車載用インバーターの熱暴走対策
車中泊の便利と快適を支えるのが電気ですが、変圧したり、直流を交流に変換する必要がある場合が多く、その際には発熱するのが当然のカーインバーターです。使い方(設置環境)次第では種々の問題を生じます。電気機器の危険性ゆえに、慎重な対応と対策が必要です。
24v3000w仕様の DC-ACコンバーター を使い始めて約2年経ちました。正味で言うと、車中泊で利用する時だけONするのですから、日数で100日くらいでしょうか。
そもそも無資格の素人が組んだ システム と設置なので不安がありましたが、1年くらいは特に違和感なく使えていました。が、少し前になって、このインバーターの入力電圧表示が、ソーラー充電時に激しく変動するようになりました。
特に、満充電に近づいてMppt充電からBoost充電に移行すると、インバーターが頻繁に高電圧による自動停止と復帰を繰り返すことが、警告のビープ音で知らされました。
これらの現象が熱暴走であることは、ほぼ間違いないでしょう。チャージコントローラー、バッテリー(BMS)、インバーター3機器の 相性問題 はあるにせよ、危険は見過ごせません。
ある日ある時、その直接原因?に気付きました。入力端子の締め付けが緩んで異常電流が流れ、端子が高温になっていました。その気付きの元は、端子に掛けてあった自作の短絡防止キャップです。
被せてあった塩ビホースが焦げていました。熱に弱い塩ビとはいえ、相当の高温になっていたようです。写真の物は改良後の物ですが、それ以前の物はもっと激しく焼け焦げていました。(近々シリコンゴム製品に交換予定)
高電流仕様のこのインバーターにはファンが内蔵されていて、高温状態を避けるはずなのですが、もしかしたら、温度センサーではなく電流値でファンのON・OFFを制御しているのかもしれません。そうでなければ、端子が焼けるほどの高温状態になることは無いでしょう。
ともかく結果に対しての、危険な素人工事のそしりは免れませんが、これも覚悟の上の自己責任の範疇ではあります。でも、危うく車1台焼くところでした。気付いてすぐに、端子を締め直すとともに、煙感知器 を設置しました。(消火スプレーは設置済)
他に被害を及ぼさずに自車が焼けるだけなら、被害はキャンピングカー製作費+積載動産が上限ですが。もし火災の類焼で隣の高級車等を焼いたら、失火の責任に関する法律(失火法)に基づく賠償責任は問われるのか否か。
端子の締め直しで電圧変動と過熱は改善したようですが、ビープ音は完治せず、考えた結果たどり着いたもう一つの原因は、設置環境にあるようです。
電気機器を狭い車内でなるべくコンパクトに収めようとした結果、バックドアと造作壁に囲まれた閉鎖に近いような空間に設置したことが過熱を招いたようです。
空気の流れは、走行中は不十分であり、特に夏季は過熱状態を招きやすいことを考え、インバーターの温度を下げる対策を講じることにしました。
その方法は、ヒートシンクでインバーター筐体上面の放熱を促進すること。両者間の熱伝導確保には、サーマルパッドを使用しました。
< 使用材料 >
< 施工方法 >
インバーター上面を拭き清めて乾燥させ、そこにヒートシンクの大きさにサーマルパッドを貼り付けます。インバーター上面には、高さ3㎜程のリブが10mm余の間隔で突起しているため、その間を埋めるようにサーマルパッドを切って貼り、その上にヒートシンクを載せて、結束バンドで固定しました。
施工後当日午後の 放射温度計 の計測では、ヒートシンク中心部分で39.8℃の時に、筐体後部で41.8℃でした。2.0℃の差の解釈が難しいですが、熱が伝わっているようには感じました。ヒートシンクの表面積が筐体上面と比べて約6倍にも増えているのですから、効果があることは間違いない、と思います。今後の経過観察の結果は、以下に追記でシェアします。
素人DIYは、1回限りで事に臨むことも多く、難渋します。危険を避けるために手を出さないのも見識かもしれませんが、チャレンジ精神で進歩することがあって良いとも思います。
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