泳がせ釣りの活き餌(小アジ)への針掛け方法

泳がせ釣りは、ショアからブリ、カンパチ等の青物やヒラメ、コチ等のフラットフィッシュ、スズキなどの大物フィッシュイーターが釣れる釣りなので、人気があります。

この釣りでは、ターゲットとする魚の回遊の有無が何より大事ですが、活き餌の入手と扱いも大事なポイントになり、成否を分けます。

活きアジの入手は買えば簡単ですが、運搬に設備が要ります。現地調達の方が良いのですが、釣れる保証が無いのが泣き所です。

小鯵の活き餌が手に入ったとして、さてどう使うか。すぐに死んでしまうような扱いをすると、ターゲットへのアピールができずに実質的な釣り時間が減ってしまいますから、釣果は得られにくくなります。

弱った小アジはフグ、ハギ類の攻撃を受けてかじられて絶命しますから、弱らせないことは重要なのです。そのための仕掛けと針掛けをどうするかが、泳がせ釣りのキモとなります。

結論は、下の写真にある通りです。見る人が見れば一目瞭然でしょうが、念のために説明を記します。

アジも20cm位以上になると体力があるので、致命的でない場所であれば、本来は針1本刺されたくらいでは直ぐには弱りません。ただし、もちろん針を刺せば、出血するだけでなく、筋肉や筋等を傷めて弱らせることに疑いは有りません。

そこで、針を刺さずに針を掛けることを考えました。ヒントは、アオリイカのヤエン釣り です。ヤエン釣りでは、アジの尾柄に針を刺すのが容易なために一般的ですが、抜け防止と弱り防止のために"結ぶ"人もいます。

この 結ぶ派、がヒントです。糸を結んで、針は刺さない。


ヤエン釣りで結ぶ場合は、ターゲットに掛けるための針は"ヤエン"なので、尾柄には単純に糸を結ぶだけですが、魚狙いの泳がせ釣りの場合には、獲るための針をセットしなければなりません。

尾柄と針を糸で結ぶ方法はいくつか思い浮かびますが、仕掛けとして考えると自ずと最善策が出てきます。魚が泳ぐ方向に対して針先が後方を向く結び方が妥当です。

その理由は、呑ませ釣りという言葉が示すように、フグ、カワハギ、イカ類のようなかじるタイプではなく、丸吞みするような魚は、必ず小魚の頭から飲み込みます。そうしないと、ヒレの棘やゼイゴが引っ掛かって入っていかないからです。

泳がせ釣りでは普通は返しのある針を使うので、針抜けを心配する必要は無いですから、尾柄にしばりつける、でOKです。ただし、針につながるハリスで結ぶのは、手間取って小アジを弱らせる危険があるので、手早く結べる別糸による結束がベターです。


これが別糸の "締まるループ糸" です。結び方はユニノットです。輪の中に尾柄と針を入れて、結びコブを抑えて長糸を引くと締まります。締めたら、不要な部分はカット。


このように結びつけた針が尾柄からすっぽ抜けることがあるのかと言うと、ありません。もちろん締め方がゆるいと抜けますし、掛ける位置が前過ぎると後ろにずれて緩んで抜けます。

ショアの陸っぱりで使うハリスを4号以上だと考えると、写真のように適正位置で十分に締めてある場合には、NY3号以下のループ糸は外れるのではなく切れます。

鼻掛けや背掛けの場合と違い、この尾柄針掛けの実釣では、針位置の関係で、大き目の針で、より遅く、強いアワセが必要です。尾柄が口腔内に入って、針が口唇に掛かるプロセスを想像すれば分かります。

イナダが大きめのアジを呑みきれずに、アジの尾が口外にはみ出している画像がどこかにありましたね。この尾柄掛けの場合には、活き餌の小アジは小さ目が向きます。大きいアジは人間がいただきましょう。

ヤエン釣りで赤点線の位置を縛って泳がせた後のゼイゴ部分

今回紹介した結び方のできる魚は、ほぼアジのみです。なぜなら、ゼイゴ(ゼンゴ)と呼ばれる稜鱗(りょうりん)を持つ魚はアジだけで、それがあってこそ縛れるからです。全国に広く分布していることも大事な要素です。

その他の小魚を使う場合には、関連記事をご参考に。

実釣での活魚へのセット状況等は近日公開予定です。

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