ハクビシンの駆除は素人でも可能 4/6
ハクビシン捕獲までの記録
葡萄の棚はカーポートの屋根の下にあり、地面はコンクリート土間です。うどん粉病がブドウの実に発生して、その対策に頭を悩ませていた時期でした。
ある日突然、熟して人が食べるまでには1か月近く早い時でしたから、予期せぬ出来事でした。
落ちていたブドウの皮には蟻が寄っていたので、すでに糖分は有ったようです。試食してみると、ヒトには酸味と渋みと少しの甘味が感じられました。
箱罠も捕獲許可証も事前に準備してあったので、さっそく捕獲作業を開始しました。
ハクビシンの捕獲作業1日目
被害を発見した当日の夕方に設置しました。餌は3種類です。
1. 被害のあったブドウの摘粒(裂果)果実15粒
2. バナナ1/2本と誘引用の皮
3. 揚げ菓子(ひとくち歌舞伎揚)2ヶ
設置する餌をいつまでタダ食いされるか分からないので、高価な物は避けます。
ハクビシンの捕獲作業2日目
結果は、分かり易く表れました。まず、ブドウの木には登らなかったようで、被害は無し。
箱罠に設置したエサは、1.ブドウと2.バナナは手付かずで、3.の ひとくち歌舞伎揚 2ヶだけが無くなっていました。
3.の揚げ菓子1ヶは外に、もう1ヶは中のトレーのブドウの上に設置してありましたが、どちらも無くなっていましたので、ハクビシン?は奥まで入ったことが分かります。
一度気に入った餌を食べると、動物は繰り返し来ます。生きるための仕事ですから。前日の経験をもとに、ブドウとバナナは止めて、甘い揚げ菓子だけを餌とします。
これをどうやって吊るしバーに付けて引かせるか。パン食い競争のように吊るしておくのが良いか。まず試すのが、このケースへの収納です。
① ② |
上部を切り落とした乳酸菌飲料の容器に、ティッシュペーパーを入れて底上げし、①は2種類1ヶずつの揚げ菓子を容易に取り出せるように入れます。これは箱罠の外に置きます。ハクビシンは、容器を倒して取り出すかもしれません。それが成功経験となります。
罠の中でトラップの吊るしバーに掛ける②は、揚げ菓子2ヶの内1ヶは容易に取れますが、もう1ヶは沈めて入れて置き、取り出すには、容器をいじる必要があるようにしておきます。
さて、結果は如何に?
ハクビシンの捕獲作業3日目
思わぬ邪魔が入りました。緊張の糸が切れるような。確かにこの野良猫は我家の庭で、最近になって時々見かけていました。
トラップの吊るしバーに掛けた揚げ菓子を食べて捕獲されたのですから、箱罠のトラップの有効性はこれで確認できました。一歩前進です。
ハクビシンは来なかったようで、ブドウの食害はナシでした。
もしや猫がハクビシン避けになるのでは、という推論の実証のために猫には一晩残留してもらうことにしました。効果があるようなら、飼ってあげようかな。
ハクビシンの捕獲作業4日目
朝見ると、土間には2房余のブドウの皮が散乱していました。箱入り猫では、少なくとも役立たずなことが実証されたので、即刻開放しました。やはりハクビシンは居るし、来るのです。
戦略を再構築します。猫は来ないという前提で、次の設置餌はバナナとピーナッツバター塗りパンの2品にしました。この日は本気で獲りに行くのではなく、餌の選好性を知る調査です。
吊るしバーには何も掛けないものの、その奥に置いた餌を食べるためにバーに触れることでのトラップ作動は無くもない、という程度です。
さて、どうでしょうか。
ハクビシンの捕獲作業5日目
ハクビシンの来訪は不明です。ブドウの食害は無し。置いた餌は、全く手つかずでした。ハクビシンからすれば前日に変化があったので、警戒したのかもしれません。
変化は2点あり、一つには箱罠に変更を加えたこと。横の片面に遮蔽のための段ボール板を取り付けました。
二つ目は、うどん粉病対策で、ブドウの房に食酢薄め液を噴霧した事です。これは、直後には周囲に臭いが漂っていました。
これらが、警戒の原因になって、来襲が無かったのか、それともそもそも他にも餌場があるので、連夜は来ないのか?
