自作NV350キャンピングカーの1000W超えソーラーシステム構想

車中泊車両をキャラバンNV350で自作 - 6

車中泊といえども、現代人が生活するのですから、電気は欲しいものです。ただし、普段の暮らしと同じように電気を使うには、外部電源の使えるオートキャンプ場に行くか、そうでなければ強力な発電機を動かすしかありません。

車中泊の大きな魅力=[ 自由にどこにでも泊まる ]ためには、オフグリッドで電気を自給する必要があり、周囲に騒音をまき散らさないソーラー発電をするのが、好ましい選択でしょう。

その車載のソーラーシステムは、発電量、充電量、電気使用量、この3つのバランスから適切なPVシステムを考えるのが本来のあり方だと思います。

しかし、小型車搭載のソーラー電気システムでは、日常生活と同等に使えるほどの発電はそもそも無理なので、可能な最大発電量から考えます。

NV350キャラバンのソーラー発電最大値

車の屋根の上にソーラーパネルを載せて、なるべく効率良く発電させる限界値がどれくらいなのか、検討しました。傾斜させるのではなく、水平固定型です。

車幅からのはみだしが違法であること、屋根に新たな穴を開けずに行うことを前提に、ソーラーパネルの設置方法 を併せて考えながら、ソーラーパネルを選びました。

ソーラーパネルの選定

Amazonや楽天で販売されているPVパネルは200Wクラスまでで、産業用や住宅用の大型のパネルは見かけません。無資格で行える電気工事が30V未満であることが関係しているのでしょうか。後記<注意>

私が今回選んだのは、ジンコソーラー 太陽光パネル JKM340M-60H です。

これを3枚使えば、1020W容量になります。現状では1kw超えのシステムは、4ナンバーの小型貨物車ではあまり例が無いでしょう。また、この規模になると12Vシステムではなく24V以上のシステム(バッテリー)が妥当になります。

このパネルが年間に生み出す電気は、アバウトで1200kwですから、1日あたりでは、平均値で約3.3kwです。一人暮らしの平均的な電気使用量は154kw/月という統計数値から計算すると、1日あたり5.1kwになります。

机上の計算では 3.3/5.1=0.64 ということで、普通の暮らしのおよそ6割の電気は使えることになります。車内には洗濯機や多数の照明は無いし、その他の電気器具も限られますから、なんとか間に合いそうです。

チャージコントローラーの選定

M4860
ソーラーパネルからバッテリーに充電するには、直結ではほぼ不可能です。充電の電圧や電流をコントロールしながら、バッテリーに無理がかからずに効率よく充電するためのこの装置が必須になります。

回路方式が、PWM と MPPT の2種類ありますが、ここでは高機能がゆえに高価なMPPT制御方式の市販の物の中から、最大入力電圧が150V、定格電流が60A、ソーラー最大入力24V 1,800W、まで可能でかつ安価な MPPTチャージコントローラー M4860 を選びました。

バッテリーの選定

蓄電容量は、そのキャパシティーが大きければ、フロー(満タン)することなく、すべて蓄電して利用ができます。けれども、重く大きく高価なバッテリーの積載には、自ずと限りがあります。

スペースと予算の都合から、ここでは 24V 200A リン酸鉄リチウムイオンバッテリー 1個を積むことにしました。本来はもう1個搭載したいのですが、、追加スペースだけにしておきます。

この LiFePO4 仕様のバッテリーが、現状ではベストの選択と考えられ、仕様(充放電サイクル)上は10年使える可能性があります。25.6V×200A=5120Wですが、実際にはその8割を使えるとして、およそ4kwhです。

インバーターの選定

Xijia純正弦波 インバーター3000W DC 24V

Xijia純正弦波 インバーター3000W DC 24V 表面

Xijia純正弦波 インバーター3000W DC 24V 裏面

バッテリーは DC24V ですが、その電気を利用する電気製品はAC100Vの物が主体ですから、整流・変圧するためのインバーターが必要になります。

バッテリーの性能を大きく低下させることなく利用できる電気使用量は、1時間あたり蓄電容量(1C)の半分までという指標があり、これに従えば 2000wh になります。

余裕をみて、その1.5倍相当の 3000W(DC24V) インバーター を選びました。ただし、実際に使うのは 2000W/100V=20Aまでと考えます。 

主な機器は以上ですが、機器間を流れる電流・電圧に見合ったケーブルと接続方法を考え、併せてそれぞれの機器の安全のために、機器間にブレーカーやヒューズも決めます。

電気音痴を自認していた私ですが、いざ事故になると、感電にしろ火災にしろ、ことは重大ですから、分からないでは済みませんので、必要に応じて勉強しました。それでもの不安には 消火器 で対策します。

電力使用の目途

初代自作1号キャンパーの エブリイ では、150Wのパネルに400Wのサブバッテリーで、冷蔵運転(5℃)の40L冷蔵庫+α(小電力)が限界でした。

二代目キャラバンの上記の設備から生まれる電気で、はたして何ができるのでしょうか。1020Wの発電能力は7倍弱に、5120Wの蓄電能力は13倍弱に強化されます。

そもそも強化の動機だった、家庭用冷凍冷蔵庫(定格70W)の常時運転 と 電子レンジのスポット運転 は、可能になることを期待しています。

余談
 今回のパネル設置は3枚に落ち着いたのですが、載せ方で4枚が可能です。ただし架台(ルーフキャリアー)保持のために、既存ボルト穴だけでは不足で、屋根に新たに穴を開ける必要が生じることから"安全第一"で断念しました。

屋根の鉄板をパネルで覆い尽くして 遮熱する効果 は魅力十分だったのですが、電設のトータルバランス的にも、いささか違和感がありましたので。

NV350キャラバンDIYオフグリッドの電気料金

ソーラー発電が高価な電気なら止めるか?と問われれば、イヤそういうわけには行きません。でも、やはりコストは気になりますので計算してみます。

1020Wのパネルの発電量は、およそですが、1200kw/年 です。これを月割りで東京電力から購入すると、基本料金+従量料金の合計で、約3.2万円/年 になります。10年分では32万円です。

上に挙げた車載の給電設備機器を10年で償却する場合には、初期費用+追加費用の合計が32万円なら見合う計算になります。設置工事が終わった段階で、

1020W発電設備の当初総費用 ≒ 30 万円  でした。

この費用計算は、使用する機器の選択で大きく変わりますが、今回の選択では、ソーラーパネル、チャージコントローラー、バッテリー、インバーター、すべてが中国製になりました。残念ながら、すでに国産品からの選択は難しくなっていることを痛感させられました。

中国製品の寄せ集めで構成するオフグリッドソーラーシステムが、果たしてスペック(期待)通り正常に動作するのか不安はありますが、それは運転してみないことには分からないので、供用後のリポートで。 → 車載ソーラー大容量システムの使用感想

<注意>
この記事に記した電気工事をするには、その一部で第二種電気工事士の資格が必要です。私は身内に電工がいたので、その資格と協力のもとで施工しましたが、素人だけのDIYは危険です。この記事を参考に行われた無資格工事による万一の事故等の不測の事態について、当ブログ管理者は責任を負いません。念のために記します。

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