西伊豆・小下田&戸田湾で泳がせ釣り


福井県の越前海岸への釣行予定を、天気予報を見て急遽変更して向かったのは、西伊豆・戸田湾でした。さて今回は何が釣れたのやら。

2019年6月18日 (火曜日)

およそ200kmを走破して、戸田湾に着いたのは15時過ぎでした。うっ、人が多い。釣り場となる場所がたくさん有るようで、実は少ないのが戸田湾です。

ファミリーフィッシングなら、そろそろ引き上げ時刻になってくるから待てばいいのですが、平日のここに居並ぶ顔ぶれを見る限りでは、電気浮き使用者のようでしたから空きそうにはありません。

失せたやる気を背中に背負って、遠投カゴ釣りの人に話を聞くと。全然ダメで、朝からやってマダイは手の平サイズが2枚とか。

夜の予定を聞くと、アオリイカ狙いで、2日分の活き餌の買いアジを海中に20尾活かしてあるとのことでした。前夜は7人で1杯×2の釣果だったとか。相変わらず渋いようです。

無理矢理入って入れないことはない釣り場状況ですが、こちらは活き餌で負けるので、並んでやる気は無く、移動を決定です。

こんな事態は想定していなかったのですが、どこへでも行くしかありません。なるべく人の居なさそうなところを求めて。

今夜の浴場も頭に置きながら、海岸沿いに南下を始めます。私の泳がせ釣りができる所は限られます。ブッコミもやりますが、メインは泳がせで狙う魚とアオリイカです。

小土肥、土肥、小下田と見て回り、落ち着いた先は小下田の米崎漁港です。何年ぶりに来たのか、また少し人口が減ったような寂寥感を覚えました。


その割りに立派な港ですが、残念ながら水深がありません。大きな船が入ることもないので、間に合うのでしょう。みお筋で5m位でしょうか。昼間の釣りは無理で、夜釣り専用だと思います。

ここでできることは夜釣りのアオリイカと考え、さっそく活き餌の小魚を釣るべく海を覗くと、わっ綺麗。コバルトブルーのソラスズメダイが一杯居ます。


んー、キレイは良いんだけど、アオリイカの活き餌には小さすぎます。他には・・。少し金魚が見えるだけで、小メジナは居ません。

手をこまねいているわけにもいかず、さっそく狭い港をアチコチ移動しながらボチボチ拾い釣りします。


移動でお疲れの今夜はやる気は無く、明日の未明分の活き餌をなんとか確保したので、クロホシイシモチ他を海に預けてお終いにしました。


釣れてしまったこれも一応はキープしました。それにしてもソラスズメダイは綺麗です。この体色は、死ぬとすぐに退色してしまいます。

土肥の街中の 元湯温泉 に行って戻って岸壁で、潮騒を子守唄にお休みなさい。



2019年6月19日 (水曜日)

誰も居ない岸壁なので静かに寝られると思っていたら、0時過ぎに軽ワゴンが一台来て、眠りを破られました。再入眠できないままに、仕方なく2時に起床。


それでも、夏至間近ゆえに3時半頃から明るくなり始めるので、早すぎるとも言えません。クロホシイシモチを活き餌にして、アオリイカの仕掛けを投入しました。

澪筋を中心にウキ下を2.5mにして流しても、時折海藻に掛かります。


何事も起きないままに空が白み始めたので、胴付き2本針のブッコミ仕掛けの上に水中ウキを付けて、別の竿で投入しておきます。餌はイカの短冊のアミ塩辛汁漬けです。

水面下の浅さを除けば、貸切の釣り場は快適です。東に山があるおかげで、太陽が顔を見せるのも遅くて、暑い時期には助かります。


そう、嫌じゃないんだけど・・。陽が昇り始めたら、この浅い海では無理でしょう。アオリイカのウキ流しをあきらめ、ブッコミのみにして小魚釣りを始めます。


金魚を狙うもソラスズメが邪魔をして芳しくなく、10時に撤退決定。いつ新築したのか、とってもキレイな公衆便所を使わせていただき、小魚帯同で出発。


移動の車中でその後の落ち着き先を考え、戸田湾沿岸のお知り合い所有の私有地を使わせていただくことにしました。

私有地につき無断使用はNGです

11時半頃からエレベーター仕掛けでクロホシイシモチを投入しました。ここで実際に釣りをするのは初めてなのですが、オモリの着底までの時間の長さから、かなりの水深が想像できます。

