パン粉で投げサビキ釣り-3_パン粉用コマセカゴの作成

カゴ1個の重量は6.5g

パン粉をコマセにしてアジを釣ろうという作戦の第ニ段階として、市販品には無いパン粉用コマセカゴを作ることになります。これは市販のロケットカゴを改造した、上カゴタイプです。

改造する目的は、カゴの底の放出孔から自然にポロポロとこぼれ落ちていく、というイメージを実現させることです。そのために、カゴ内部で上下に移動する放出調整弁を作ることがポイントになります。

この放出調整弁は、パン粉充填時には、底の放出孔をふさいでこぼれ落ちないようにする役目を果たします。水中を降下中は上に移動して、パン粉を上に押さえつけて放出を阻止します。カゴが海中で定位置に留まると、弁はカゴの中で傾斜して、弁を一部開放することにより、海水を吸って膨潤したコマセの沈降放出が始まります。

カゴの中で海水を吸ったパン粉は、品種にもよりますが大半(小粒)が沈み、一部(大粒)は一旦はカゴの中の上方に浮きます。それらの複雑な挙動に加えて、波の動きや潮流にも左右されて、コマセの放出具合のコントロールはなかなか難しいです。

ドライペレットの経験から判断して、今回のパン粉の場合には、放出調整弁にはごく薄いPEまたはPPの板を使うことにしました。PEやPPは比重が約0.91なので、厚いと浮力が強すぎて、カゴの中でパン粉を上に向かって押しつけてしまい、パン粉の沈降放出できなくなります。

考えた結果たどり着いた材料は、ごくありふれたクリアファイルホルダーです。この素材はPPなのです。カットして真水に浮かべると、たしかに浮きますから、海水にも浮くのは当然です。

ただし、そのまま使用すると厚み(浮力)が足りずに、沈降する膨潤パン粉に負けて、コマセ注入時のように弁が下に押し付けられてしまい、放出不能になります。このことへの対策として、放出調整弁の片側だけを浮かせて斜めにして、ケースと弁との隙間を拡げます。それを実現するのが、弁へのごく小さな浮力体の取り付けです。

パン粉用コマセカゴの作成

特に難しい工程はありませんが、細かな作業になるので、針結びができないレベルの人には向かない作業だと思います。お金はあまりかかからないので、暇人向きのDIYです。

道具は汎用の物がほとんどですが、PPのシートに打ち抜きの穴を開けるための ポンチ が必要になります。私は釘やボルトの先端を切り落として平らに研磨して、自作しています。



< 材 料 >

ロケットカゴ-S


メーカーが違っても基本構造は同じようですが、開口部が異なります。手に入るなら口の広い物が使いやすいです。NEOはイシグロのPB商品です。右端はNAKAZIMA製です。

Sサイズを使う理由は、なるべく軽量にして、キャスト時にはオモリに引かれて、オモリ.サビキ.カゴ.遊動ウキ.の順に一直線で飛行させることです。

クリアホルダー (PPシート)

透明でも機能に問題はありませんが、一目でわかりやすいカラー品がお勧めです。

クッションテープ (発泡ポリエチレン)

細かな閉鎖型の泡を持つ樹脂クッションなら、なんでもOKです。既製品の仕掛けや フック の台に使われている物でも、使える物があります。

ステンレス硬線 (0.8mm径)