さてどうするか。捕獲できないままに日が過ぎ、少しずつ食われていくのを見ているわけにはいきませんが、乗り掛かった舟ですから、箱罠は捕獲を目指す本気のセットとしました。
バナナ+ピーナッツバター塗りパン です。バナナは樹脂ネットに入れて、吊るしバーのフックに吊るしました。
ハクビシンの捕獲作業6日目
結果は、× 。餌にもブドウにも変化が無かったので、寄らなかったと考えられます。近くまで来て、変化に危険を感じてUターンした可能性もあります。
変化の一つは、自転車の位置をを動かしてしまったこと。もう一つは、常設の赤外線センサーでON・OFFするライトの電源を切ったことです。
後者は、その方がより良いだろうと思いしたことですが、変化には違いありません。
さて、困りました。来ないハクビシンには捕獲の可能性がありません。ひたすら淡々と、変化なく切れ目なく継続するしかないのでしょう、か ? 。
そうしてみます。餌はフレッシュに更新して、バナナ+ピーナッツバター塗りパン です。
ハクビシンの捕獲作業7日目
来ました。ブドウを喰われました。2房半ほどの被害でした。箱罠に置いた バナナ+ピーナッツバター塗りパン は無視されました。
再来が確認できたので、これからも来るでしょう。ブドウがある限りは。
ブドウを早めに収穫してしまえば、という考え方は、この場合できません。なぜなら、未だヒトには酸っぱくて食べられないからです。
ハクビシンにとっては、酸味と甘味のバランスは気にならないようで、増え始めた糖分だけで選好しているのでしょう。
こうなると次の一手は、被害を受けている未熟のブドウよりも甘いブドウで釣るのがセオリーなのでしょう。何しろ、ここに来るハクビシンは、過去はブドウ以外の果樹には手を出さなかったのですから。
高価なフルーツを買うのを避けて、自分で手間をかけて栽培しているのに、餌用にブドウを買うのは不本意ですが、仕方ありません。
まあ、相手の「お命ちょうだい仕る」のですから、冥土の土産話に、プロが作った糖度の高い美味しい葡萄をお供えすることにします。ついでにバナナも。
そして、気になっていた箱罠設置位置も動線に近い位置に動かしました。その根拠は、ハクビシンが葡萄棚に登るルートです。
他にもルートは有るのですが、爪痕から見ると、現状ではこのブドウの主幹から上がっているようです。
この推定ルートに合わせるように、餌の設置も個所数を増やして誘導するように、計6か所設置しました。ここまで来て、やっと捕獲の緒に就いたのかもしれません。
またこれとは別に、これ以上の被害を防ぐための防護策として、樹脂ネットを被せました。破られるのは承知ですが、無いよりマシか?の気休めです。
ハクビシンの捕獲作業8日目
来なかったです。餌その他には、まったく変化が無かったです。こちらが日々何か考えて手を尽くすのも大事ですが、その変化を嗅ぎ取られると、警戒心を刺激することにもなるので、この日は変化ゼロ(餌の更新も無し)とします。
ハクビシン入来推定場所 |
ハクビシンの捕獲作業9日目
またまた来なかったです。そう思って、箱罠から順に遠くに向かって置いた餌の写真を撮っていくと、一番遠くの敷地境界内側に置いた物に変化がありました。
ぶどう3種の内、紅色のブドウ(右手前の陰の中)が口に入って噛んだ後に吐き出されていました。(果肉が一部残ったまま)
そして、バナナ(1/6カット)が消え失せていました。
この日の追加対策は、当該位置にバナナ1本と紅ブドウ3粒を置いて更新しました。
ハクビシンの捕獲作業10日目
早朝5時過ぎに、箱罠の見える部屋の窓のカーテンを開けると、おやっ、檻の扉が閉まっています。そして、中で何やら黒い物が動いています。
猫程度の大きさに見えたので、ヤマト運輸か ?? 。もしハクビシンだったらとも考え、着衣もそれなりに整えて長靴を履いて近づくと。
苦節10年ではなく10日にして、結果を得ました。ハクビシンの捕獲に成功です。
罠に近づいて覗き込むと、ハゥッ !! というような威嚇の声を出して向かってきます。まるで猛獣のよう、体は小さいのに。
数年前に、ぶどう棚の上からこの威嚇を受けて感じた恐怖がよみがえりました。嫌な奴です、チビのくせに。
捕獲場所は人間の生活場所でもあるので、とりあえず移動させて、現場の後始末です。
箱罠のハンドルを持とうとして手を近づけると、猛烈な勢いで威嚇して攻撃します。皮手袋をしていても危険を感じるほどで、道具を使ってハンドルを起こしました。
はっきり言って可愛くない奴です。ブドウは食われるは、攻撃されるはでは、死んでもらうのも致し方ないと思えます。
夜中に檻の中で相当暴れたようで、額に傷があるとともに、敷物にした紙がたいそう汚れていました。これでは丸ごと1本のバナナが食べられてしまったのか、それとも踏みつぶされたのかも分かりません。
摂餌状況は、前日とは変わって、ブドウ(+バナナ?)が食われていました。場所は檻外5か所の内の1か所は手付かずだったのが不思議です。
周辺に転がっていたピーナッツバター塗りのパンは手付かずでしたから、少なくともこの個体はやはりブドウが好餌のようです。
ブドウの産地でもないのに、なぜブドウなのでしょうか。自前の未熟ゴルビーとチリ産2種、合わせて3種のブドウは全種食べたように見えました。
今回一つヒットしたように思う給餌のアイディアは、捕獲作業2日目 に記したケースに入れて吊るした餌です。罠の外にも同じ物を吊るして慣れさせ、罠の中のケースにも触れて、吊るしバーのトラップが作動したのだと思います。
さて、捕獲が成功したので、いよいよ最終段階の ハクビシンの殺処分 に移ります。
追記
捕獲許可は、毎月から年間に変更され、事務が楽になりました。
その後の捕獲状況は、下記の日に各1頭を捕獲しました。餌は輸入品の紅系のブドウです。
2021.10.27
2021.11.11
従前の被害は自家のブドウ(9月終了)だけだったのですが、その後イチジクにも被害が出たので、秋にも捕獲を再開しました。
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