釣りの棒ウキを発泡ポリエチレンで自作

浮きトップに シャイナー グリーン を装着した自作浮き

釣りの棒ウキを自作する場合、その素材は旧来は木材を使いましたが、現在は特殊な場合を除けば樹脂=プラスチックが使われます。

樹脂は化学合成品ですから、その種類は多くあり、目的に応じて選択されます。釣具店で市販されている材料は、主に 棒状の発泡ポリスチレン です。

加工性が良くて適度な強度もあるこの素材は、自作棒浮きへの適性が高いと思います。ただし価格も高いです。そして折れる。これが難点です。

自作というと、こだわりの結果、製作道具や材料に手間とお金をかけ過ぎる傾向がありますが、私は実用派でコスパ重視です。

なので、きわめて安価な発泡ポリエチレン素材を使って、道具も特別のものは使いません。それで、必要十分な機能が得られれば、それもいいでしょう。

こちらのPE発泡素材の特性は、比重が小さい=浮力が大きいことと、軟質で壊れにくいことです。その反面、切削加工がしにくいです。

さて、今回その浮きを作るにあたって、過去の作り方 から 進化するために、あらためて計算したり、製作方法を変えた部分があります。

発泡ポリエチレンの浮力計算

サンプル(20mm径)を実測します。

物の体積は 1×1×3.14×86.5㎝=271㎤
物の質量は 6.0g 
物の比重は 6.0÷271=0.022

実はこの製品には比重データがあり、安全データシート(SDS)記載の数値では、[ 比重(嵩密度) 0.023 ~ 0.037g/cm3 ]です。2倍近い幅のある公表データって意味あるんでしょうか?

なんだか比重から迫るのが適当でない気がしてきたので、20mm径・865mmを実際に(風呂に)錘を付けて浮かべてみたら、沈む直前の錘を測ると、443gでした。

この方が分かり易いですね。鉛の釣り錘1号が3.75gですから、オモリ1号を浮かせるには、

86.5÷(443÷3.75)=0.73㎝ 必要ということになります。

実際には水面上に浮かんで見える部分が浮力を減らすことになるので、浮力には余裕が必要ですから、1号あたり8mm としましょう。

今回作る浮きはオモリ15号負荷を目標とする物なので、浮力だけで考えるなら、12.0㎝になります。そこに水上部分を加えた長さが、全長になります。

今回製作する浮きの主用途は"パン粉コマセ投げサビキ釣り"なので、向こう合わせの釣りです。つまり浮力を殺す必要はないので、空気抵抗が過大にならない限りは長くても構いません。

L=22㎝にします。その結果、水中部分と水上部分はそれぞれ、およそ次のように推計します。

       水中 水上
12号錘使用時  9.5 12.5 cm
15号錘 〃    12.0  10.0 cm
18号錘 〃  14.5   7.5 cm
20号錘 〃  16.0   6.0 cm

計算上ですから誤差は生じますが、15号を中心に幅広く使えるでしょう。

細かな話ですが、今回初めて使うエンドキャップが水に沈む関係で、浮力を減らすのがどの程度か?気になります。

これを使うのは、発泡ポリエチレンへ下端の始末をスッキリさせて空気抵抗を減らすためです。旧来のビニールテープ巻きは簡単ですが、仕上がりの不整形が難でした。

< 材 料 >


高発泡ポリエチレン
(すきまスティック)
ゴムキャップ(イス脚CAPパイプ用)

< 作り方 >

発泡ポリエチレンの巻き癖の取り方=風呂のお湯につけて柔らかくした後に、物干し竿に沿わせて留め、数日間屋外で直射日光に当てて静置します。クセは完全には取れません。

蛍光テープの巻き方は水平横貼りも可能ですが、日中と薄明時兼用の視認性では、斜め貼りの方が見え易いです。デザイン的に市販品には無いので、他の浮きと区別できますが、ちょっと玩具感があり恥ずかしいかな。

1. ゴムキャップ底部の中心に1.5mmの穴を開けます。
2. 0.55mm径のステンレス(軟)線のW使いでループを作り、ループを下にして1.に差し込み、中から押し曲げて開かせます。




3. 
発泡ポリエチレン棒を22㎝に、ビニール管を4㎝にカッターナイフで切ります。


4. 発泡ポリエチレンの先端部分に 彫刻刀 (丸)4.5mm で、刃の長さ分の穴(直径4.5mmを目安に)を掘ります。
5. ゴムキャップの内側全体に、接着剤(※) を塗って、発泡ポリエチレン棒を差し込んで接着します。


6.
発泡ポリエチレンの先端部分に、接着剤を塗ったビニール管を差し込んで接着します。


 ・・ここで養生・・


7.
発泡ポリエチレン棒の曲がりを修正するように、両面テープを曲がりの背側に縦貼りします。


8.
 2色の蛍光テープを5mm幅の両面テープで一体化します。


9.
 剥離紙をはがした上から、蛍光テープ2色を斜め貼りします。
10.仕上げに、OPPテープを縦2列に重なるように全体に貼ります。

 発泡ポリエチレンとテープ類の接着性が良いので、張り直しは困難です。つまり一発勝負と覚悟して、慎重に貼ります。視認性にはほとんど影響しませんから、あくまで自己満足ですが。

(※)接着剤の選択
この2種は安価でありながら、ここでの接着性能はほぼ同じで必要十分に使えますが、乾燥後の硬さが異なり、GPクリヤーは弾性(粘着性)が残ります。

発泡ポリエチレン浮きの浮力テスト


錘を吊り下げて真水に浮かべ、水面上の長さ(テープだけの部分を除く)を測ります。

 錘   8号 9.8cm
 錘 10号 8.6cm
 錘 12号 5.8cm
 錘 15号 2.6cm
 錘 18号 0.0cm

設計時点の想定より、かなり浮力が少なくなったようです。原因は不明ですが、結果的には素材22㎝では錘負荷10or12号用ですね。私が主に使う15号錘では、ギリギリです。

1個当たりの製作費原価は、ザックリ言うと100円以下ですが、、70円位でしょうか。

釣りの浮きは、仕掛けほどの消耗は無いはずです。でも、現実には ラインブレイク 等で流したり壊したりで、失うことも少なくないです。なので、安価であれば被害減少です。

今回の製作のきっかけは、市販の浮き を続けて2個流してしまったことで反省し、作りました。暇のある人には、自作をお勧めします。


余談ですが、硬質プラスチック製の浮きは避けた方がいいと思います。安価なので私も使っていましたが、トップ部分がポッキリ折れたことがあります。釣れた魚が暴れると、どうしても周りにぶつけることもありますからね。

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