釣りの浮き(高感度・視認性良好・遠投可能)を自作


カラフトマスを浮きフカセで釣るためのシステムを考えていて、この釣りでは、餌に次いで浮きが重要なことに気づきました。

釣りのウキは、対象魚種と釣法によって多様な物があります。浮く、見える、高感度、飛ぶ、といろいろな要素の組み合わせで形が決まります。

カラフトマスを浮きフカセで釣る場合のウキには、群れの向こうに届かせるための遠投性能、遠くからでも見える視認性、前アタリを伝える高感度、となかなか難しい要求があります。

サケ・マス用の 市販の棒ウキ は、名前の通りの棒状で、下端から先端まで同一素材ですから、水面上の部分も浮力体でできています。それゆえ、魚が引き込む際には、水面上の部分の浮力が魚への違和感(抵抗)となります。

これが原因で餌を離してしまい、本アタリへ至らない喰い渋りの原因になっている可能性があると考えられます。より良い条件で釣りをするためには、この点の改良をすべきと考え、自作することにしました。

考え方としては、浮力を殺してわずかにプラスにし、かつ水面上の部分が浮力を持たず、大きくて視認性が確保できるようにします。これは 遠投カゴ釣りの浮き そのもののようですが、オモリを内蔵しない点で異なり、浅いタナを釣るカラフトマス釣りには向きません。

今回は7号オモリ内蔵の棒状ウキの、水面から上の部分を比重と浮力を無視できる造りにします。薄いPPシートで管を作り、それに蛍光テープを貼ります。その管部分は水が溜まるとウキが沈むので、管内の水は自動排水できるように、排水口を設けます。

< 材 料 >


すきまスティック 20mm径 (発泡PE)
クリアファイル ホワイト (PPシート)
 乳白色や透明のシートでも作れますが、視認性能が落ちます。
ナツメ錘 4号+3号 
 私は在り物で作りますが、買うなら タル付きオモリ7号 が適当です。
目印テープ ピンク
目印テープ イエロー
OPPテープ 
両面テープ 15mm幅 ・・ 110円ショップ
ビニールテープ 赤 ・・・ 110円ショップ

< 作り方 >

1. すきまスティックを10cmに切り、片端から4センチ位までの穴を開けます。千枚通しのような物から少しずつ太いものに変えて、ナツメ錘が入るまでに穴を広げます。

2. ナツメ錘2個は針金に通して両端をループにし、1.に挿入します。挿入した奥のループアイを外から針で通し刺して、木綿糸で本体に縛り付けて一体化します。


3. 白色のPPシートを60×68mmに切り、60mmの端から18mmの位置に2mmほどの穴を6か所くらい開け(※)ます。(巻き癖を付けるには、適当なパイプに巻き付けてボイルし、そのまま一晩置きます。)穴をつなぐように、フェルトペンで黒色に塗ります。

4. 2.の先端部分に両面テープを一周巻き、3.の黒線(排水口)が上に出るように接着します。


5. 両面テープを使って、ピンクと黄色の目じるしテープを貼ります。その上からOPPテープを貼って、強化します。いずれも穴を避けて貼ります。

6. 先端側のピンクと黄色の境界に黒色のフェルトペンで線を描きます。

オモリ7号内蔵の棒ウキ

7. 下端を絞って形を整えるために、赤色のビニールテープをきつく巻いて、完成です。

材料費は100円以下でしょう。手間はそれなりにかかりますが、それも遊びの内です。強度は、踏みつぶさない限りは壊れません。

(※)このウキは上部がパイプ構造で、着水時に内部に水が溜まるのを防ぐために排水口を開けます。ポンチ で打ち抜いたようなきれいな穴があけられると、排水がスムースです。私は、釘の先端部分を切り落とし、やすりで平らにして、ポンチの代用としています。

< 自作棒ウキの使用前評価 >

この7号ウキの残浮力は0.5号ほどです。スイベルや針等を考えると、まだ少なくなりますから、およそ計算通りの物が出来上がりました。

実際に水に浮かべて、頭を抑え込んで前アタリのように沈めてみても、指へ伝わる浮力が小さいのが分かります。

指を離してフリーにすると、面白いことにゆっくりと浮き上がるのです。穴が排水量を抑えて、ダンパーのような働きをします。

この微妙な動きは、波のあるショアと港内の平水とではそれぞれどんな効果を生むのか興味深いとともに、釣果にどのような影響を及ぼすのか楽しみでもあります。


 今回の棒ウキの浮力の重要性は、ネット上のある記事から得たのですが、その前に市販品を真似て、棒ウキを作ってしまいました。


重さを変えて4本、浮きの下部に記した数字が完成重量ですが、内部に仕込んだ錘は上から、8号、7号、6号、5号、です。

右端のピンク部分は空洞です。その左の黄色とピンクの2色部分が水面から上に出る浮力体(発泡PE)部分です。

その2色部分が、沈む時に浮力を発生して、魚への抵抗となりますから、これを解消すべく改良したわけです。改良後は右から2色までが空洞になりました。

< テスト結果 >

餌を模した物を針掛けして、仕掛け一式を投入してみました。浮きは3種類です。

左から ① ② ③

① 改良後穴あきver.  21.1g
② 市販品      23.3g
③ 改良前穴なしver.  26.5g

追風=5mの中でキャストしてみた結果をGoogle空中写真(橋桁の間隔からかなり正確に測れました)で計測すると、数回ずつの平均値で

遠投性能 (PE=1.5号使用)は、およそ
① 50m
② 55m
③ 60m
と、重さに比例して飛距離が延びました。妥当な数字かと思います。

視認性 は、
① 見やすくて上述のダンパー効果が目視できました
② 細く(16mm径)て1色のために見づらさを感じました
③ 見やすくて上述のダンパー効果が無いことを目視できました

感度 はアタリが出ないので、未確認です。ただ、50m先のダンパー効果を目視した限りでは、悪くないように見えました。(現場経験がないので、どの程度の飛距離が平均値なのか知らないことが残念です。)

自作(改良)品の完成度は、まず問題は無いようです。肝心の感度が確認できませんでしたが、高感度過敏な反応で沈み過ぎは表裏一体の関係なので、功罪は実釣でしか評価ができません。

ともかく、後はカラフトマスにアタリをもらってみるしかありません。

ちなみに②は未使用品だったのですが、現在は同一品は販売されていないと思われます。お店が無くなっているようです。記憶にないほどの昔々、北海道に旅した際に衝動買いした物です。若き日の当時から、鮭鱒類へのあこがれがあったことの証のようです。


 私は未だカラフトマスの実釣経験がありません。内地から片道3日がかりで行くので、少しでも良い条件で釣りをしたいと思い、多くの 要素の検討をした 中の一つが、このウキの改良でした。

さて、結果は如何に。もしも釣れたら別記事で。

結果は → 北海道の鮭を内地人が釣るには-後編

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