竿掛け&竿受け・・岸壁(車止め)用 セパレート型



釣り道具の中で「竿掛け」や「竿受け」はなかなか悩ましい道具の一つです。対象魚や釣り場が変われば、同じ竿受けや竿掛けが使えないケースも多いのです。それゆえか、名称もロッドキーパーなどと、具体的にどんな形状の物か想像できない呼び方もされます。

立てる系統の物は三脚やポールでほぼ決まりですからさほど悩まないのですが、岸壁で使うものには、車止めの有無による違いもあって、コレダっという万能の物が有るようで無いのです。

車止めが無ければ、三脚系の物になるはずです。中にはピトンを打つツワモノも居ますが、如何なものかと思います。磯場と違って、岸壁は明らかな公共建造物なんですから、傷つけて良い訳はないでしょう。

車止めに取り付ける竿受けは市販されていますが、評判の良いのは ベルモントの物 のようです、2740円也。第一精工の物 も良さそうですが、5319円也。高いと思うか安いと思うかは人次第です。

作る暇がない人は、以下を読まずにお買いになるのが宜しいかと。

以前に 北海道の紋別港 で、20Lのプラスチック缶(バケツ型)に穴を開けて、竿をセットしている人を見たことがありますが、あれは大きくて、持ち運びには少々不便ですし、穴をあけてしまうと専用品になってしまうので、コンパクトが必須条件の私には無理です。

それにしても、釣り場と釣り座が自由に選べるならいいのですが、昨今は行ってみなけりゃ分からないことも多くなっていますから、どんな場所で竿を出すことになるのか未定では、何を持っていけばいいのか分かりません。

いくら良い竿やリールを持っていても、傷つけて壊したり、海へ持っていかれたりしたら困りますから、実はこの竿受けや竿掛けは、とっても大事なタックルなんですね。

私もなかなか正解を見つけられないうちに、いつか竿を持っていかれるという災難に出会うのでは、という不安がありました。自分の記録更新の大物ーーっ、とともに竿が持っていかれるのは不幸なことです。

でも、対策を講じていなかったのが悪いのであり、周囲の誰も心の底からは同情してくれないでしょう。ぅぷっ、ドジ と笑われて恥ずかしい思いをするだけならともかく、めったに掛からない大魚を逃すのですから・・、そのショックも大きいことでしょうね。


前置きはこれくらいにして、さて今回の製作構想には、条件を付けました。

 ・安価 ・丈夫 ・軽量 ・コンパクト ・汎用 ・使い易い

こんなに条件を付けたら、、、結構な無理難題でした。

私の場合には、岸壁(車止め)で、4000番クラスのスピニングリールを付けた4号=5.4mの遠投磯竿がキープできて、大物が掛かっても耐えられること、を前提にしました。

実は冬の間中ずっと考えていたのです。いよいよシーズンインが近付き、締め切りが迫って、ようやく構想がまとまって製作しました。

今回作った、竿受け・竿掛けセパレート型 はこれです。

竿受けは2種

いずれも、竿のリールより前の部分を、これらに掛けて置きます。置くだけで、竿の押さえはありません。

 岸壁に車止め有り


2×4材の切れ端が素材で、3mmのドリルで穴をあけただけです。塗装は省略しました。場合によってはわざと水を吸わせて重量アップさせるかも、ということです。これを岸壁の車止めの上に置いて、竿受け台座とします。そう、置くだけなんです、これは。

針金細工は、ステンレスの3mmΦの丸棒(線材)を曲げたものです。この曲げ加工が少々たいへんです。曲げる際にペンチで挟んで傷をつけてしまうので、仕上にサンドペーパーで磨いておきます。V字の底部分をラインが擦るので、ラインのキズ防止です。


 岸壁に車止め無し


こちらは、上と同様のステンレス丸棒を加工したフックで、背負いカゴに取り付けて使います。プラスチックのカゴの網目に引っ掛けるだけですが、上に向かう力が掛からないので、こんな物で大丈夫でしょう。


このカゴは、以前から車を置いて歩いて釣り場に向かう時に使っているもので、ロープとホースで作った背負い紐や簡易竿受け、物を固定するショックコード等が取り付けてあります。中には 11Lのクーラー と道具箱に加えて折畳み椅子や小物が納まります。

車の中に置く際は、クーラーを入れたままで外装のダンボール箱の中に入れておきます。冷気が逃げにくいので、氷の持ちが良好です。置き場は助手席の上です。軽バンは狭いので、専用品を持たずに、今回もこのカゴを台座として使います。

私の背負いカゴはこれで何代目か。初代は南伊豆の金物屋さんで買った竹製のカゴでした。それを背負って磯にメジナ釣りに行ったのは、40年近い昔の話です。


さて、竿受け側は上の2品で岸壁ならどこでも対処できるのですが、竿尻をどのようにホールドするのか、この固定には着想に時間がかかりました。ともかく道具の収用場所が限られているので、物を増やすことができません。

竿受け部分は置くだけで固定しないので、竿尻は不動でなくてはいけません。・・・・・。重い物ねー。・・・・・。重い物を車に積むのは避けなければなりません。既に大人3人分以上の荷物を積んだのと同じになっている車中泊車両ですから。

