つらぬき仕掛け/タチウオ釣り用 の自作

つらぬき仕掛け(初期型) をセットしたネンブツダイ

タチウオをショアで釣るには、ワインド、テンヤ、ショアジギング、ウキ(餌)釣りと多彩な釣り方の中から、ルアーや仕掛けと餌の選択をしなければなりません。

数釣れる状況なら、どんな釣り方でもある程度は釣れるのでしょうが、喰い渋りの状況で釣りをすることも多いのですから、ボウズで帰らないような対策が求められます。

つらぬき仕掛け+死んだ小魚 はタチウオに有効か

フィッシュイーターであるタチウオを釣るための最強の釣り方は、常食している小魚などの魚介類を活き餌とする泳がせ釣りのはずです。

しかし、泳がせ釣りの弱点 と手間を考えると、気楽には実行できません。餌を自分で釣るには手間がかかるし、小アジなどの活き餌を買うにはお金がかかります。

ドラゴン級のタチウオを狙うのならともかく、リリースを迷うようなF=2.0程度の小形のタチウオを釣るために、1尾100円はする小鯵はあまりにもったいないですね。

ですから普通は、釣具店で冷凍のキビナゴやサンマの身餌を購入する人が多いようです。その2種でどちらが良いのかは、時と場合と場所によって違うようですが、どうも「キビナゴ」の方が強いように思います。

なぜかを考えれば、自ずと納得がいくでしょう。前述のようにタチウオはフィッシュイーターなのですから、常食しているのは、切り身ではなくラウンド(丸)の魚です。だから、尾頭付きの姿の小魚の方が好まれるはずです。

あまり異論が出ないと思われるのはここまでで、この先の仕掛けになると意見が分かれるでしょう。キビナゴ用に 市販されている仕掛け だけでも、たくさんあります。ハリスにワイヤーを使うという点では同じですが、針は1.2.3本、形も縦に水平といろいろあります。

その中で、評価数は多くは無いものの評価の高い物に つらぬき仕掛け があります。「喰い渋り」という言葉があらわすように、アタリが有ってもなかなか針掛かりしないような時に効果があるようです。渋い時に効果があるのですから、喰いの立った時でも良い結果につながるのは自明です。

そう思ったら、すぐさま買います、ではなく作ります。実は以前にも作った経験があり、先日行った 西伊豆・戸田湾 で、冒頭の写真のように使ってみたのですが、釣果に恵まれなかったのです。仕掛けが根本的に悪かったとは考えにくいのですが、改良の必要は感じたので、あらためて作るのに合わせて、ここに記録を残します。

市販品との違いと改良点は、シンプルな小形を目指します。なにしろショアからのタチウオ狙いでは、F=4などは高望みで、F=2でも確実に掛かる仕掛けを旨とします。ただし、大型がかかっても外れないように、呑ませて掛けることとします。

そのため、G社製品 との比較で言うと、ハリス止めは無しにし、針も蝶形ではなくシングルとします。

つらぬき仕掛け(初期型) をセットしたヒイラギ

製作企図

貫くための針 は仕掛けに残さず、釣り針とハリスだけが餌の小魚にセットされるよう、シンプル&ライトにします。1本針は、わずかな底部を除いて、小魚の体内に隠れます。同時に餌の重心を貫くことで、生体同様の水平姿勢を維持させます。

< 材 料 >

つらぬき針

 竹ひご 1.8mm径 (ダイソー)

仕掛け

 チヌ針白 (4号)

 ワイヤー (コーティング#45)


 熱収縮チューブ
  1.0mm径
  0.8mm径
  0.6mm径

 ハリス ナイロンorフロロ 4号前後を0.9m

 スナップスイベル 6~10号

< 作り方 >

つらぬき針


1. 竹ひごを10cm位に切り、両端を削って尖らせます。(両頭でなくても可)
2. 尖らせたすぐ内側を削って、ワイヤーを掛ける凹を作ります。
3. 食用油で揚げて強化します。 (中温の油で2分ほど。泡が出なくなったらOKです。)

餌を通して針掛けするための 餌通し針 は各種市販されていますが、あまり良い物がありませんので自作します。金属でなくても揚げて強化するので、実用上の不具合はありません。

仕掛け

1. ワイヤーの端から14㎝の位置で折り返して1回結んでループを作り、元と切り離します。


2. ループの反対側から、熱収縮チューブ0.8mm径=1.0cm、1.0mm径=1.0cm、0.6mm径=3.5cmを順に差し込み、チヌ針4号をワイヤーに結びます。(写真は3号針)
4. 0.6mm径のチューブを針に接するように付け、その上に1.0mm径のチューブを針にまでかぶせます。反対側のループ部分に、0.8mm径のチューブをかぶせます。


5. 針部分のチューブを加熱、収縮させて固着させます。次いでループ部分を同様に。

作り方と製作意図の補足

・ 0.6mm径のチューブは小魚の背中から少し出る長さが必要です。このチューブが、ワイヤーによる身切れを緩和します。
・ 針を結んだワイヤーは緩みやすいので、ペンチで引き締めるとともに、必要に応じて、瞬間接着剤で固定しても良いでしょう。
・ 小魚の腹は、ほぼすべてが白色なので、チヌ針は白が向きます。
・ 喰いが立って、手返しを早くしたいときには、この仕掛けは向きません。タチウオの口唇に掛かって針を呑まれにくい ネムリ針身餌 が向きます。

< 使い方 >


1. つらぬき針を海水で濡らし、ワイヤーのループを後端の凹に掛け、餌の小魚の重心を狙って針の先端を腹の下から上に向かって刺します。
2. 貫き通したら、つらぬき針を外し、ワイヤーを引き上げながらチヌ針の先端を、小魚の後側に刺し入れます。
3. ワイヤーのループに、スナップスイベル付きのラインを接続します。

初期型(金針)に関する補足説明

今回作った、安価なチヌ白針を使った小さな つらぬき仕掛け でも、F=4クラス位なら問題なく抜きあげられるはずですが、ドラゴン級になると下の写真の金針(マダイ14号)使用の大型で頑丈なタイプの方が安心できるでしょう。


違いは、ワイヤーハリス や針などです。両端がループになっているワイヤーを使っているので、接続に特徴があります。チューブが切られて脱落すると、針が外れるのが難点です。


タチウオはジキングやワインド、テンヤ等でもつれる魚ですが、闇に光るウキを介してのやり取りは面白いです。電気ウキが、ジワーッと、あるいはピョコッと沈む時、胸の高鳴りを抑えながら、水中のタチウオを想像しながら対処し、フックオン!!  掛けた瞬間は幸福です。そのタチウオが大きければ至福、なんですが・・。


追記 2020.11.23
2020.11.19の 焼津での実釣 にて、この記事の仕掛けで、少しでしたがタチウオが釣れました。

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