自作キャンピングカーにソーラーパネルを取付

車中泊車両をキャラバンNV350で自作 - 12

NV350キャラバンに載せた1020wソーラーパネル

屋根上の積載装置

以前の記事 1000W超えソーラーシステム構想 に書きましたが、積載する1000W超えのソーラーパネルは大きな物で、屋根の上に載る総重量は約70kgになります。

いいかげんな方法で取り付けて事故を起こしたら、目的が遊び(生活?)なだけに、悔むくらいでは済みません。

まかり間違えば、車の任意保険 が支払われないことも覚悟しなければなりません。そんなに危険なら止せば、と言われそうですが、、安全を確保して実行します。


NV350は屋根両サイドの雨樋が無く、汎用のルーフキャリアが取付できません。キャラバン独特の構造ですが、屋根上にボルト穴があります。これは貫通していますが、ボルトが長すぎると天井内張りに干渉します。


キャラバンではルーフラックやキャリアーを取り付けるには、屋根上のこのボルト穴に 設置ベース を取り付け、そこに ステー を付け、それに バー を組み付けることになります、普通は。

ライバル車ハイエースの雨樋への取付と比べると、こちらの方が構造的な安心感が大きいのも、私がキャンピングカーのベースに NV350キャラバン 選んだ 理由の一つです。

ただし、キャリアメーカーの言う最大積載量はキャリア込みで50kgですし、ソーラーパネルの取付方法にも悩まなければなりません。それ以前にバーの最大長が1600mmなので、1690mmの車幅一杯に積載することができません。

そんなことから、積載装置の軽量化とコストダウンを目指し、自作ルーフキャリアーの適法性 も考えた上で、ルーフキャリアも自作することしました。


屋根上のボルト穴、片側4箇所(M8ボルト8本)に木製の台座4個を据え、その上にアルミアングルを載せて固定してキャリアー(積載装置)とします。

この方法での重要部品は、台座です。これにはあらゆる方向からの力が掛かるので、強度と耐久性が必要です。

台座の素材は耐久性(耐候性)を考えると、望ましい順に、金属(アルミorステンレス)、プラスチック、木材、でしょう。

素人工作では金属加工はせいぜい薄板なので、無理です。耐候性の強いプラスチックの無垢材(FRPを含む)が望ましいと思いますが、サイズ選択と入手が困難で断念しました。

廃プラスチック製品は、そのまま使うなら強度的には大丈夫そうでしたが、製法上の特徴で中心が空疎で弱く、切削等の加工には向きません。

結局のところ、素材選択は木材に行きつくことになりました。その木材も強度や腐朽に強い堅木(広葉樹材)を選べれば良いのですが、ホームセンター頼みの素人DIYでは、サイズから選ぶしかありません。

かなり不満のある、ホワイトウッド(国産ヒノキと同等の強度)を強力な防腐剤施用で10年保たせるよう考えることにしました。

強度的には、圧縮に強い繊維縦方向(上下)使いが望ましいのですが、サイズの関係で横使いになりました。ゆえに、頻繁なチェックにより、圧縮で縮んだら増し締めすることを想定します。

要するに、注意深くメンテナンスすることで、安全を確保します。そう、例に挙げるならログハウスのセトリング(沈下)対策です。知る人ぞ知る、か?

ソーラーパネル以外のチャージコントローラー、バッテリー、インバーター等のPV電気機器は、いずれも耐用年数は概ね10年程度なので、自作のルーフキャリアーも、この10年を目指しました。

< 材料 >

アルミアングル 5×40×40×4000 mm 2本
木材 S P F 2×4材 38×88×1800 mm 1本
M8ボルト 120 mm、16本 ナット、ワッシャー等
M8ボルト  20 mm、12本 ナット、ワッシャー等

< 作り方 >

木製台座 !! 最重要 !!

