釣り用集魚材を発酵米ぬかで自作-1


釣り用の集魚材(コマセ)として、以前に生の米ぬかを使用して、ドライペレットを試作 しました。アジ釣りを想定していたので永らく実釣の機会に恵まれず、物置で保存していました。

1年7ヶ月余を経て夏を2度越えているので、当然カビが発生しているか腐敗しているものと覚悟していました。が、


キャップを外して中身を取り出したら、見た目には異常無しでした。魚醤の香りもそのままに活きていました。


冬に乾燥させたのが良かったのでしょうか。それとも保存したボトルが良かったのか。これはなかなか良い知見になりました。

最近になって、アジ釣りをちょっと本気でやってみようかという気になったので、これに絡めてドライペレットの改良を思い立ちました。

つい最近読んだ本 = 釣りエサのひみつ のアミノ酸に関する記事からヒントを得たのです。米ぬかを使うことに変わりはないのですが、もっと美味しくしようと考えたのです。

美味しくといっても魚が相手ですから、より好まれるようにという意味です。ひと言で言うなら、糠床作りのプロセスを経て、酵母の力で米ぬかのたんぱく質をアミノ酸に分解して使おう、というものです。

フィッシュイーターに限らず、魚は(人間も)たんぱく質を摂取しないと、その体を維持・増大できませんから、たんぱく質を摂ることに一生懸命です。

そのたんぱく質はアミノ酸からできているので、魚が索餌するときには、アミノ酸を指標物質として嗅ぎ分けて探すのだそうです。嚥下するか否かも、アミノ酸の有無が大きな要素になるのだそうです。

このことを知れば、米ぬかを発酵させたアミノ酸を使うという発想は当然のこととして生まれるでしょう。

ただし、ここで問題が2つあります。素人が発酵させようとすると、簡単な方法としては、いわゆる糠床を作るようにして乳酸発酵させることになります。

この発酵では、糖分から乳酸が生成され、その乳酸を中和せずにそのまま使っても、索餌、摂餌に効果がある(減じない)のか、という点が一つです。

もう一つは、発酵には手間と時間がかかるので、これが可能か否かという点です。

後者は、たしかに商売では問題になります。コストアップで価格上昇になれば、売れ行きに影響が出ますから。

でも、暇な私にとって問題なのかどうか。材料コストがゼロなのだから手間ひま掛かるのは、甘んじて受け入れることにします。

もう一点の乳酸を魚が嫌うのかどうか、こちらは検討が必要です。有機酸は人には有益で好ましい物質ですから、魚が避けるとは思いにくいのですが、ネットで探しても有用な情報は無いので、試してみるしかないでしょう。


まずは若めのヌカ床程度の発酵米ぬかで、テストしてみます。そのための発酵米ぬかの製作です。


ほぼ一定の室温27℃の雰囲気で、生ヌカに既存の糠床少量を水で溶いて加えました。はじめの10日間、一日に2回攪拌して完成としました。以後は、家庭用冷蔵庫で密封保存します。


これが完成したテスト用の発酵米ぬかです。香りも酸味もある(弱め)ヌカ床同様ですが食塩は添加していません。

実釣で使う物には、魚が好む海産動物(イワシ、オキアミetc.)由来の物質も添加することになるでしょうが、まずはこの発酵米ぬかが好かれるか嫌われるかが第一歩です。

もし乳酸が嫌われるのなら、重曹で中和して使うということも考えています(※1)。そしてこの時には、発生する炭酸ガスを澱粉糊で封じ込めて、浮力を付加することも考えています(※2)。

ドライペレットは比重が1以上になるので、海水中でも早く沈んでしまうため、浮力が付けられて漂うように沈められれば、大変結構です。

最終的には、生のアミを超える集魚効果はありえないので期待していませんが、どこまで迫れるか、主材料の米糠はタダで手に入る物ですから、開発の価値は大きいでしょう。


(※1) 釣り用ドライペレット作り-米糠の発酵とPH調整

(※2) 重曹で中和した物を成型、乾燥を経て作ったペレットには、見事に炭酸ガスが封じ込められたようです。海での放出テストでは、コマセカゴの下穴から放出する予定のペレットが、カゴの中で浮き上がって放出不可になってしまいました。実用上は失敗ですが、面白い知見で、いつかどこかで役に立てたいものです。


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