釣り場の水温を測る 3/3
シンワ放射温度計F-2を使う
釣り場が淡水の場合には、水に近いことと塩害が無いことから、接触式の 棒状温度計 が使えるので簡便ですが、海水でも淡水と同じ物も使えますが、できることならサビを避けやく、海面に近付かずに測れる非接触式の物の方が扱い易いはずです。
IP67は防塵防水性能では、水中で常用する物をのぞけば最高クラスですから、海水に落としても、清水で洗い流せば問題ありません。
シンワとADは外装が微妙に異なりますが、価格比較から、私はシンワ測定器のF-2を選びました。ちなみにダイワブランドでも同様の物がリリースされていますが、明らかにAD-5617WPのOEM製品でしょう。
この放射温度計の実用上の問題点は、遠く離れた位置からの測定がしにくいことです。測定対象物までの距離と同じ長さの直径範囲の測定をすることになるので、離れて測定すると、広範囲の無用な場所の温度を測ることになってしまいます。
放射温度計シンワF-2 計測試験
比較対象は デジタル温度計 です。事前に校正して、-0.7℃した値が正しい温度と推定しています。
大気温度 20.5℃ (指示値21.2-0.7)
海水中温度 21.5℃ (指示値22.2-0.7)
さて、現場の海は水深30cmほどしかなく、接触式の測定では水面直下も底もほぼ同じ温度でしたから、接触式-放射式=3.9℃の差をどう解釈したらいいのか、どう補正できるのか? いずれにしても私には分からないことですから、メーカーに問い合わせるしかありません。
メールによる質問 ・・・・・・・・・・
放射温度計 F-2 防塵防水 スリムクリップ
当該製品をAmazonにて2024.05.03に購入し使用しています。測定値の補正についてお尋ねします。
海水面を計測すると、別の温度計(接触式)の測定値との間に乖離があります。実例を例示します。
気温 20.5℃ (接触式デジタル温度計で計測)
海表面温度 17.6℃ (放射温度計F-2で計測)
海水面下30cm位置温度 21.5℃ (接触式デジタル温度計で計測)
放射温度計F-2の仕様によるものと推測しますが、何らか補正を加えたいと考えますので、その方法についてご教示ください。
・・・・・・・・・・・・・・・ここまで
メールによる回答 ・・・・・・・・・・
平素は弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
接触式の温度計の測定値と比較した際に値に乖離があるとの事でございますが、
本製品は表面温度の測定となります。
本製品は表面温度の測定となります。
液体を計測された場合、液体表面の温度を表示いたします。
また、ご案内できる補正方法がございません。
放射温度計で海水面を計測される場合、波の状況や水面の反射も測定に影響がございます。
以上のことから、本製品は液体内部まで含む温度測定につきましては
放射温度計はあまり適しておりません。
液体を計測される場合は、接触型温度計の棒状温度計や温度センサー付の温度計などが向いております。
液体を計測される場合は、接触型温度計の棒状温度計や温度センサー付の温度計などが向いております。
・・・・・・・・・・・・・・・ここまで
回答が迅速であったのは好感が持てましたが、内容はなんとも、、。天下の DAIWA さんも売っているので、使える物かと思いましたが。まっ、現代においても、海水の温度は宇宙からだけでなく、観測船から直接も測っているようなので、当然なのかもしれません。
私の乏しい頭で考えるに、海水表面は 気化熱を奪われて 実際に温度が下がっているのかもしれません。ただ、そうだとすると、日射や気温次第で気化する量に変化があるはずですから、いつも一定の温度補正を掛けることも無理そうです。
参考までに、気化中の水面と、同じ温度の気化しない物の面の温度を測定してみました。
並べたグラスの水に片方は発泡ポリスチレンの板を浮かべてあります。1時間ほど放置して、グラス全体の温度がなじんだと思われる状態で、それぞれの表面温度を測りました。(放置中に、板無しの方は気化が続いて水温が下がっていたかもしれないので、事前にそれぞれを計測したところ、板無し状態で、左右同じの26.4℃でした。)
物表面と水表面との比較では、水面の方が1℃低く計測されました。これが気化熱で下がっているから、というのは仮説の域を出ませんが、そのように考えるのが妥当のように思えます。
陽の当たらない室内でこの結果ですから、おそらく気化が盛んに起こっている状態では、その温度差はより大きいと考えるのが相当でしょう。これが上の方に記した野外での計測差に現れているように思います。
いずれにしても、この表面温度計の計測値を、わずかな水温変化の目安(前日との比較)等に使うのは難しそうです。結局は、オーソドックスに 棒状温度計 を持ち出す必要がありそうです。また、水深数メートル程度の場所の温度は、校正したうえで 海中デジタル水温計 を使うのが適当のようです。
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