台座の取り付け位置は8箇所ありますが、1箇所ごとにその形状が微妙に異なるとともに、屋根自体の曲面カーブもあるので高さも異なります。底面30mm幅の物を取り付けるのなら、木材の断面形状そのままで取り付け可能にも思えますが、台座天面前後左右の水平も必要なので、強度を少しでも上げるためにも、38mm幅のホワイトウッドの底面を取付溝に合わせて密着するようにカンナで削りました。


箇所ごとのボルト穴の位置を台座に移し取り、その位置に70mm間隔で2本の垂直貫通穴を開けます。木材の天地両側から、ドリルの太さを何回か上げながら、トンネル堀りのように両側から掘り進めて慎重に貫通させます。

台座の一部、パネル取付のボルトが干渉しそうな部分は、先に切り欠いておきます。次いで、台座底面のボルト穴の周囲にホールソーで溝を掘り、組付け時のコーキングに備えます。


加工の終わった木製台座を 木材防腐剤 に長期浸漬して、浸透させました。今回は3か月ほど浸けたので、そう簡単に腐食は起こらないでしょう。

アルミアングル

台座作りと並行して、アルミアングルを加工します。必要な長さに切断した後に、車体への固定用(台座取付用)の穴を開けます。

今回使ったアルミアングルは、たわみが少ないように厚さ5mmの物を使いましたが、素人工具ではいきなり9mm径の穴開けは大変なので、一度4mm径で開けてから拡げました。

台座とアルミアングルの組付け

先ずは仮設置して、パネル取付用の穴位置を決めます。木製台座の形状が一つずつ全て異なったように、仮付けしたアルミアングル左右の間隔も、箇所ごとに0.5~4.0mm程の微妙な差がありました。

8mmボルトに対して9mmの穴開けでは、最大4mmのズレをクリアできないので、もっと大きな(長い)穴を開けるか、箇所ごとに正確な採寸をして穴開けする必要があります。

一旦外したアングルにパネル固定用の穴を開けて、積載装置の加工は完了で、本付けに進みます。

屋根への組付け1週間ほど前から乾燥させておいた木製台座の底面の、防水シーリング用の溝に バスボンド でシールをします。

木製台座の上にアルミアングルを載せ、上から、M8ボルト、スプリングワッシャー、平ワッシャー、の順にセットして、ボルトを締めます。

上面の防水は、ワッシャーとナットでほぼ密封されるので、スプリングワッシャーの割れ目にバスボンドを注入してシールします。

これで、積載装置は完成です。

パネルの取り付け作業

いよいよパネルを屋根に載せて固定します。男二人なら、約20kgのパネルを屋根に上げる作業はさほど大変ではありません。二人で押し上げ、一人が保持し、もう一人が反対側から受けて引いて置きます。

アルミアングルとソーラーパネルの穴位置が合っていれば、アルミアングルの上にソーラーパネルを置いて、ボルト止めするだけです。

上から、ボルト、平ワッシャー、(アルミアングル)、平ワッシャー、スプリングワッシャー、ナット、の順にセットして締めます。

順序は逆でも固定自体は同じですが、万一緩んだ際に、ボルトも落下してしまうことを考えると、やはり上からセットの方が良いでしょう。

今回のパネルは30mm厚だったので、20mmボルトを断面がコの字型のパネル枠にギリギリ差し込める程度で、作業性が悪く手間取りました。

これは、実際に組み上げる時まで、作業の指使いなどを想定するのは困難ですから、地上高や安定性との兼ね合いはありますが、屋根とパネルの隙間は多いほどやり易くなります。

取付結果は、台座との干渉があってせいで3枚のパネル配置が前後は均等になりませんでしたが、実用上は問題ないので了とします。


前後端の台座からのはみ出しレール長は、前=370mm 後=270mmとなっていますが、手で力を加えてもアングルがたわむことは無く、車の揺れや風圧にも耐えられると考えられます。レールだけでなく、パネル自体の剛性も加わるので。


アルミアングルから左右のはみ出しは200mm程で、パネルの既設取付穴2ヶ所の間に位置するので、パネルの強度上問題なしと考えます。


なお、車幅1690mmに対してパネル長が1684mmですから、左右3mmずつしか余裕がありません。計測不能ですが、製作、施工上の精度を高めてあるので、実際にはみ出しは無いと判断します。

とはいうものの、目視ではみ出しが判断できないのですから、警察や陸運局からの指摘に備えて、資料を携行することにします。

ソーラーパネルを積むキャンピングカーが多くなっていますが、こんな限界的な事例は多くないでしょう。これを圧巻と見るか、無謀に見えるのか??

車中泊の生活の質は車内インフラ(水、電気)次第なので、この電気容量はモノをいうことは間違いありません。システム全体 と合わせてご参考に。

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