泳がせ(エレベーター)釣りの弱点


エレベーター釣りをするために、9月初旬の越前を訪れました。無残な結果に終りましたが、その無念の訳を忘れないように記しておきます。

2019年9月3日 (火曜日)

夏が終ったのかどうか、暑さの残る時期ゆえの不安を抱えつつ、真夏に車中泊釣りを休む禁欲期間が終ったことにして出かけました。

車のエアコンに時折助けられながら着いてみると、淡い期待とは裏腹に海岸の気温は高く、厳しそうでした。

前回も暑かった記憶がありますが、その 2019年5月の釣行 の際(5/26)にここで見たキジハタが記憶から消えず、キジハタを泳がせ釣りで釣るべく、今回ここに来たのです。


私の希望の場所には若いカップルさんが居たので、車の陰に椅子を出して、仕掛け作りをしていましたが、私の準備完了を待つかのように帰られました。


泳がせ(エレベーター)釣りの最重要事項


まずは泳がせ釣りに必須の活き餌の調達からスタートです。活き餌の小魚が釣れなくては、泳がせ釣りが始められません。

海をのぞくと、何やら淡褐色のまだら模様の小魚が索餌で動き回っています。ん、クサフグか。それにしては細身だな。カワハギかな。

ごく少量のアミの塩辛を落としてみると、サーッと寄って来ます。遠くに居た仲間も集まってきたようで、かなりの数になりました。

何度か落としているうちに、二回りくらい小さな別種も集まりました。今度のは何だろう。色は似ているけれどもまだら模様は無いから・・。

とりあえず仕掛けを入れてみることにしました。3mm角のイカの塩辛(アミ塩辛汁浸け)を鮎エサ2号の針に刺して、投入します。

先の魚が寄って餌をついばみますが、針が口には入らず、合わせられません。カエシの無い針なだけに、取られやすいのです。

何度も繰り返した挙句に、ようやく後の魚が針掛りして揚がりました。おっ、小アジだったか、とニンマリ。餌としては上等品ですから。

でも、小さい。全長6cmくらい。活き餌として針掛けするにはかわいそうなほどのサイズです。これじゃ、児童虐待で手が後ろに回りそうです。

小さい方が、弱らせなければ、相手のサイズを選ばないメリットもあります。なんでも都合良く考えなくっちゃ、です。

正体が分かってみると、後から出現の小鯵の群れもそこそこの数が居ます。よーし、これを数釣って使うぞーっ。

そう心に決めたのですが、後が続きません。群れが小さいせいか、コマセに寄っても、小アジはあっという間に離れてしまい、もう1種が残って針付きの餌をかじります。

それでもようやくのこと、そのもう1種が針掛りして揚がりました。えっ、馬、ですか。ウマヅラハギだったのです。これかー、んー。実は食べたことは何度もありましたが、初めて釣ったのです。

左=マアジ  右=ウマヅラハギ

過去にいろいろな魚を活き餌に使って来ましたが、カワハギもウマヅラハギも使ったことはありません。ダメという確証があるわけではないのですが、、、。

危険を感じるとピッと立てる信号のような1本の棘が嫌われるでしょうし、皮がヤスリのようで消化が悪そうじゃないですか。

アジやイワシが好まれるのと対照的ですよね。でも腹を減らしたフィッシュイーターなら丸呑みするのでしょうか。

その後も、小アジ釣りの邪魔をするウマヅラハギは針掛りしない、という最悪の状況が続くうちに日が暮れて、小魚釣りを中止するまでに釣れたのは、小アジが4尾にウマヅラハギが5尾という貧果でした。


上の写真では、少し前に自作した パイプ用竿掛け がフィット感良好で使えることを確認できました。たまには良い物も作ります。

日没前にはエレベーター仕掛けの2本の竿から、貴重な2尾の小アジを送り込みました。1本は錘上2mで木球の浮きが浮上静止して、上から降りてくる1mのハリスの付いた活き餌が、海底1~3mを泳ぐようにしてあります。