フリーフォールで沈めた所では、おそらく水深30m位あるのでしょう。ただ、エレベーターの送り込み動作で竿を立てて糸を張るために、オモリが手前に寄って来てしまい、オモリの止まる位置はカケアガリの境目なのかと推測します。

エレベーター釣りでは、正しく針掛けできていれば魚の弱りが遅いので、フィッシュイーターに襲われることが無ければ、1時間でも2時間でも放置が可能です。

時々はご機嫌伺いで揚げてみますが、ほとんどの場合は活き餌は元気を維持しています。って、これじゃー価値無いんですが・・。でもこれが現実ですから。

張っておいたPEラインを介して、竿に付けた鈴が鳴ったのは15時40分でした。何だろなー。

その少し前に点検で揚げた際には、マエソがくっついて上がって来て、水面直下でクロホシイシモチを強奪していきましたから、今度もそれかな?

モルタル錘に海藻が絡んだまま揚がって来たので、その重さたるや、どんな大物かと期待しかけたのですが、重さに比例するグングンという引きが弱いので、期待は萎みました。

見えてきたのは赤褐色の魚でした。ピンクなら良かったのにね。


活き餌を負ぶい、エラを精一杯開き自分を大きく見せていたのは、カサゴでした。活き餌のクロホシイシモチを頭から丸呑みしようとして、針に掛かったという感じです。

ムツ針9号が唇に浅く掛かっていたので、危うい取り込みでした。もう少し針サイズを上げたほうが良いのですが、活き餌のクロホシイシモチが9cmほどと小さいので、あまり大きな針を掛けると弱りが早くなることもありますから・・。

カサゴ 推定21cm

それにしてもいつ以来の釣果でしょうか。このサイズなら、魚を釣ったと言えるでしょう。

何はともあれ、釣れて良かった。少し気分が晴れて、続行です。さて、今度はいつフィッシュイーターのご尊顔が拝めるのか。

16時頃からは並行してアオリイカの浮き流しも始めます。


小下田・米崎から運んできたクロホシイシモチが残り少なくなってきたので、小魚釣りをしながらの泳がせ釣りです。

この場所は土地の幅10.4m分だけ海に面していて、沖に向かってもその幅分だけは隣接地のロープやブイがありません。

その幅の範囲内で釣りをすることになるので、潮の流れが速いと、打ち返しが忙しく、活き餌も消耗します。

私の活き餌は自前の小魚ですから、無料の釣り放題ですが、手間は掛かります。でも、130円の活きアジと違って、財布を気にせずに楽しめます。

期待の高まる夕マヅメの時間も淡々と過ぎ、20時過ぎには閉店しました。温泉に行って戻って、今晩はここでお休みです。



2019年6月20日 (木曜日)

前の日の睡眠不足がたたって、この日の目覚めは遅めの3時半頃でした。着替えして車から出たら、そこは釣り場です。


アングラーとしては贅沢ですが、釣り人以外が見るとホームレスでしょうか。大きく評価の分かれるスタイルです。

真っ暗な時間はアオリイカ狙いの浮き流しですが、あっという間に明るくなり始めて、エレベーターの追加で、2本竿です。

それもつかの間で、足元の海中が見え始めると、小魚釣りも始めますから忙しいのです。小魚といえども、朝マヅメは釣り易いのです。

3本の竿を操っても、魚信があるのは小魚釣りの延べ竿だけです。ここでもソラスズメダイが邪魔をするので、他の魚を釣るのには少しばかり技術が必要です。


この朝は、定番のクロホシイシモチの他にナガサキスズメダイ、スズメダイ、クマノミなども釣れました。なんだか小魚釣りが本業のようです。

エレベーターの泳がせ釣りを続けながら、朝食を自炊して朝寝し、昼食を自炊して昼寝し、人生が終わりに近付いていきます。


車中のベッドに寝転がりながら、竿の監視を続けます。眠ってしまっても鈴が起こしてくれるはずですが、起こされません。

夕マヅメを迎えても、特段のイベントは無く、終りました。


あっ、そうそう、エレベーター仕掛けを最後に揚げたときに、活き餌の尻尾がかじられていました。このかじり方は何でしょうね。スパッではないので、、エソでしょうか。

風呂に行ったら、昼間に見知った釣り人が居て、その御仁がこの日に12時間の遠投カゴ釣りで28~40cmのマダイを4枚揚げた話など、聞かされました。社交辞令で「良かったですねー、おめでとうございます!!」くらいは言っておきましたよ、もちろん。

