ドラゴン級タチウオを餌釣りでショアから釣るには

F6超えの大型太刀魚を釣るには、通常はオフショアの舟釣りになります。ショアから釣れるタチウオのサイズは通常F3サイズまでで、良くてもF4どまり。その上、ドラゴンサイズの太刀魚を狙える場所はごく限られるとともに、釣り上げるためにはタックル、仕掛け等の見直しと対策も必要になります。

前年まで"浮き流し"餌釣りでF4までしか釣獲経験していない私が、2025年秋にたまたまF7タチウオが釣り揚がるのを岸壁で見てしまったのです。そこで今季は自分も釣ろうと考え、強化・改良する内容をプロセスも含めてここに書き留めます。

F7ドラゴン釣獲へのステップアップのために変えるのは、主に3点です。

 1. タックルの強化
 2. 釣法と仕掛けの見直し
 3. ランディング対策

太刀魚ドラゴン級を狙うための対策

タチウオ釣りは、他の釣りと同様に狙うサイズでタックル(仕掛け)が変わります。ここでは、ドラゴンと呼ばれるF6超え、かつ重量のあるテンジクタチウオ(最大重量=2.5kg)を想定して考え、項目ごとに対策を具体化します。

1. タックルの強化

なるべく手持ちの道具で間に合わせたいところですが、タモ網が使えないことがネックになり、大型を揚げるためには強化を迫られます。ランディング対策にも関係しますが、ここでは"抜き上げ"を前提に考えます。

リール は機械的に破壊しない限りは、スプールの回転を手で止めることで、ドラグ耐力を超える負荷に耐えられます。使用するラインが巻けるのなら、小さ過ぎるリールでなければOKでしょう。ただし、片手がスプール固定に取られると竿の操作の難易度が上がることに留意が必要です。

ロッド は大遠投しないなら、抜き上げの可不可だけ考えれば良いはずですが、私は手持ちに適当な竿が無かったので、強そうで安価な竿(プロマリンPG ワンダーサーフ 270)を2本購入しました。なぜ??これを選んだかは、別記事 に記しました。

プロマリンPG ワンダーサーフ 270

2. 釣法と仕掛けの見直し

ここでは餌釣りに限って考えるのですが、釣り場には色々な釣法のアングラーが混在するので、基本は限られた角度の前面だけで完結する釣り方が求められます。浮き流しは除外(釣り場次第)して、以下の釣法で臨みます。

泳がせ釣り

(岸寄り掛け上がり近辺で 表層→底層)

現地調達の活き餌で行います。実釣では、気象(風と潮流)条件や混雑具合に制約されることが多いので、これに適応できるよう、投げ込んだラインに沿って送り込むエレベーター(エスカレーター)釣りをメインとします。

ドラゴン太刀魚用 =エレベーター仕掛け= 図
活き餌は当然ながら自由に泳ぐので、メインラインと交錯することがあり、絡む可能性があります。ゆえに、針は1本針とし、飲み込まれることを目指します。タチウオの喉あたりまで入れば、外そうにも外れないのが通例です。針とハリスは、下の死に餌釣りと同様が基本です。

前アタリ以後は、ラインを送って完食(針飲み)まで待つだけです。メインラインの抵抗が不利に働く釣り方ですが、それに対しては、エレベーターラインをドラグフリーで出すことで対処します。究極は「活き餌の元気とタチウオの食い気」頼みになります。場合によっては 活き餌位置任意仕掛け を使用しての底層狙いも視野に入れます。

死に餌釣り

(沖めに中遠投で 表層→底層)

餌は、泳がせ釣り使用後のアガリ(死んだ)物、スーパー販売の小魚、身餌等を使い、中遠投した沖目で、"遠投中通し方向浮き"からフリーでゆっくり沈めて、全層を探ります。近年ひそかに流行の"タチウオ完全フカセ釣り"と同様のスタイルです。こちらは初体験ですが、この釣り用に新作した 方向浮き の影響が大きいでしょう。この釣りでは"フォールと誘い"に注力します。

ドラゴン太刀魚用=フリーフォール仕掛け= 図
死に小魚は貫き仕掛けでフックポイントは2点とし、身餌等は縦2(1)本針とします。こちらも、針は飲ませることを前提にします。

針の選択

A 全形小魚用のつらぬき仕掛け

つらぬき仕掛け用の針には、二通りの考え方が有ります。一つはW型の針1本で、もう一つはシングルフック2本使いです。既存の市販仕掛けも参考にはしますが、自作(アレンジ)前提に考えます。