もう1本は水中浮きを付けずに、海底までご自由にどうぞ、にしておきました。

しばらくして、ドラグをほぼフリーにしておいた置き竿の竿先が、1度は小刻みに動きました。落ち着いてから聞いてみましたが、反応が無いので上げてみると、小アジは元気一杯だったので、再投入。

この、活き餌の元気が、エレベーター仕掛けの最大のメリットです。はじめからオモリと一緒に投げ込んだのでは、小魚はそれだけで弱ったり外れたりしてしまいますから。

もう1本の竿も、その後、チリチリというドラグ音をさせながら、少し糸が出て行きました。少しの間をおいて聞いてみましたが、無反応だったので上げました。

外れたのか喰われたのか、何も付いていない針だけが回収されたので、3尾目の小アジを針に掛けて、道糸から送り込みました。

活き餌が小さいのでその泳ぎが道糸にはあまり表れませんから、何も起こらなくても、時折揚げてみます。

あまりに静かなのでもう一方を揚げてみると、


おいおい、誰だ、無銭飲食したのは。陸上にも悪い奴は巨万と居るが、海の中にも居るのか。

小アジの残りは1尾。これは明朝に温存したいので・・。こうなればウマヅラハギに登場していただくしかないです。

このウマヅラハギへの針掛けは見た目ほど難しくなく、針先が口中に入れば、軟骨が柔らかいので上に抜くのは容易です。

これを投入してから、小アジをかじった犯人を推理してみました。可能性のあるのは、明るいうちに見かけた柿の葉サイズのアオリイカ。

次いで、フグ類。そして、、、ウマヅラハギ。そう君なんだろう、実は。この辺りの海中をウマ組の縄張りにしている、オマエラに違いない。

どうだ、少し休んでカツ丼でも食うか? という臭い芝居は脇において考えてみるに、やはり齧った犯魚はウマヅラハギが臭い、濃厚。

もし、この後に活き餌として泳がせたウマヅラハギがかじられるようなら、疑いはアオリイカに向けても悪くないのですが。

考えあぐねて、もう1本の竿も確認しました。


またもや、です。こちらもウマヅラハギに交替させましたが、おそらくこれはかじられることは無いでしょう。

さーて、困りました。とても釣り辛いウマヅラハギを頑張って釣ったとしても、それが活き餌に使えず、小アジの調達が難しいとすれば、ここで泳がせ釣りをするのは無理、ということになります。

エレベーター釣りを始めて以来、活き餌の調達不能で万事休す は初めての経験です。ここでは前回の5月に水面近くまで繁茂していた海草もかなり刈れ落ちているので、エレベーター釣りは成立すると思うのですが・・。

とにかく、活き餌の小魚の確保が泳がせ釣りの最重要事項 であることを再認識した、1日が終わりました。明日は、ブッコミ釣りに転向しますかー。

風呂の終了時刻が近付いて2本の竿を上げた結果は、予想通りにウマヅラハギは無傷で元気。明日も使えそうでしたが、君達はもうイイ。と言いつつ無罪放免はせずに、身柄は活かしバケツに留置して海に漂わせました。



2019年9月4日 (水曜日)

前夜の車中泊は昼間の高温(推定気温=32℃)が災いして、車内温度が明け方まで30度を下回らず、悶々と寝たり起きたりするうちに雨がパラつき、湿度は高いまま、過去最悪の寝苦しさでした。

おまけに、風邪が抜けきっていなかったようで、暑さによる疲れと睡眠不足からか、喉に痛みが現れました。

天気予報などから想定していた気温と車内温度にかなりの隔たりが生じた原因は、駐車場特有のアスファルト舗装が蓄熱していたからのように思います。

先日考えた 車中泊可能な気温/最適温度と限界温度 では欠落していたことで、大いに反省です。泊地選択にとって、アスファルトやコンクリートの舗装は寒い時期にはプラスですが、暑い時期にはマイナスです。