それより、前の晩には誰かが太刀魚を釣ったのだと。これは聞き捨てなりません。釣り場に戻って、さっそく 水中集魚灯 を海中に降ろし、21時半頃から点灯しました。貸切の場所は自由度が高くてありがたいです。



2019年6月21日 (金曜日)

目覚めは前夜の23:50で、第1投が0:10でした。2時間半ほどの睡眠にもかかわらず、気合十分でイカ・タチ兼用ワイヤー仕掛けで臨みます。

前夜聞いたタチウオの釣果情報も、どうせ1.2尾ということのはずですから、もしかしたら程度の淡い期待なのだと、自分に言い聞かせながら。


竿下で前夜から点けたままの水中集魚灯に寄っているのが見える物は、動物性プランクトン、クロホシイシモチの群れ、ウミケムシ、(ゴンズイ+ウツボ)÷2のような魚でした。数で圧倒するのはクロホシイシモチで、まるで金魚池のようでした。

タチウオとアオリイカのアタリをイメージしながら、ケミカルライト37mmの浮きを見つめ続けます。でも、どちらのアタリも経験値僅少なので、実際にアタリが出ても、対応できるのかなー。

その不安が現実となる機会が無いまま、夜は音もなく去って行きました。結局は金魚池の金魚が散ることも、姿を隠すことも無く、つまりフィッシュイーターの訪問は無かったということです。

どっと滲み出る疲労感。既に今日でお別れを心に決めているので、終ったも同然です。

消化試合をしていたら、見かけない魚を釣りました。いつも同じ石の陰に潜んでいて気になっていたものですが、ようやく釣り上げました。

体調10cmほどの ホンベラ?

ベラの仲間と見受けましたが、同定できず。

この朝は爺の疲れが酷く、道の反対側の婆と話をする気になれないので、7時には早々に撤退を開始しました。

無人の 戸田饗の里公園 に移動して釣具を洗い、朝食後に仮眠をして、帰途につきました。

またまた、いつもどおりの釣れない釣り海遊びをしてしまいました。

気ままに釣りのできる幸せと、釣れない不幸せを、心の中でどう折り合いを付けたらいいのでしょうか。多分、前者に重きを置くのが正しいのでしょう、理屈では。



西伊豆・戸田湾(+小下田)での泳がせ釣りの総括



魚狙いのエレベーター仕掛けでの泳がせ釣り

魚の目に付く位置に活き餌の小魚がキープされていたか。この時期の海中は海藻が繁茂しているために、仕掛けの点検回収の度に、ひどく絡まれました。途中でこの事実への無策に気付き、対策をしました。

泳がせエレベーター仕掛けの改良

1. 水中(木球)ウキを遊動にして、海底から3mの位置にキープし、エレベーターで降ろしたハリスがそこで止まるようにした。

2. ラインに掛けるハリスのスナップスイベル直近にガン玉2Bを付けて、水中ウキまで沈むようにした。

3. 水中ウキから上のラインが浮力で立つように、ラインをNY6号からPE3号に替えた。

戸田湾は水深があるので、錘を投げ込んだ先の海中が見えません。海藻の高さがどれくらいかは推定で3mとしました。海藻の頭のすぐ上を活き餌の小魚が泳ぐというイメージです。

ターゲットであるヒラメやマダイは底から1m以内の藻の間を泳いでいると考えられますが、密林状態の中に未確認で投入する仕掛けでは、活き餌の視認性と絡み防止を優先すべきと考えました。

もっとも、唯一の釣果であるカサゴを釣ったのは、1.2.の対策をする前でした。もっと経験値を上げないと、確定的なことは言えませんが、気づきを形に反映してみること自体は悪くないでしょう。


