リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(BMS内蔵)の弱点

車中泊車両をキャラバンNV350で自作 -17

LiFePO4リン酸鉄リチウムバッテリー

キャンピングカーでLiFePO4バッテリーを使う場合には "バッテリー上がり" に注意が必要です。

キャンピングカーに搭載するサブバッテリーとして、2022年現在では最良の選択と言えるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーですが、一つ残念なことがあります。

キャンピングカー、特に自立型で外部電源に頼らないソーラー中心のオフグリッドシステムでは、バッテリーへの通常の充電は、チャージコントローラー が担います。

ですが、定格電圧=12.8V(*n)のバッテリーを使い過ぎて10V(*n)位までバッテリー電圧を下げてしまうと、BMSの"低圧保護"が働いて、シャットダウンしてしまいます。

バッテリーからの給電が止まると、動いていた負荷(電気製品)が止まるだけでなく、同様にチャージコントローラーも停止してしまいます。

例えば、夜間に充電ゼロなのに使用し続けて、朝には上がっていたとします。そうすると、作動に電力を必要とするチャーコンも停止しています。

陽が昇り、本来なら充電できる環境になっても、チャーコンは、自力復帰できません。バッテリー電圧に対応したリチウムイオンバッテリー専用の充電器で、一定の"復帰電圧"まで上げる必要があります。

ということは、AC100Vの外部電源から充電することになるのです。

給電できる有料キャンプ場や自宅ならともかく、電気の無い場所で使うのがメインのキャンピングカーでは、これはとても困ります。

ゴミ捨てや給水にも苦労するキャンピングカーにとって、給電はもっとも得難いインフラです。

私は趣味(釣り)の関係で、給電設備の整った場所には過去一度も泊まったことがありません。道の駅、公園などをメイン泊地とする、給電無しのご同類も少なくないと思います。

DIYでオフグリッドのソーラーシステムを考え、施工し、使い始めるまで、私はその事実に気づいてはいましたが、対策を考えていませんでした。

この不都合な事実は、システム全体の運用上の問題なので、個々の機器の取説を読むだけでは、実際をイメージするのが難しいです。

私の場合には、( 相性問題 解決編 のために)充電をOFFにしていた自宅に居る時にバッテリーが上がって、事の重大さに気付きました。そして、これは放置できないと。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(BMS内蔵)の "バッテリー上がり" の自力復帰方法

理屈に難しいことはありません。車を動かして電気を取り出し、上がったLiFePO4サブバッテリーに充電するだけです。(走行充電器が設備されていれば、それで済む話なのでしょう、か?)

リン酸鉄リチウムイオンバッテリー自力復帰のための追加設備(例)

予算優先でチープな例なので、あくまで参考です。

上がったバッテリーへの充電器( 25.6Vバッテリー に付属)の仕様

・360Wモデル
・入力電圧 AC 90~130V
・出力電圧 29.2V(固定)
・電流値  5.1~10.0A

はじめに考えたのは、ヒューズボックスからの電源取り出しです。この充電の場合には、車(のバッテリー)から最大30A(推定値 12.8V 22.8A)の電流が流れるようなので、NV350ヒューズボックス内の唯一の30Aヒューズである、"FR WIPER"から取り出すことになります。


しかし、サブバッテリーの過放電上がりは晴れの日よりも曇天や雨天で発生する可能性が高いように思うので、雨の中を走って充電、、、ワイパー使用不可、、、。無理のようです。電源取り出しとワイパー作動が重複すると、ヒューズが溶断するはずです。

さてそうなると、バッテリー直結の取り出ししかありません。

用意した物は

 ヒューズホルダー インライン 30A

1. インバーター付属のワニ口クリップの付いたコードで、バッテリーから直接電気を取り出します。インバーターに過電流が流れたり、短絡させてしまった際のバッテリーへの致命的損傷を防ぐために、線に30Aのインラインヒューズを入れました。
 

2. エンジンルームから荷室へ、隔壁に設置してあるゴムのブッシュに穴を開けてケーブルを通して、インバーターに接続します。

車のバッテリーからワニ口クリップで電源取り出し

荷室側でインバーターに接続

3. 充電器まで届くように荷室(居室)内を延長配線します。

4. 充電器からLiFePO4サブバッテリーに接続します。

このように接続して(走行)充電することにより、仮死状態のバッテリーを復帰させて、チャージコントローラーからの充電に切り替えることが可能になります。


なお、同時にソーラーからの充電はNGのようなので、この充電をする前に、PVパネルからチャーコンへの回路は遮断しておきます。

チャーコン復帰電圧(25.2V機種により要確認)に達したら、こちらの充電を取り外してからソーラー充電に切り替えます。


 ここまで面倒なことをしなくても、AC100V商用電源を借りられるところまで走って、充電したほうがずっと楽です

私の場合、なぜここまで自立にこだわるのか。その理由は、このキャンピングカーを 自作した意図 にあります。

大規模災害でインフラ被害が壊滅的になった時にも、生き延びられることを目的として、1000Wソーラー を装備しました。

電気に余裕があれば、困っている人のスマホ充電の援助くらいはできるはずですが、システムダウンしては何もできません。万一のダウンへの備えがあって、はじめて緊急時対策になり得るのですから。


ここに記した自力復帰対策は、充電テストはしたので、充電可能は確認しましたが、実際の システムダウンからの復帰テスト は、実施後に公開します。

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