目覚めたのは、すっかり明るくなっていた6時前。誰も居ないだろうと想定した釣り場には想定どおり誰も居ず、やる気の起きない体で置きっ放しの竿で仕掛けを投入しました。

夜の間にあがってしまった小アジとウマヅラハギ各1尾の活き餌で前日の続きの泳がせ(泳がない)釣りです。惰性というか、一縷の望みというか、まっ、ネバーギブアップの精神としておきます。


その泳がない釣りのマアジの死餌は、しばらく後に針と頭蓋骨だけを残して返却されました。んー、やはり犯魚はウマヅラハギかなー。とりあえず、そういうことにしておくしかありません。

足元の海中には相変わらずウマヅラハギが巡回していました。コマセを撒いても、以後の流れは見え見えなので、小アジを釣ろうという無駄な努力は一切しません。

対岸の堤防では何人かが暗い内から釣りをしていたようですが、私が見た限りでは、朝マヅメに10~15cm程のアジが浮き投げサビキで短時間釣れていました。


体調不良を考えると、太陽に炙られるのは言語道断、無茶というものです。本日の帰還を決め、帰りに敦賀新港をのぞいて行くことにしました。

背後の山の端からチラと陽が出た瞬間、直ちに撤収を開始し、活かしバケツのウマヅラハギを〆て記念撮影後に、(へっ、この子馬を持ち帰るんですか、というどこからか聞こえてくる問いかけを無視して) ヘッドレスにしてクーラーへ。


冷蔵庫の食品で朝食を済ませて出発しました。敦賀に向かう途中で雨がパラつき、その先はずっと路面もぬれていました。



久しぶりの 敦賀新港鞠山岸壁 は、平日ながらほぽ定員一杯でした。もっとも休日にはギチギチに詰めて、この2倍くらい入釣するのかもしれません。


ちょうど足を踏み入れた時に、ベテラン氏に良形のカワハギが上がりました。この人の仕掛けを見て、ピカッ。とくに変わった仕掛けではありません。

棒浮き、片天秤、アンドンビシカゴ、コマセ(配合餌)、ハリス2m、1本針にオキアミ1尾、スカリ使用。

これで、クロダイ、イシダイ、ウマヅラハギ、カワハギ、がスカリに入っていました。

そうか、ここで釣りするなら、私の場合には ペレット だな。朝晩だけ投げサビキのアジ狙いでは、もったいない場所です。

下カゴからハリスを出す仕掛けがここでは主流ですが、どうせ複数のアジを掛けても2尾以上獲れる頻度は少ないのだから、サビキでなく餌付き1本針で良いでしょう。せいぜい2本針まで。

それに加えて、ルアーロッドもジグを付けてサゴシやフクラギ、カンパチ等の青物狙いで待機させておけば良い。んー、弓角の方が良いかな。


この秋は、ちょっと通ってみますか。


雨上がりに陽が出て、猛烈に蒸し暑さの出てきた敦賀新港に後ろ髪を引かれながらも、ここで得たヒントを土産に帰途につきました。


追記 2020.10.19

エレベーター釣りには、実は他にもかなり大きな弱点があります。それは、遠いポイントを攻めにくいという問題です。道糸の傾斜がゆるくなると、活き餌を送り込みにくくなって、途中で沈んでしまうのです。三又サルカン等で結んでしまうと、投入時のショックで活き餌が弱ったり、ちぎれ飛んでしまったりということになります。これを 泳がせ釣りの活き餌投入ショック緩和方法 でほぼ解決しました。

追記 2020.09.24
泳がせ釣りの最重要事項である活き餌用の小魚(小アジ等)の確保を容易にするために、コマセカゴ超ミニ を自作しました。これによりコマセと刺し餌の同調が容易になって、釣果が向上するでしょう。

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