アオリイカ狙いのウキ流し釣り

今回のアタリがゼロの結果は、アオリイカとの遭遇が無かったと考えるのが妥当です。ただし、タナが合っていたのかという点は、要検討。カケアガリ部分での釣りで、水深が大きく変わる場所だったので、浮きで底からカウントするタナを維持することは、ほぼ不能。こんな場所ではエギングが有効なのだと思いますが、餌釣りだとどうするべきなのか??。

もう一点。春からのアオリイカの親イカ釣りですが、そもそも秋のように数が居るわけではありませんから、確率の悪い釣りにならざるを得ません。一晩に10人が並んで釣っても数杯の釣果ということは、日々棲息数が減っていくのではないかとも考えられます。であるなら、6月に頑張るくらいなら、4月3月頃に頑張ったほうが結果が出易いのでは、と思うのです。どうやら、私は今期は見放されたようですから、秋に練習して、来春を目指すのが良さそうです。



今回の釣行の覚え書き ・・ 泳がせ釣りを続ける信念



今回の釣行でも目指す大魚(マダイ、ヒラメ、アオリイカ)を釣ることはできませんでした。気分で言うなら、釣りが嫌いになりそう、というのが本音です。

でも、冷静に分析すれば、元々数の少ない大物を陸から狙うのだから、めったに釣れないのは当たり前のこと、とも言えます。

今回の釣果と言えるのは、たった1尾のカサゴ21cmでした。でもこの魚が教えてくれています。魚の数が減って形が小さくなっている今、ブッコミや穴釣り等の陸からの釣りでは、20cmを超えるカサゴは容易には釣れません。

小魚を泳がせて活き餌に使っていたからこそ、それを丸呑みできるサイズのカサゴが釣れたのです。仮に青イソメのような虫餌でも使っていれば、もっと数が釣れる代わりに、小型中心になったでしょう。

つまり、結果として幼魚を避けて資源保護しつつ成魚のみを選択的に釣る、というのが泳がせ釣りですから、こんなにも資源環境に望ましい釣法はありません。

釣り方、場所、餌を変えれば、釣果との距離が縮むのは分かっていることです。実績と人気の高い場所に競って入り、マダイに近付きたければ、遠投カゴ釣りでコマセを絶やさず撒き続ければ良いのだし、アオリイカにアピールしたければ大き目の活きアジを買ってきてヤエンをやれば良いのです。

ただ、私はそれに飽き足らないのです。情報も道具も餌も技も、釣りに必用なものを出来る限り他人に頼りたくないのです。

自ら考えて開発し、実行する。それを繰り返しながら進歩する。そこに楽しみを感じるのです。多数派だとは思いませんから変わり者に見えるのかもしれませんが、本人は正統だと思うのです。

今回の釣行で、遅まきながら気が付きました。泳がせ釣りをメインとする私の釣りは、ほとんどが「小物釣り」で、まれに「大物釣り」なのです。数で言うなら、大魚(成魚)1尾揚げる間に、小魚(成魚)を100倍単位で釣るのです。

もちろんのこと、小物釣りも楽しいです。日々のささやかな暮らしのようなものです。これに対して稀に釣れる大物釣りは御祭のようなものです。どちらを大事にするかと問われれば、私は迷うことなく「日々の暮らし」と答えます。

それが私の釣りのスタイルです。ゴーイングマイウェイ。釣果を競う必用は無いのです。


今回の釣行で釣った魚達 (持ち帰り尾数)


左上から下に、クロホシイシモチ (32尾) オオスジイシモチ (1尾) ホンベラ? (1尾) カサゴ (1尾)

右上から下に ナガサキスズメダイ (9尾) スズメダイ (2尾) クマノミ (1尾) ソラスズメダイ (1尾) キュウセン (♂0尾)

持ち帰った小魚は、すべて美味しくいただきました。上の魚の味は別のページに 

クマノミ・スズメダイ・ソラスズメダイ・ナガサキスズメダイ・ホンベラの味/西伊豆・戸田湾での釣果

カサゴの味/西伊豆・戸田湾での釣果

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