遠投中通しウキを発泡ポリエチレン棒で自作

製作中の"遠投中通し浮き"
市販品では高価な物が多い 遠投ウキ ですが、比較的安価にもかかわらず、空気抵抗を受けにくく、糸絡みしにくいのが、軽量の 中通し浮き です。ただ、球形に近いと、波のある場合には波間に隠れて見づらいので、ある程度水面上の高さを維持できる棒ウキが有利です。

今回自作する物は、中通しとしては市販品に無い形の棒型で、メイン素材は発泡ポリエチレン製の スキ間充填材 です。これを使う訳は、安い、軽い、柔軟、の3要素が満たされるからです。

素材としては、硬めで穴の開いた 低発泡ポリスチレン製の物 もあります。加工が容易で穴開け済みなので、価格を気にしないならそれを使うのも良いでしょう。

以下のウキ自作には少々手間は掛かりますが、安くできるので、時間のある人にはお勧めです。製作原価は、1本あたり100円ほどです。

錘負荷 は長さに左右されますが、材料のプラパイプの規格=25㎝にしたがって作るのが自然で、ほど良い長さのように思います。

製作途上の曲がり補正前
上の写真は装飾を施す前の途中ですが、LED浮きトップピン型リチウムイオン電池BR435 を内蔵した実用形でテストした結果を黄色テープにマークしました。実用可能負荷は8~20号で、最適負荷は12or15号です。オモリ内蔵ではないので、8号未満の負荷では 寝ウキ になってしまいます。

< 作り方 >

1. 発泡ポリエチレン棒を245mmに、ビニール管を35mmにカッターナイフで切ります。
2. 発泡ポリエチレンの先端部分の中心に 彫刻刀(丸)で、深さ25mmの穴(直径4.5mmを目安に)を掘ります。


3.
 発泡ポリエチレンの後端部分の中心から先端に向って、直径2.0mmの金串を挿し通します。上端部は、中心を避けて貫き、6.のプラパイプ用の下穴とします。開けた穴に直径3mmの竹ひごを通して、一晩置いて穴のクセを付けます。


4. 発泡ポリエチレンの下端部分をカッターナイフで円錐状に削った後に、ヒートガン で(瞬間)炙って表面を滑らかにします。

=熱処理前 プラパイプ =熱処理後

5.
プラパイプの片端を直火で(瞬間)炙って角を丸めると同時に微細なツバを作ります。反対端はサンドペーパーで角を斜めに削っておきます。
6. 4.に5.を上端から挿し通し、上端はゾロにして下端を突出させます。


7. 6.の挿入時に、上端、下端の順で接着剤を注入するようにして固めます。
8. 2.の穴に、接着剤を塗ったビニール管を差し込んで接着します。
9. 浮きとしての使用時に水面上に出る部分に、冒頭写真のように両面テープを下地にして蛍光テープを貼り、仕上げに、OPPテープ貼ります。詳細(本体の曲がり補正等)は 別記事 で。

接着(剤)の養生は数時間程度ですが、ひと晩置けば完璧です。

< 使い方 >

PEライン使用の例
浮き本体の上下にシモリ玉を入れてラインを通し、遊動浮きとして使います。NYラインの場合には、普通の浮き止めで、PEラインの場合には 棚ボケしない浮き止め で留めます。細くて傷に弱いPEラインに当たる上部シモリ玉は、相性の吟味 が必要です。

夜釣りで使う際には、上端に埋め込んだビニールパイプに 電気ウキトップ を装着します。ここで大事なことは、ただ差し込むだけでなく、ビニールテープを巻いて固定することです。失うと悲しいから、です。

中通しウキへのライン通し(PEラインの場合)
 中通しウキは全長が長くなると、腰の弱いPEラインは通しにくなります。ここで埋め込んだポリスチレンパイプは内壁の滑りが良いので、パイプ内部が乾いている場合には、PE糸だけでも通せます。

パイプ内部が濡れていたり、細くてコシが弱くて通しにくい場合には、ライン通しがあると便利です。フロロ3号程度の糸の端を折り返してPEラインの端をはさみ、反対端からパイプに通して抜きます。

中通しウキ製作のポイント
 発泡ポリエチレン棒への貫通下穴開けが難しいです。平面に置いた棒を転がしながら、水平を維持した金串様の物を少しずつ差し込んでいきます。片側からは半分強までにして、両側から差し込んで貫通させます。コツは 木球ウキ の穴開けと共通します。

穴開け用の硬線(丸棒)は、市販品では 魚串 の2.0mm径が使えます。その後に下穴を3.0mm径で拡大しておくのですが、110円ショップにある3mm径の竹ひごが使えるでしょう。

この中通しウキは、投げてみると分かりますが、仕掛けに引かれて真直ぐに飛ぶので、同等浮力の中通しでない 従来品 と比べると、およそ10m位は飛距離が延びます。そして、浮きとラインや仕掛けとの糸絡みも、ほぼ起きません。なかなか使える物ですから、お試しを。

追記 2024.03.29
シーズン前の釣具の点検中に発見しました。


上の画像は、ライン中通しの上端部です。PEラインで使用している内に、削れてしまったようです。プラパイプの素材を確認したのかしなかったのか失念しましたが、あらためてパッケージの裏を見ました。


うっ、PSだと。こりゃダメです。硬度の違いが歴然で、PE>PS ですから、削れます。PEラインはロッドガイドのガイドリングを削るくらいですから、ポリスチレンなんて訳なく削られます。不覚を取りました。

NYラインでは使用したことが無いので、結果が分かり次第シェアします。

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