①  W型の市販針を使う

画像
シンプルで簡便な針付けのできる既存の(端末編み込み)ワイヤーを使うとなると、現行で選べる針は がまかつ ジギングフック サーベルダブル と ハリミツ ギャング両掛針 しかありません。

なおかつ、がまかつの物はアシストフック、ハリミツの物はギャング釣り(引っ掛け釣り)用の物なので、どちらも刺さり重視のために線径は細めなうえにフトコロの広い形状です。この形状は、浅い掛かりでは伸ばされ易いと考えるのが妥当でしょう。

どちらもサイズ(寸法)表記が無いのですが、問い合わせた結果、
ハリミツの物は
 縦横が M=22*22mm  L=27*27mm  LL=32*32mm 
がまかつの物は
 縦横が S=32*35mm  M=35*37mm   L=不明
と知れました。

がまかつの方はサイズが大きいので、線径も太いと想像できますが、縦横サイズが大き過ぎて、針を呑ませるのには向きません。

私は"つらぬき仕掛け"で「呑ませて獲る」スタイルであることから、過去ハリミツ製を使用してきました。F4クラス位までのタチウオなら、この針で抜き揚げが可能です。ただし、ドラゴンクラスに使えるのか否かが未知で気がかりです。

実際に、針の耐力が有るのか強度(破壊)試験をしてみした。魚の最大目標値は魚重量で2.5kgですが、暴れることを想定するなら、静止耐荷重では4.0kgは必須でしょう。

タチウオつらぬき仕掛けの針の強度(耐力)

針全体を飲ませて釣ることを前提に、両方の針2点で掛かることを想定します。大事なことは、飲まれた針にどのような力が掛かるかです。

口中から口外に向って1本の針だけが刺さった場合には、針先が自由に動けるので、針軸1本が伸ばされるように引かれるでしょう。これに対して口中で2本の針先がどこかに刺さると、その針先は固定されるので、針のフトコロが開いて針軸が伸ばされる可能性は低いと考えられます。

HARIMITSU ギャング両掛針(M) 強度テスト

ワイヤーリーダー  等のテストも兼ねて行いました。

4kgの静止荷重を掛けた結果

< 破壊しなかった物 >

ハリミツギャング針M_非破壊(弾性変形)
・ギャング両掛針の両側均等に負荷を掛けた場合
・ワイヤーリーダー既製品(0.5mm径)
チヌ針5号(ささめばり) 線径:0.75mm
・ナイロンコートワイヤー(0.3mm径)TEMU
・圧着スリーブ(0.8mm内径)TEMU

< 破壊した物 >
・ギャング両掛針の片側だけに負荷を掛けた場合

ハリミツギャング針M_破壊(塑性変形)
やはり、ギャング針の片側だけに4kg荷重は耐えられずに延びてしまいました。針を飲ませるのが前提でも、それはコチラの勝手な都合でしかなく、一点掛かりにならないことを、ドラゴン太刀魚は約束してくれません。

アタリが多くあってたくさん釣れるのなら、失敗も経験の内ですが、そんな状況を想定できるわけではありません。2025年秋には、1尾のF7テンジクタチウオ実見後、同場所に何度も通いましたが、ついに一度もアタリすら無く、終わりました。

希少で貴重なアタリを確実にモノにするためには、針が伸ばされる愚は犯せません。せっかく検討しましたが、ドラゴン太刀魚へのW一体型の針の使用は留保して、次のに譲ります。

② バラ針を使って"つらぬき2本針"を自作

過去には 1本針で自作 して使用したこともありますが、死に餌小魚の前後どちらか半分食べ残しになったことも少なくなかったので、F7太刀魚を狙う進化形はやはり、フックポイント2倍の"つらぬき2本針"です。シングルフック2本を使って自作すれば、針の選択は自由です。

チヌ針5号でも4kgの静止荷重に耐えられることは、上の実験で確認しましたが、どうせならより強い針を使いたくなります。小さいのに滅茶苦茶強い針があります。イシダイ針 です。

タチウオなら、いくら大きなものが掛かってもイシダイ針が伸ばされたり折られたりする心配はありません。この針は穴あきなのでワイヤーハリスとの接続も、ダブルスリーブ(ダルマクリップ) ハンドプレッサー を使えば簡単です。

タチウオ針りで呑ませるのに向く針の条件

手持ちのイシダイ針で仕掛けを作ったのですが、ここで別の気付きが浮かびました。針に求めるのは強度だけで良いのか?? 「小さいこと」も求めるべきではないか、です。「針を飲ませて獲る」というスタイルにおいては、抵抗感なく口に入るための姿形も大事なはずです。

