海の小魚釣りはのべ竿と1本針で

小魚釣りは楽しいです、それ自体。ですが、この記事は、その一歩先の泳がせ(呑ませ)釣りの活き餌調達をも視野に入れています。餌用の小魚(アジ)を買わないなら、自分で釣らないとできないのが、泳がせ釣りですから。

ヤエン釣りで(活)アイゴを抱いたまま揚がったアオリイカ
近年大流行の、アオリイカのヤエン釣りも、活き餌なしには成立しない泳がせ釣りの一種です。アジ以外の魚も活き餌に使えることを知らない人が多いので、別記事 で紹介しましたが、ここではその小魚の釣り方を紹介します。

昔むかし静岡県・南伊豆町の漁港集落に住んでいた折、毎朝マズメにシマアジの稚魚をアルバイト(納品価格1000円/尾)で釣っていて、"岸壁の父"と呼ばれたこともある私の技術を、ここでシェアします。

メジナ、ネンブツダイ、クロホシイシモチ、アイゴ、キュウセン、イサキ、トウゴロウイワシ、カゴカキダイ、サヨリ、マアジ、シマアジ、ムツ、ヒイラギ、メバル、ゴマサバ、マサバ、スズメダイ、カワハギ、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ、アユ、ハゼ、キュウリウオ、チカ、、。

思い出すままに書きましたが、まだあるでしょう、私が過去に釣ったことのある小魚です。ここに書いた魚のほとんどが、口が小さいので袖針3号以下程度の針で釣る魚です。

釣れる小魚は海域やポイントで多種多様ですが、口の小さい魚は、実は釣るのが難しいのです。一般に多用される市販のサビキ仕掛けは、針とハリスの組み合わせが限定されるので、不利なのです。

フクラギ 泳がせ釣り 餌=活アジ
喰いの立つ朝夕のマズメ時なら、少々ハリスが太くても針が大きくても、大口開けて吸い込むのでOKですが、それ以外の昼間には、傍に寄っても仕掛けを見切って避けて通ることが多いのです。

タチウオ 泳がせ釣り 餌=活ネンブツダイ
そもそも擬餌のサビキ針を喰うのは、魚にとっては誤食なので、コマセ無しではごく限られた好条件下でないと釣れません。これに対して餌の付いた1本針には、命がけで餌だけを喰いに来るのです。

だから、食わせ餌を付ける のべ竿+1本針仕掛け が有利なのです。それでも昼間は、針とハリスは見えていて警戒されるので、そう易々とは釣れません。

カサゴ 泳がせ釣り 餌=活ネンブツダイ
小魚釣りの鉄則は 小針に細ハリス ですが、小さすぎる針は飲まれるし、細すぎるハリスは切られます。これが頻繁に起きると、交換手間で効率が落ちます。

マエソ 泳がせ釣り 餌=活メジナ
時々の喰いの良し悪しによって、針とハリスを変えることができないと、この小魚釣りはストレスフルなものになります。

そこで、針とハリスの組み合わせを自由に決めて、臨機応変に対処するための技術が必要になります。まずは針結びです。釣るのが小魚ですから、針は1~3号、ハリスは0.3~0.8号位の物です。

この針結びは針が大きいほど、ハリスが太いほど容易で、小さい針に細いハリスは、私のような老眼でなくても難しいです。締め加減を間違えると切れてしまうし、正しく巻けないこともあります。小針の針結びには 電動器具を使う のも一法です。

針とハリスの選択

左から 鮎エサ1.5号 鮎エサ2号 丸セイゴ1号 海タナゴ3号

針は種類によって大きさと表示号数が一致しないので、実際の大きさと刺し餌で選びます。どんな餌でも刺しやすいのは、"鮎エサ針"のような返しの無い スレ針 です。針外しが容易なので手返しが良い反面、バレる確率は高めです。

針軸は線径が細いほど刺さりが良いですが、伸ばされる確率が上がります。例に挙げた中では鮎エサスレ1.5号針は、強度に不安があります。カワハギやフグに噛まれると折れる、曲がるの危険があります。形で言うと、海タナゴ針はフトコロが深いので、口が小さいと吸い込み難いです。

ハリスは、マズメ時なら 0.8or1.0号 が使えますが、昼間は0.4or0.6号でしょう。

とりあえず昼間のスタートは、ハリス=0.6号 針=鮎エサ1.5号 で始めるのが適当だと思います。

刺し餌とコマセの選択

カンパチ 泳がせ釣り 餌=活アジ
小魚釣りといえども、コマセ無し だとかなり難しく時間も掛かります。ミニかご を使って、微量のコマセに針餌を同調させて釣るのが良いです。

刺し餌の万能は、(こませ)アミの1尾通し刺しです。これで釣れない小魚は経験がありません。冷凍ブロックから使うのがコスパ一番ですが、鮮度維持が難しいです。

常温長期保存可能で切り方自在なのが、イカの塩辛です。市販の食用品は要冷蔵なので、ガチ塩の自作品が向きます。小型のマツイカ等の胴を、25%以上の塩漬けにして置けば、自然に発酵して出来上がるので、任意にカットするだけです。ブッコミ釣りなどにも使えますが、ここでは米粒大にハサミで切って、小針に通し刺しにします。

コマセは、本来は刺し餌と同じ物を使うのが理想ですが、お手軽ではないので、在り物で間に合わせます。ただし実際に喰えない、寄せるだけの物(米ぬか)のみでは効果が続きません。アミのチューブ入り を高価だと思われるなら、目の細かい パン粉 を使うとコスパ良く、楽です。

竿と道糸の選択

タケノコメバル 泳がせ釣り 餌=冷凍ネンブツダイ
スレ針を使う場合には、テンションが抜けた瞬間にバレるので、柔らかい竿 の方がバレにくいです。竿の長さは、3.6~5.4mの範囲内で場所次第ですが、短い方が扱い易いですし、軽いので疲れません。

道糸は、ナイロン2号 が適当です。ナイロンの伸びが、想定外の重さと引きに耐えるので。

リール付きの竿でも小魚釣りができないわけではありませんが、かなりやり難いです。リールとガイドが、細かな操作の邪魔になります。

釣り方

基本は浮きを付けない見釣り、サイトフィッシングです。コマセの有無はともかく、自然に沈んでいく感じで、小魚の口に針が入った瞬間にアワセます。アワセないと次の瞬間には吐き出していることも多いのです。偏光グラス が無いと釣りにくいこともあります。

釣った小魚の養生


釣り上げた小魚を生かしておくのに、私は ブク を使わず、バケツ に入れて海に降ろしておきます。その方が圧倒的に元気だから。スカリは 破られる危険 があります。

最後に、冒頭に挙げた小魚たちは、せっかく苦労して(実は楽しんで)釣るのですから、余っても捨てることはありません。冷凍して 貫き仕掛け 等の死に餌として使うか、私の血肉に代わっています。それらは、魚の味 でご笑覧ください。

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