キャンピングカー自作後の"構造変更車検"

車中泊車両をキャラバンNV350で自作 -22

NV350キャラバンを車中泊仕様に自作改装して1年。継続車検のつもりでしたが、予期せぬ構造変更車検を求められてしまいました。

経験上、初代エブリイ(軽自動車)では起こらなかった想定外の事なので、事の顛末をシェアします。

問題の中心は、車検を受ける際の車両重量制限です。これは「道路運送車両の保安基準」に定められていて、
 小型自動車[4、5、7ナンバー]と軽自動車は、±50kg
 普通自動車[1、3ナンバー]は、±100kg
の範囲で許容されます。

4ナンバーの キャラバンエブリイ も、同様に自作の木造で車内架装したものなのに、なぜ継続車検で通る、通らないの違いが生じたのか。

エブリイ の場合

A 2年目 新車購入したサブディーラー民間指定工場で継続車検
「荷物は降ろしてきてもらいたいです」依頼アリ

B 4年目 別の民間指定工場で継続車検
「・・・」何も言われなかったように記憶

いずれも、自作架装のまま通ったことは事実です。

キャラバン の場合

B 中古購入直後 2列目座席撤去時に 構造変更車検
「・・・」何も言われなかったように記憶

B 1年後 架装状態で継続車検
「このままでは継続で通せないので構造変更車検が必要です」
「えっ、なぜ? エブリイでは通したでしょう!」

さて、なぜキャラバンでは継続車検が拒否されたのか。

指定工場Bには、車重の計測装置がありません。つまり±50kgを実際には検査できないのです。おそらくAも同様だったのでしょう。それなのに、・・・。

エブリイの荷室は狭いので、検査員の目視判断で「まぁイイカ」だったのでしょうか。実際には、木造内装 + 冷蔵庫 + ソーラー一式等を実測すれば50kgを超えていたかと思いますが。

これに対してキャラバンでは、内装に使ったコンパネ7枚だけでも50kg程度にはなるうえに、38kgの バッテリー 等々が載っているのですから、たしかに誰が見ても超過は明らかでした。

これら全ても積載物という解釈は、「道路運送車両の保安基準」に照らせば無理、ということのようです。毎年の車検で全て降ろすのも一法ですが、何日もかけるのは事実上不可能ですし・・。

陸運支局の検査場にユーザー車検で持ち込んでも通らないことは、B業者からの陸運支局への事前相談により明らかにされました。理由は、「工具を使って固定したことにより車体の一部となっている」ということでした。

泣く子と役所には勝てないのが通り相場ですから、ここは言われたとおりにするしかなく、構造変更車検に応じることになりました。

構造変更車検の得失

プラス面
木造家具造作の他、パネル以外のソーラー設備と冷蔵庫 も固定して積んだままで可能。

マイナス面
屋根上の積載装置(ルーフラック)と積載物(ソーラーパネル) を撤去。

このマイナスが問題で、屋根上の物すべてを降ろすことになりました。載せる時 には、たまたま居た男と二人でスムースにできましたが、今回は老夫婦二人。


カーポート屋根の梁に ホイスト を吊りさげて、パネルを上下させました。1枚ごとに車を出し入れしての面倒な作業でしたが、無事完了。

ルーフラックを構成するアルミアングルを外す際に確認したら、木製台座とアルミアングルの取付ボルトがわずかに緩んでいました。腐食の兆候はみられませんでしたが、ついでに防腐剤を再塗装しておきました。

次年度以降は、継続車検の予定なので、ルーフキャリアー指定部品、PVパネルは積載物として、降ろさずに通ることになりました。

構造変更にあたり、木造家具一点の手直しが必要になりました。荷室への出入り口の開口幅が80㎝以上必要との指摘があったので、開口部を広げるために、収納ボックス後部を12㎝切り縮めました。言うは易く・・。


自作のキャンピングカーの製作は、法令関係も熟知して行えば、今回のような面倒を起こさずに済みます。とは言うものの、自作=素人なのですから、ある程度は仕方ないですね。

車検場の検査官個々によって、細かな判断と指摘は異なることもあるようですが、最終的にはそれに従うしかありません。今回も、事前の相談で、「冷蔵庫は積んだまま、電子レンジは降ろすように」という意味不明な判断が示されたようです。

今回の車検では、4ナンバー を維持 するためにこのようなプロセスを経ましたが、結果として「改」造車にもならず、これにより、税金、自動車保険、フェリー運賃などの不利益を回避できることになりました。

そのための費用(通常の継続車検との差額)、つまり構造変更に要した費用は、1.5万円でした。(2度目の訳ありのため 3.0→1.5万円 に値引き)

老後貧乏を避けるために、頑なに守った4ナンバーですが、長く乗るとチリ(増差額)も積もるので、手間と知恵を惜しまなかったことは間違いではないと思います。

今回の2度目の構造変更車検の結果、車検証上の変更点は、以下のとおり。

構造変更車検  <前>   <後>     
車両重量    1720kg  1900kg
車両総重量   3085kg  3265kg
前軸重     1030kg        1040kg
後軸重       690kg          860kg
高さ        199cm         197cm
最大積載量は   1200kg      1200kg 変わらず


なお、自作前に書いた キャンピングカー自作前の"構造変更車検" には誤認に基づく不適切な記載がありましたが、本記事にて情報更新、上書きしたものとします。

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