車中泊で一酸化炭素警報機を使う


Coガス警報機の使用前テスト



車中泊では不完全燃焼の恐れのある直火のコンロやストーブを使うのは、一酸化炭素中毒の危険があるので、基本的にはNGです。

とはいうものの、凍死も避けなければなりませんから、状況次第では使わざるをえないこともあるでしょう。

起きていても気付かないうちに中毒症状に陥って、身動きできなくなることがあるといわれるのが、無臭の一酸化炭素ガスです。寝ていて高濃度のCoガスを吸い込んだら、最悪の不幸を覚悟しなければなりません。

この冬は寒中の車中泊にチャレンジしようと、少し前に暖房器具を兼ねる目的で カセットガスコンロ を買いました。けれども、恐くてそのまま無防備では使えません。

私の車は容積がごく小さな軽バンですから、すぐ温まると思うのですが、同時にすぐ排気ガスが充満しそうです。

窓を開けたり、排気ファン を動かしていれば安全なのは分かりますが、それでは車室内を温めることができないので、ガスコンロを使う意味がなくなってしまいます。

ガス中毒の危険を回避するために状況を把握するには、Coセンサーでモニタリングすることが必要で、一酸化炭素警報機が必用と考えたのです。

一酸化炭素警報機は各種いろいろありますが、なるべくコンパクトで使い勝手が良くて安価な物、といういつもの選択基準で選んだのが、この 一酸化炭素警報機 です。

同じ物と推定できる物が、販社によって、送付元の場所によって価格に大きな違いがありましたが、最安価格の中国発送の物を選びました。

取扱説明書が付属しないので調べたところ、一酸化炭素ガスは空気より軽い気体なので、取付は高い位置のようです。狭い車内ですが、天井近くなら設置できます。


一酸化炭素警報機の動作確認試験


取り付ける前に、車の排気ガスで動作テストをしました。

排気口に近づけると、1度目は999の表示が出て警報音が鳴り、2度目はエラー表示が出ました。いずれも正常な動作ではありませんでした。


一酸化炭素警報機の実用作動試験



次のテストは、閉めきった車室内での実用を想定したテストです。18.5℃ 1Lの水を入れたケトルを乗せて着火。完全燃焼できる下限の弱火です。窓を閉め切って、時間経過ごとの一酸化炭素濃度と室温、湯温を記録しながら様子を見ました。

環境的には、車に陽が当たり始めていて、60分間に自然に1~2℃は上昇していたと思われます。

       Co濃度 車室内温度 ケトル湯温
  0分経過     0 ppm  18.3 ℃  18.5 ℃
  5分経過     0 ppm  20.5 ℃  31.0 ℃
10分経過     0 ppm  22.6 ℃  42.5 ℃
15分経過     0 ppm    24.4 ℃     52.0 ℃
20分経過     0 ppm    25.7 ℃     60.5 ℃
25分経過     0 ppm    26.9 ℃     68.5 ℃
30分経過     0 ppm    27.7 ℃     75.5 ℃
35分経過     0 ppm    28.4 ℃     82.0 ℃
40分経過     0 ppm    29.0 ℃     87.5 ℃
45分経過   47 ppm    29.6 ℃     92.5 ℃
50分経過   58 ppm    30.2 ℃     95.5 ℃
55分経過   95 ppm    31.0 ℃      非計測
60分経過 115 ppm    31.9 ℃      非計測

途中まで完全に沈黙していた警報機が、45ppmから表示を始めました。

57分経過時点でピピピピという警報音が鳴り出し、その時の指示値は107ppmでしたから、おそらく100ppmで鳴り出す仕様なのでしょう。

試験を終えて窓を開け、下がり始めた指示値は、細かに下がっていくのではなく、大刻みで変化した後に、37ppmを表示した直後に消えました。


一酸化炭素警報機の試験結果の考察


1台のみ単体のテストでしたから絶対とは言えないまでも、試験した警報機は正常に動作していたように感じられました。

表示の荒っぽさからは、閾値や精度に疑問が無くもないのですが、とりあえず命を守るのに役立ってくれればOKなので、使用に耐えうるレベルのようです。

試験結果からは、閉めきった軽バン車室内でカセットガスコンロをごく弱火で使うと、およそ1時間が安全の限界であることが分かりました。火加減次第ではもっと短くなります。

一酸化炭素ガス濃度35ppmが、8時間滞在する場合の最大許容濃度と言われていることを考え合わせれば、十分な慎重さが必用なことが良く分かりました。

もともとの室内温度が低いと長時間使いたくなりますが、その場合には、一旦空気を入れ替えて使わなくてはなりません。

1時間程度でお湯を沸かしながら部屋を少し温め、お湯を 湯たんぽ に入れて寝る、という使い方が、意外に上手な使い方かもしれません。


おわりに


できることなら、直火を使わずに危険を避け、Coガス警報機を買うにしても、信頼性の高い物を選ぶのが適当です。が、懐具合もあるので、私と同様の選択をする人もあるでしょう。

今回のテストは、製品に全幅の信頼を置いていないことの表れです。「機能しなければ交換」で済ませる大陸の文化に対しては、このようにして自衛するのがプアマンの責務だと思います。

一度試験をしてみないと、本当に動作するのか、どんな動作をするのか、体感的な経験をするという意味でもとても大事なテストだと、率直に感じました。


Coガスとは別の危険ですが、上の試験で60分間カセットガスコンロを使用したら、下敷きがかなり熱くなっていました。原因であるコンロ自体も、部分によっては手で持つのが危ない熱さになっていました。

これについての対策は CB-JRC-PS50を自作で改良 に記しました。


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