放出調整弁の動きをスムースにするためには、中心軸は真っすぐなステンレス硬線が向きます。

OPPテープ

ビーズ

< 作り方 >

1. ロケットカゴのテグスを切って外筒と内筒を分離させ、全体のバリを削り取ります。


2. 外筒は上部の空気穴に接着剤を埋めてふさぎ、内筒は下部の穴をドリルで少しずつ拡大して7.5mm径まで拡げ、バリを取ります。

3. 外筒と内筒のすべての横穴を外からOPPテープを貼ってふさぎます。バリ取りが不完全なままテープを貼ると、回転しづらくなります。

4. 下の写真の上段左から : PPシートを15mm角に切り出し、中心にポンチで2.5mm径の軸穴を打ち抜き、対角線の先端を切り落として18mmにします。


5. クッションテープをおよそ3×10×2mmに切り、4.に軸穴を避けて 接着 します。接着した側が下になります。この浮力体の大きさ次第で放出調整弁の浮力が変わる結果、放出時間も変わりますから、目的に応じて大きさを選択します。また、波の荒い状況なら、カゴがゆすられるので浮力体が小さくても放出時間は短くなります。

6. ステンレス硬線を140mmに切り、始端にループを作り、ビーズ、内筒、放出調整弁、外筒、ビーズの順に通して、終端にループを作って閉じます。


7. 両端のループアイの隙間を埋めるために、半田付けして完成です。半田付けしておかないと、糸絡みの原因になります。

< 使用法 >

開口部を開けて放出調整弁を下に降ろし、パン粉を容量の1/3ほど注ぎ入れて閉じます。その時のパン粉の量は、重量で約1.5gです。

仕掛けは浮き流しであれば上から、浮き、コマセカゴ、胴突き(サビキ)仕掛け、ナス(六角)錘、という順にセットします。カゴは軽いですが、絡まないように一直線に飛行させるには、浮きとオモリは10号以上が適当です。

ブッコミで仕掛け全体を底から立てることも可能で、その場合には遠投ウキを外してコマセカゴのすぐ上に浮力の小さい 水中ウキ を付けるか、コマセカゴの中にフロート( バラ芯20mm 円錐部)を接着して内蔵することもできます。


この底立て仕掛け場合には、仕掛けより上のラインが垂れ下がらないように、沈むNYでなく浮くPEのラインを使います。同じタックルで浮き流しとブッコミを兼用する場合には、脱着容易な PEラインへの浮き止め が便利です。

コマセに使うパン粉の選択

パン粉の粒径については、対象魚次第で向く大きさが変わります。なぜなら、魚は自分の鰓耙(さいは)でこし取れる以下のサイズの餌は食べられないからです。逆に大きすぎても口に入らず、食べられません。コマセが魚の嗅覚や視覚で寄せる効果はあっても、実際に食べることで魚が興奮しなければ、先を争って餌を口にすることは無く、サビキ針にも掛かりにくい点は重要です。

パン粉の粒径は、対象魚のサイズを選ばないという意味で、大小混合が理想のように思います。ただ、それに対応できるコマセカゴは 遠投シャトル か  反転カゴ くらいしか思いつきません。これらは一気にドバッと放出するので、今回の狙いの ポロポロ放出 とはコンセプトが異なるので、除外します。

パン粉の粒径を1種類に絞るとなると、市販のパン粉のごく普通の物が入手しやすく好都合です。釣り餌用のパン粉 もありますが、販売店が少なく、通販では粒径も分からず、送料もネックになります。


スーパーなどで市販されているパン粉には、mmやメッシュ等のサイズ表記がされていないものが多いのですが、一例を挙げるとこんな商品(5mm目?)です。見た目では細かすぎるように感じますが、パン粉は水に入るとすぐに膨潤しますので、通常は小さすぎることは無いはずです。

コスパから言えば単価が安い方が良いのですが、1投入あたり1.5gとすると右の商品では約0.7円ですから、あまり価格に神経質になる必要は無いように思います。

 パン粉の膨潤実験


容器の下1/3にパン粉(2mm目)を入れて、吸いきれる量の水を注ぐと、容積でおよそ2倍に膨らみました。この結果から、コマセカゴの中でのパン粉の自由な動きを考えると、ドライパン粉の注入量は、容積の1/3位が適当でしょう。


パン粉用コマセカゴが完成したので、次は仕掛けです。→ パン粉で投げサビキ釣り-4_仕掛けと餌

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