自作キャンピングカーに家庭用冷蔵庫を設置

車中泊車両をキャラバンNV350で自作 - 14


家庭用冷蔵庫を車で使うには、AC100V電源があれば可能ですが、継続的な給電能力、固定方法、製品保証など、クリアすべき問題があります。

車載用に作られたDC12V冷蔵(冷凍)庫もありますが、機種が限られるとともに、コンプレッサー搭載を前提に収容力で比べると、家庭用の物よりはるかに高価です。

私の初代キャンパーだった 軽バン では、車載用としてはハイエンド級の、澤藤電機のエンゲル MT45FP を使用していました。

性能的には定評のあるエンゲルですから、小さな車ならこれを使うのが正解ですが、車が大きくなったり、連続使用期間が長くなったりすると、少々物足りなくなる場合もあります。

私の例では、二代目をNV350キャラバンで自作し、旅の長期化を図るにあたって、冷蔵庫は家庭用を選びました。なにより、安いことに惹かれましたので。

2ドア冷凍冷蔵庫 97Lが約2万円ですから、車載用のエンゲルとはコスパの違いは歴然です。スペック的にも不満はありません。


品番 ​AR-BC97-NW
種類 電気冷蔵庫 冷気自然対流方式
右開き
定格内容積 97L / リットル(冷凍室30L / 冷蔵室67L)
商品サイズ 約 W477mm X D557mm X T838mm
梱包サイズ 約 W522mm X D583mm X T881mm
質量 約 28kg
冷媒 R600a / 31g
電源コード 2.0m
定格電圧 AC100V
定格周波数 50 / 60Hz
定格消費電力量 70 / 70W
年間消費電力量 236 / 228kWh / 年 (JIS C 9801-3:2015)
JANコード 4589464090087

家庭用冷蔵庫を車載で使う際の最大の心配事は、移動中の揺れる車内で、コンプレッサーを正常に動かせるのかどうか、という疑問です。

ただ、ネットの情報にも、使われている事例は見かけるので、まんざらダメでもないようです。

であれば「やってみなはれ」精神、壊れても2万円でしょ。(実は痛い2万円ですが。) という根本問題を脇に置いた状態で、他の問題を先にクリアします。

家庭用冷蔵庫を車内で使うための電気供給

言うまでも無くAC100Vを安定供給しなければなりません。電子レンジが瞬間(短時間)であるのに対して、冷蔵庫は24時間止めないのですから、電気容量の余裕が必要です。

計算してみます。

メーカー公表の年間消費電力量値236kwを、1日あたりに換算すると0.65kwになります。

私の想定環境にはAC充電や走行充電が無く、もっぱらオフグリッドのソーラー発電頼みです。私の システム には25.6V・200Aのリン酸鉄リチウムバッテリー1個を搭載しているので、満充電の80%を冷蔵庫に向けると仮定すると、5.12kw×0.8÷0.65=6.3日 となります。

充電ゼロで6日もつのに対して、晴れれば約2日でゼロから満充電になるので、計算上は連続運転が維持できるはずです。冷蔵庫の温度設定にも左右されますが。

家庭用冷蔵庫を車内で使うための固定方法

そもそも、家の中に静置する物ですから、固定は少々厄介です。ただ置いただけでは、車の傾きや走行中のGに耐えられないはずですから、下部の前後と上部の左を固定しました。

上部・・ベッド枠板に固定


冷蔵庫の天板は樹脂ですが、その下には2センチ幅の鉄板があることを確認したので、それに ドリルビス 留めしました。取り付けたのは、アルミアングルに穴を開けてカットした自作の金具です。

下部・・前アジャスター足を 、パイプ受け用の ソケット で受けて固定。


後部・・移動用ローラーの金属枠(本体底板)と床を金具で固定。

T型金具を曲げて使用

以上3か所の固定で、基本的には動きません。衝突事故のような不慮の力には抗しきれないと思いますが、それは絶対に起こさないよう、安全運転に徹します。

蒸発皿の水のフロー対策

冷蔵庫の蒸発皿に溜まった水は、静置状態ならコンプレッサーの熱で蒸発して失せます。ところが蒸発する前に冷蔵庫を揺すると、皿からこぼれてしまい、床を濡らし、その結果としてカビが発生する恐れがあります。

これを防ぐために、床に対策をしました。冷蔵庫の底辺りも、基本的には塞いではいけないようなので、ごく薄い物しか使えません。

私は、冷蔵庫の下に 結露水吸収シート(BIO)を樹脂シートに貼り付けて置きました。床を濡らさずに自然に乾くので、これでOKでしょう。 

製品保証

メーカーは「車載はお止めください」として、製品保証から外し、保証書にも明記されています。完璧に自己責任です。

製品テスト

アレジアAR-BC97冷凍冷蔵庫は、日本新興メーカー?の中国生産ですから、念のために車載前にテストをしました。車載使用前の初期不良なら、保証対象ですから。(ただし、持込修理??)

温度計の無いダイアル式で7段階の設定ができますが、ダイヤル指示値と温度の関係を知っておく必要もあります。

結果は以下に。(庫内物無し 室温23.7℃) ここで使った温度計の表示値は以前に 簡易校正 した際には、+0.5表示だったので、その程度の誤差は有り得ます。


冷凍温度にビックリです。ここまで下がる家庭用の冷凍室は珍しいのではないでしょうか。バランスを言うと、冷蔵温度が今一つのように感じます。

私は釣魚を保存する関係で、冷蔵室は1~5℃をキープしたいのですが、微妙です。ダイヤル設定は無段階のようですから、微調整で可能かもしれません。

車載する家庭用冷蔵庫のドアストッパー

車載用に作られた冷蔵庫は、上開きのタイプがほとんどですが、それは扉が不意に開くことを防ぐためです、多分。これに対して、家庭用冷蔵庫はほぼ全てが横開きです。理由は、、言わずもがな。

この記事の例では、冷蔵庫を据え付けた場所のせいで、市販の 冷蔵庫ドアストッパー が使えません。

ドアストッパー無しでは走行不可なので、色々な手持ち金具類をかき回して見つけ出したのがコレ、全回転取手 です。


後付けのために、掘り込み作業に苦労したものの、満足のいく出来になり、車中泊の快適生活に欠かせない冷蔵庫が設置できました。壊れるまでの 使用の感想 などは別記事に。

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