やはり、現地調達の海水ですか。岸壁には石も砂も無いですから、それしかないですね。あとは容器です。海水を入れた容器に竿尻を固定する、という方向です。

そう、釣りの最中には使わないバケツがありました。10Lフタ付角バケツ。これを私は 小魚を活かして運搬 するための 2重バケツ の外側として使っています。

これにもう1点の小物を加えると、竿掛けとして機能するようになります。その1点はアルミ製のカラビナです。角バケツのハンドルの上側にショックコードで結び付けます。カラビナが首を振る感じですが、それくらいの遊びは問題ないでしょう。


ただし、それだけではハンドルが上下に動けるので、竿尻を固定したことになりません。バケツの下の端を3mmの丸やすりで削って溝を作り、フック(3mmステンレス丸棒)が掛かるようにして、ハンドルを下に向かって引っ張って固定することにしました。ハンドルの隙間部分にショックコードを通してカラビナの固定と兼用して、すっきりと。

底に掛けた状態


そうそう、もう一つ対策が必用でした。竿尻に取り付ける金具のD環です。


先に、使用する可能性のあるロッドすべての竿尻に1.5mmのドリルで穴を開けておきます。D環は、1.5mmΦのステンレスの硬線を曲げて作りました。細いので曲げるのは楽なのですが、整形した針金を差込むだけでも、ちょっと無理矢理でした。

おまけに開き気味ではまると、バネのような素材ですから、かしめようとしても閉じてくれません。結果として上の写真程度にはなったのですが、どのように力を加えて閉じさせたのか、言葉では言えないのが厄介です。

とにかく完成してしまえば、弾力が合って復元しようとするので、使用中に抜けることはありません。軟線では塑性変形して抜ける心配があったので硬線を使用して難儀しましたが、加工の容易な軟線でも大丈夫かもしれません。


今回製作の主要材料は

 ステンレス丸棒(3.0mmΦ)
 ステンレス硬線(1.5mmΦ)
 ショックコード(5.0mmΦ)
 2×4木材
 カラビナ(54円/2個)

使用した道具は

 ドリル
 ワイヤーカッター
 ウォーターポンププライヤー
 ペンチ
 ヤスリ金工用
 サンドペーパー

材料費は、どれも少量ですから、計算するほどのものではないでしょう。

角バケツとプラスチックカゴは別用途の既存品なのですが、しいて計算すれば、バケツが1473円。えっ、随分と値上がりしています。私が買った1年ちょっと前は1071円でした。

プラスチックカゴはホームセンターでしたので、価格は忘れました。多分500円前後だったでしょう。

DIYの常ですが、どこまで費用計算するかが難しいところです。自分にとっての使い勝手はすべてに優先しますから。今回の私の例のように、既に車に積んでいる物の用途を変更する場合は、もう計算はできません。


過去にもいろいろと竿掛けと竿受けには、工夫してきました。それらでもライトタックルなら使えましたが、ヘビーユースに対応できるのが今回の物です。

陸上の10kgの物を引きずる泳力の魚はめったに掛からないでしょう。また、釣針から角バケツまでの全体のシステムの中で、もっとも弱いハリスの引っ張り耐力を勘案すると、陸っぱりではこんな物で事足りるように思います。

一つ気になって思案したのは、角バケツのどの点で引っ張る力を受けるのがベストかということです。同じ10kgの重量でも、力の掛かる点でオモリとしての効果が変わるはずです。場合によっては、バケツがひっくり返されてしまうこともありえます。

掛かった魚が足元に潜ろうとして竿先が下に突っ込むのか、沖に向かって走られてほぼ水平に引っ張られるのか。物理のハナシになってくるので、私には説明不能ですが、総合的には今回の物が妥当だと思います。もし間違いに気付かれましたら、コメントでお教えください。

今回の竿受けには、課題が一つ残っています。横風対策です。車止めの上に載せておく竿受け部分は軽量な木製なので、動いてしまいます。さて、どうしましょうか。使いながら考えてみます。・・・ 下へ続く


さーて、これでようやく竿を失う心配から開放されたかな。釣るぞー大物


・・・ 上から続く 2019.04.09追記 横風対策関連の思いつきで補修しました。

風対策というよりは、海に落とす事故リスクを大幅に減らす方策です。


L字型に曲げたステンレス丸棒を木製台座に差し込み、海側への落下防止のストッパーとしました。風にも、風向次第では多少の役には立つでしょう。それよりも自分のミス防止の効果かも。


ストッパーは差し込んで摩擦で止まっているだけですが、簡単には抜けません。90度内側に曲げれば、ほとんど出っ張らずに邪魔にはなりません。上面に差しているY字の竿受けも抜けるので。

反対側にもストッパーを付ければ、車止めを挟む形になって動かなくなるのですが、どこの車止めも幅が同じではないはずなので、多分無理でしょう。


追記 2019.04.24
 試用結果は → 竿掛け&竿受け・・岸壁(車止め)用 試用結果


コメント