車載冷凍冷蔵庫内上下の温度差/直冷式上開き
車載の小型冷凍冷蔵庫は、その多くが上開きで、ファンの無い直冷式です。上蓋式は冷気を逃がさないためで、直冷式は構造をシンプルにするためです。
家庭用冷蔵庫とは異なるコンセプトですから、このスタイルが正解だとは思うのですが、気になるのは底付近の下部と蓋付近の上部の温度差です。
庫内の温度分布が、上が高く下が低いのは重い冷気が沈むことから当然ですが、それがどの程度なのか。そして、運転温度によってどのような差が生じるのか、気になります。
これは <釣獲魚を保蔵する温度管理の要点>記事末尾記載 にもかかわることなので、実際に庫内の上下で計測してみることにしました。
私が使用している車載冷蔵庫は、直冷式上開きの エンゲル冷蔵庫 MT45F-D1 という旧型で、デジタル温度表示が無いので、改良の一環として温度計設置を行います。
ON 冷蔵 1 2 3 4 5
計測に使用する温度計は、カセットガスボンベを自動車内で安全に保管 でも使用した物です。
最終的に温度計を2個設置するのか1個撤去するのかは、今回の計測結果次第なので、仮設置とします。
車載冷蔵庫内上下の温度差を検証
テスト条件(2021.08.29実施)
・真夏の快晴高温下で自動車の窓を一部(バイザー分)開放
・06~20時の間に2時間ごとに、設定温度を変えて庫内温度を計測
・冷蔵庫電源はDCサブバッテリー(ソーラー充電)
温度計測位置
庫内の上端と下端にプローブ(センサー部)が冷却板に触れないように内壁にテープで貼り付け
A 冷蔵庫内下部
B 冷蔵庫内上部
C B-A (BがAよりC ℃高い)
D 車室内 = 温度表示基盤裏側
E 外気 = スマホアプリ表示の予報値(静岡県・浜松)
温度計測の結果を表とグラフにしました。ABの内 Aは 修正値 を使用しています。
テスト結果の考察
今回の冷蔵庫内温度計測は、内容物無しで行ったので、実用時に再現される保証はありません。ただし、傾向としては同様の結果になる可能性が高いと考えられます。
発見
・快晴の日射と冷蔵庫の運転による排熱が車内に蓄積され、14時に車内温度が51.2℃を記録し、温度計7セグが表示限界を迎えたので、急遽方針を変更して、右サイドドアとバックドアを開けて通風を確保しました。
・夏季高温の過酷な環境下では、仕様の低温限界である-18℃までは下がらなかったです。
・日中を通じて運転中の庫内上下の温度差は、2.8~1.9(平均=2.3)℃でした。
・その温度差は設定温度による違いは大きくなかったです。(14時は異常値?)
気付き
上開き式の車載冷凍冷蔵庫はその機種によって大きな能力差があると思われるので、一概には言えませんが、深型の場合には上下の位置により約2℃の温度差が生じます。よって凍結限界の微妙な温度帯では、予期せぬ凍結が起きることがあり得ます。したがって温度監視は庫内上下2ヶ所で行うのが望ましいです。もし1点に限るなら、底部の最低温度を計測して、上部はそれより2℃ほど高いと認識すべきです。コンプレッサーによる直冷式では、他社製の機種でも大きくは違わないように思います。
総合判断・・温度計センサーの設置位置
今回の温度計測テストに使った冷凍冷蔵庫は、実用では+5℃~-3℃の目標温度で使う場面が多くなると思われるので、温度計1台のセンサーを底に接する縦置きで内壁に貼り付けることとします。扉の開閉や内容物による熱の伝播阻害を考慮して、庫内上部は底部+3℃と推定して使用します。
釣獲魚を保蔵する温度管理の要点
・細菌数が1g中10⁷(初期腐敗=可食限界)に達するまでの日数は30℃で1日,20℃で2日,10℃で3日,5℃で5日,0℃で9日であり,官能的判断による可食限界までの日数とほぼ一致している。 とくに5℃以下では,貯蔵効果が大きく,温度が1℃低下するごとに可食限界は約1日延長される。
・パーシャルフリージングは氷蔵に比べて鮮度保持効果が格段に優れていること,さらに冷凍の常識に反して,タンパ ク質の変性も冷蔵や通常の冷凍に比べてかなり抑制 されることを示している.このようなpartial freezing法の特徴 はイシガレイ,ヒラメ,コイ,サバ,サケでも確認されている。 出典=魚介類の冷蔵と品質 by 遠藤金次
上記とは別の観点で、大型魚では+5~+10℃で保蔵すると旨味成分の発現・消失が遅らせられる、との報告もあります。私は、それらを総合的に勘案して、小型魚or長期保存用の-3℃ と 大型魚(味重視で短期)の+5℃を2種の目標(理想)温度として、釣獲魚を冷蔵庫内で保存することにします。=2021.08.29現在の考え方・・活〆と血抜きを前提に=
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