自作キャンピングカーの造作と家具製作の基本

車中泊車両をキャラバンで自作 - 8

キャンピングカーを自作する最大のメリットは、"空間使用の自由"です。ビルダー製の立派な既製品では満たされない、自分の使い方にフィットする形を実現できることです。

その形を作る作業は、具体的には造作・内装や家具製作になります。趣味のDIYで何台も次々に作る人は多くないはずですから、経験豊富というわけにはいきません。曲面だらけの車内ゆえに難易度は高いです。

素人の自作では、加工のし易さから木造が中心になるのが普通です。そして、床も含めれば最も作業量が多くなるのが、この木工作業でしょう。

手順としては、普通なら先ずは設計図を書くことになりますが、この3Dの設計自体が難しいものです。また、必ずしも必要とも思えません。図面で伝えるべき相手は自分ですから。

ポンチ絵のような配置図は書くとしても、実際に立体で確認するためには、モックアップを作るのが有効です。使用済みの段ボール箱を解体すれば使えます。


これが、製作時の型紙になります。寸法や注意書きをメモするなどしておくと、間違った切断を防ぐこともできます。併せて、床に鉛筆で線引きするのも有効です。

車中泊ベッドの製作

ここでは、全体の造作以前に、大型の優先設備である常設ベッドだけは、現場合わせで位置決めと仮製作を先行しました。

折りたたみ式ベッドも検討しましたが、通常の車中泊は一人使用なので、24時間いつでも使用できる、常設のスノコベッドとしました。


ベッドの枠を内壁のユーティリティーボルトで固定したり、床から支持柱を立ち上げたり、天井から 寸切りボルト で吊り下げたりと、随分と複雑な造りになりましたが、マットサイズでW=68 L=180(延長可能)cmを確保しました。

4ナンバー標準幅のキャラバンでは、残りの車内有効幅は60㎝確保するのがやっとで、この幅がもう一人の就寝スペースとリビングスペースとなります。

さて、本題の内装・造作に戻ります。


モックアップによって基本の空間使用を確認したら、本製作に進みます。私の自作初代の エブリイ では、造作は主に杉の野地板を使用しましたが、このキャラバンではコンパネを使います。

なぜなら、狂いを避けて強度が得られ、なおかつ水濡れに耐えられるからです。そもそものコンセプトが実用本位なので、この選択になりました。

コンパネを段ボール型紙と再計測に基づいて切り出し、縦横に接合します。主に床との接合は ダボ で、壁面同士は ビス 止めとします。後記

造作全体が、床や壁に接する部分で固定されて動かなくなるように考えます。場所によっては、壁に ドリルビス で固定するのもアリですが、なるべくは壁内に既設のM6ユーティリティーナットを使うのが良いでしょう。


木材同士の接合には接着剤を使えば堅固になることは間違いないのですが、補修や改造等の際の解体も考えて、接着するのは一部のみとします。

注意が必要なのは、床の沈み込みです。建付けの際に沈んでいなかった床が、その後に載せた重量物で沈むと、床と造作壁に隙間が空く可能性があります。

そうなるとガタつきが生じて、部分破壊に進む危険があります。それを防ぐためには、箇所ごとに以下の検討が必要です。
 1. 床張り時の水平に留意する(浮き沈みが無いように)
 2. 床と壁のダボ接続に接着剤を使用して一体化を図る
 3. 車の壁と造作の接続は重量物を積載後に行う

ここでは床材に12mmのコンパネを使用していますが、28(24)mm構造用床合板を使えば、たわむ心配はほぼ無いでしょう。ただし、価格もさることながら、重いので腕力も必要です。

コンパネは下地材とする見方が大勢だと思いますが、化粧の塗装やクロス貼りをすると調湿性が損なわれるので、私はあえて無塗装とします。意匠的には??ですが快適性を優先します。

上記の木工作業は、板接ぎを除いては一旦組み上げてから、不具合や変更による修正を加えた後に、最終的にビス(接着)固定します。

コンパネ同士をビスで接合する方法

コーススレッド(orスリムビス) と 接着剤 を使えば実用上十分な強度が得られます。そのためには正確な切断と穴開けで接続面に隙間を作らないことです。

はじめに留める板の裏側にビス留め位置をマークし、その位置にビスの軸径よりわずかに細いドリルで垂直に穴を貫通させます。


2枚の板を留める状態で置いて(固定して)、表側からドリルを挿し込んで、押さえながら相手方に浅い穴を開けてマーキングします。


止める板を退けて、下穴を掘り進めます。ビスの深度の1/2~1/3程は掘らずに残します。


ビスの皿頭が板面から出ないように、面取りカッター で面取りします。


接着面に接着剤を塗り、ビスで留め、1昼夜置いて固着させます。


木材同士の固定では、木口へのビスは効きにくいので、留める板厚の3倍程度、木端へは効きやすいのですが、留める板厚の2倍程度のビスの侵入深度が必要です。

軟材(針葉樹)か硬材(広葉樹)かによっても違いますし、どの程度の強度が必要かによっても異なります。ビスの本数は、組付け面の精度にもよりますが、15㎝間隔で1本くらいは必要でしょう。

コンパネ同士をダボで接合する方法

ダボの使用は、ビスのように表面に現れない装飾性が魅力ですが、金属ビスのような強度は無いので、接着剤の使用が必要になります。


木口or木端に必要数の穴を開け、


そこに"ダボ用マーキングポンチ"を挿しこみ、


相手方に合わせて押し付けて叩いてマークし、そこに穴を開けます。


片方の接着面と双方の穴に接着剤を塗り、ダボを挿しこみ、両方を合わせて圧着します。硬化途中で動かないように固定して養生します。

板の木端同士の継ぎ足し接続

シハチの板なら無駄は出にくいのですが、サブロク板から切り出すと半端材だらけになるので、わずかな不足部分は継ぎ足すことも必要になります。


ダボ用の穴を正確に開けるには、専用の ダボ穴治具 を使いますが、前述の ダボ用マーキングポンチ だけでも、水平面に置いて位置合わせすれば大きくは狂いません。


それよりも、接着時に接着面を圧接することが大事です。上の写真では、その圧接が実現しにくいので、平面維持を兼ねて2枚の板で挟んで固定しています。

今回使った12mm厚の合板は、7枚の薄板の直交張り合わせなので 木端≒木口ですから、強度的にはどう使っても大差ありませんが、ホームセンターの安物のせいか、中心部には空洞や劣化材が含まれていたので、注意深く使いました。

床を除く(3枚弱)家具・造作全体として、約4枚程度のサブロクのコンパネを使ったので、総持ちでそこそこの強度があるものと期待します。

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