるのです。洗って切ったゲソに塩をまぶして揉み、沸騰した湯の中に入れます。湯とイカの量のバランスにもよりますが、色が濃くなってくる30秒~1分位でザルに揚げて、気上げにします。余熱も入るので、茹で過ぎに注意!! 暖かい内に、わさび醤油を付けて食べます。柔らかい上に、淡い塩味が旨味を引き出して、美味。
2023.06.17 (釣獲4日後)
酢物 (釣獲当日冷蔵1.5日後解体冷蔵保存)
2023.06.18 (釣獲5日後)
フライ (釣獲当日冷蔵1.5日後解体冷蔵保存)
春~初夏のアオリイカは大きいので、エンペラ(耳)といっても厚みがあります。そのままでは白皮の硬さが気になったり、反ることも考えると、できれば縦横に包丁目を入れた方が良いです。よく水気を拭きとってから、フライ衣をつけて揚げます。レモンを絞り、食塩パラパラがベストマッチです。ウマイと言うしか言葉がありません。
追記 2024.10.29
天ぷら (釣獲当日冷凍3日後解体調理)
これは、秋の小イカ(胴長=19㎝)で作りました。釣獲後数時間、現場海面で活け越して落ち着かせ、そのままビニール袋に収容して凍結したものですから、活〆ではなく野〆になります。イカは一旦凍結した方が旨い、という説に従ってみました。
ゲソとエンペラを切って、酒塩に一晩漬けてから水分をとり、小麦粉をまぶしつけ、天ぷら用のバッター液を付けて揚げました。脂肪分ほぼゼロのイカなので、油調理もよく合います。淡白な中の旨味が、コキュっという噛み応えの中から湧いて出ます。やっぱアオリだなー、美味。
追記 2024.11.30
皮の煮付け (釣獲当日冷凍品)
刺身用にするために胴から剥いだ皮を煮付けてみました。煮方の浅い味見段階ではとても柔らかく食べられたのですが、煮切ろうとして時間が過ぎたら、固くなってゴムのようになってしまいました。加熱時間次第ですね、これは、特に。
味は、ほんのわずかにアオリイカの風味を感じるに留まります。イカに含まれるコラーゲンは、そのほとんどが皮に在るようなので、栄養源としての価値を考えて食べると良いでしょう。
軟骨の唐揚げ (釣獲当日冷凍品)
目の周りなので頭骨でしょうか。ゲソと内臓の間の部分から眼球を除いた物です。アオリイカの味を殺さないように、塩と酒のみで調味して片栗粉を付けて軽めに揚げました。
んーーー、旨いです。コリコリ感の中からアオリの淡い旨味が、酒に背中を押されて出てきます。それを油が持ち上げるのですから、絶品という言葉が脳裏に浮遊します。
アオリイカの料理では、旨さにおいて刺身と双璧を成すのかもしれません。
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