小さいので違和感少なくて飲み込みやすく、かつ強度十分で絶対に展ばされないし折れない、そんな針を使うべきと考えるに至りました。同じように飲まれれば大きい針の方が掛かり易いことは確かですが、警戒して針を飲まれなければアタリが出ず、釣りになりません。

    強さ → 太くて強い線を使用
  飲み易さ → 小さく針軸が短い
 掛かり易さ → 針先が内向し過ぎない

こんな針を探した結果、総合通販では見つからず、釣針専業メーカーの直販で3点購入しました。

ドラゴン太刀魚用釣針 by マルト土肥富
これらの強度不安の無い(線径0.8mm以上)小針を主に使いますが、状況を見ながら臨機応変に対処します。1尾釣るごとに仕掛けを換えるので、いろいろ試してみます。

B 身餌用の 縦2本・1本 針仕掛け

シングルフック2本を縦に使うのですが、上針は管付き針で通しハリス(固定または遊動)とし、下針は普通に内掛け、またはフリーで首振りするようにスリーブで結びます。上下どちらの針で掛かるかは分からないのですが、スレ掛かりでなく飲ませる想定なので、固定の場合も針の間隔は狭くし、どちらの針も餌に針先を埋め込むようにして、着底時の根掛かりを避けます。針の選択は前述の要件(強く小さい)を満たすことを基本にします。

縦2本針は過去実績から手放しがたいのですが、今回は餌によって1本針も使います。餌落ちしにくい餌の場合や喰い渋る場合には、1本針を採用します。

ドラゴン太刀魚用仕掛け
左から、1本針、縦2本固定針、縦2本上遊動、つらぬき用2本針、です。左端のみ既製品の改造で、ループを切って針を入れた後にスリーブ留めしてあります。

ハリスの選択

ドラゴンサイズの太刀魚が、針を飲ませて樹脂ハリスで揚がる訳がありません。食いが落ちることは承知の上で、ワイヤーハリスを使います。ワイヤーは20cm程度にとどめ、その元は ピンクフロロライン 6号をつなぎます。その接続点は直結(ループtoループ)にして全交換すべきなのでしょうが、手抜きと手返し優先で スナップスイベル 接続にします。

ワイヤーはナイロンコーティングワイヤーとし、0.45~0.60mm径を使います。結び目の大きさを考えて、つらぬき仕掛けはスリーブ留め、その他は 手結び を基本にします。市販品の端末編み込みの ワイヤーリーダー も使用します。

3. ランディング対策

タチウオの刃(歯)が難題です。樹脂ネットのタモ網は切られるので、原則として使えません。これに変わる金属ネットがあると助かるのですが、市販品には見つかりません。したがって、抜き上げかギャフ使用になります。基本は"抜き上げ"とし、備えとして"ギャフ"も用意するのが妥当でしょう。幸い、安価なギャフが見つかったので買いました。マルシン ギャフヘッド。タチウオには軸太でヘビー過ぎますが、先端の研ぎを忘れずに、その日その時に備えます。

その他

買物のついでに気づいたのが、タチウオを収容する袋です。遠征釣行先から持ち帰るには、相応の包装資材が必要です。さっそく探して、ビニール袋 も注文しました。

はかりは 手持ちの物 の精度を実験して確認した結果、2.0kgを2.1kg 4.0kgを4.1kgと表示しました。その誤差は+0.1kg程度のようですから、-0.1kgを真正値と推測すれば良いでしょう。

独り言

過去最大サイズのF4タチウオから、F7太刀魚にレコード更新するために対策するのは、これくらいで良いでしょう。後は釣り場(人的環境を含む)探しと、現場での立ち回りが課題になります。遠征の旅釣りなので、車中泊での長期の生活も維持しなければならず、結構な難行苦行です。ドラゴンタチウオを釣り揚げるために、、、まっ、これがライフワークなので。


余談 針のサイズを調べてみて思った事
 がまかつの針(ジギングフック サーベルダブル)は大きさから言って、口中に掛かることは稀な偶然で、はなからスレ掛かりを企図したもののように見えます。そうだとすると、シロサケ・カラフトマス釣りの異様にデカいトリプルフック付きのルアーでやる実質違法な"引っ掛け釣り"とどう違うのか?? そう思えるのですが。。まっ、ルアー釣りの場合には、トリプルフックを使う時点で、スレ掛かりは普通の常識ということなんでしょうね。釈然としないながら、分かったことにします。

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