天然ワカメを採って食べる in 浜名湖
浜名湖産のワカメは、共同漁業権が設定されていないため、誰でも自由に採れます。繁殖力の強い一年草なので、絶やす心配がなく遠慮せずに採って楽しめます。
国内の若布には形態上3種があると言われていて、浜名湖産の物は「南方型」で、全長と茎が短く葉の切れ込みは浅く、葉は肉薄ですが美味です。切れ込みが深く肉厚な三陸系統のワカメは大きくなるので、養殖ワカメはその多くがこれのようです。
浜名湖のワカメは湖内のあちこちにありますが、砂地には定着できないため、主に石積みの湖岸に生えています。そのため、陸から見えるワカメは簡単に採れます。といっても、素手で採るのは冷たい冬の海に入らなければならず、厳しいです。
浜名湖でこの時期に絡んでくる海藻はほぼワカメだけ |
ワカメ狩りのすべて in 浜名湖
採取適時/浜名湖産天然ワカメ
2~3月の大潮干潮で、風波が無く、明るい時。これがベストですが、慣れれば、三条件そろわなくても可能です。
採取場所/浜名湖産天然ワカメ
足場の良い護岸堤が採りやすいです。毎年同じ場所に生えるので、一度見つければ一生モノです。駐車場所から遠いほど場荒れしません。
採取道具/浜名湖産天然ワカメ
市販品は見当たらないので、私の自作例ですが、3mの竹竿の先端に コーススレッド を長短4本ずつ、合計8本取り付けています。
4本付 8本付は末尾写真 |
・竹は割れやすいので、下穴を開けてねじ込みます。
・ここでは竹材補強のために、塩ビ管のソケットを被せてから、コーススレッドを片側貫通させています。
・コーススレッドの先端を少し手前側に傾けると、滑り易いワカメが絡みやすくなります。
持ち運びやすさを考えるなら、伸縮可能な タモ網の柄 の先端に自作の採取具を取り付けると携帯性が良いですが、玉の柄は意外に高価です。
採り方/浜名湖産天然ワカメ
ワカメの生えている海底に竿先を入れて、手前に引きながら回転させ、絡ませて引き上げます。根本付近に上手く絡むと、根ごと採れますが、岩に固着しているので、多くは途中から切れてしまいます。
生ワカメ採取後の処理方法
ワカメを採取してから保存するまでの工程は、塩蔵と乾燥の二通りあります。
はじめに食感と利用方法が異なる太いクキとメカブを切り取って、分けます。葉は大きな物を乾燥用に、小さな物を塩蔵用にすると効率的です。
つぎに、汚れている場合には真水で洗いますが、真水にあたると変質するので、直ぐに湯通しにかかります。その日に処理できないなら、洗わずに冷暗所で乾かないようにして保存します。
湯通ししたら拡げて冷まします |
いずれの場合にも、ブランチングするところまでは同じです。
塩蔵ワカメ
2.の工程を終わったワカメ |
1. お湯を沸かし、ワカメを湯通し(緑に変色するだけでOK)して風冷します。
2. 冷めたら水気を絞り、たっぷりの食塩をまぶします。混ぜて塩の結晶が見えなくなるようでは足りませんから追加して混ぜます。
3. ザル(カゴ)に入れ、ボールで受けて冷蔵庫内に一晩置き、脱水します。(途中で出た水を捨てないと、ワカメが浸かることがあります。)
4. 翌日、再び絞って水気を切り、食塩をまぶして冷蔵庫に置きます。半日経っても水が出てこなければ、完成です。
5. チャック付きの袋に小分けにして、冷蔵(冷凍)保存します。できあがり次第ですが、食塩の結晶が見えている間は食べられます。心配なら食塩をたっぷり使うことです。
乾燥ワカメ
2. 冷めたら水気を絞り、根元側を上にして吊るして干します。
3. 陽に当てて乾かしますが、芯まで乾燥させるには、夜間に起きる水分移動を利用して、数日かけて完全に乾かします。どこもがパリッと割れるようになったら、完成。
4. チャック付きの袋に小分けにして、有れば 食品用の乾燥剤 を入れます。
5. 基本は常温保存ですが、乾燥不足の場合には、夏の前後から変質することがあるので、不安なら冷蔵(冷凍)保存します。
ワカメは根本付近の太い茎やメカブも食べられますが、長期保存するほどの量にはならないでしょうから、葉より長めに湯通しをしたら、冷蔵保存して早めに食べましょう。
毎日のように摂ることが推奨されている海藻の中でも、他の海藻より使い易いワカメは、栄養的にも優れています。ただしヨード過多は害があるので、上限=ワカメ生重量で190g/人日と言われています。そんなに一度に食べないと思いますが、過ぎたるは及ばざるがごとし、ですね。
一人1時間ほどで13kg入のバケツが一杯 |
物価高騰の折、今年は釣り餌だけでなく食料も、自給率を高めるように努めます。年頭の方針 には無かったことですが、追加します。
参考 浜名湖の共同漁業権対象種 → あさり、はまぐり、すじあおのり、
!! 漁業調整規則違反に注意 !!
ワカメの採捕は、共同漁業権(場所と対象物)による規制だけでなく、漁具漁法の制限も受けます。都道府県ごとに規定されている漁業調整規則(漁具漁法制限)に定められているので、要注意です。この規定に違反して検挙されると、科料に処せられて前科が付きます。
本記事で紹介した道具は、行政庁の確認は受けていませんが、は具の一種と認識しています。カマを取り付けている実例も見受けますが、「刈り取り」は違反に当たるかもしれません。
参考 水産庁HPから転載
は具 = 貝類等が岩盤などに固着し、または水底の砂泥中に潜入しているものをはぎ落としたり、掘り起こして採捕する場合に使用する金具である。
追記 2023.03.15
3/14の採捕では、2月上旬と比べると、かなり採られて減っていたこと、かなり大きく育っていた反面、葉の先端が枯れ始めていて終期を感じました。
下が改良版 |
ワカメ採取道具(改良版)の作り方
建築用帯金物(Cマーク)S-45を写真のように曲げて、TS継手キャップにM8ボルト1本で留め、竹竿の先端に差し込んでM5ボルト2本で留めます。ワカメを挟んで回した時に逃げないように、M3ボルトを外向きに付けます。水中で先端の位置が分かるようにビニールテープでマークしておきます。
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